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映画・演劇のレビュー

『天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬』

2015-06-04 21:37:54 | 映画
こんなにもバカな映画はない。最初にタイトルを聞いた時から冗談にもほどがある、と思ったけど、冗談ではなく、本当にやるのだ、と知り、恐怖した。ありえません。こんな企画で映画が作られていいわけがない。ふざけるのもいいかげんにしなさい、という気分だった。赤塚不二夫が草葉の陰で怒ってるぞ、なんて。

もちろん、冗談です。でも、これにはあきれるくらいに、コーフンした。だって、あの『秘密結社 鷹の爪』のFROGMANがこの映画を監督するのだ。(もちろん、主役のバカボンのパパの声を演じる!)期待せずにはいられない。ただ、長編映画として最後まで楽しめる映画になるだろうか、そこだけはやはり心配だった。

当然のように出だしは快調。テンポよく、バカなネタを連発して、笑わせてくれる。主題歌もオリジナルアニメのあの有名な歌をちゃんと使う。ぼんぼんバカボン、バカぼんぼん。

お話の方だが、バカボンのパパが、太陽を西から昇らせるために奮闘する、というお話からスタートする。西から登った「おひさま」を東に沈ませるのだ。そんなバカな行為に従事するバカボンのパパたち(というか、バカボンとパパだけだが)が描かれる。そこに、なんと世界征服をたくらむ悪の一味が登場し、バカボンのパパの本名(最後には謎が解明する)を巡るドタバタが描かれて、自ら望んで地獄に落ちたネロとパトラッシュが、悪に一味の仲間になってバカボンのパパと向き合うのだ。何が何だかわからないだろ。これはそんな映画なのだ。

映画は予定通り、だんだん中だるみしてくる。90分(実際の上映時間は84分)を走りきることは至難の業なのだ。ネロとパトラッシュが変身して、巨大化して町を破壊していくとか、どうでもいいような展開もお約束か。でも、バカボンのパパは大活躍しないのだ。悪者と戦い世界を救うとか、そんな安直な展開にはならないのだ。あほらしい映画は最後まであほらしさを貫くのだ。それでいいのだ。


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