『リセット』

『マシニスト』のブラッド・アンダーソン監督が放つパニック大作か、と思わせる写真と、予告編。誰もいなくなった街の風景なんか今までも数々の他の映画で見てきたから、いまさら驚かないけど、それが『マシニスト』のブラッド・アンダーソン監督だと思うと期待できる。しかも、飛行機が真っ逆さまに落ちてくるシーンとか散々予告で見たし、ポスターにも使ってるし。だから、これってなんか大作か、と思ったし。

　でも、実際の映画はなんだかしょぼいB級映画で、しかもそんなに大したことないし。どうしてもあの『マシニスト』のインパクトは大きいから、こんなありきたりでは納得しないのだ。それにしても、なぜ、こんな映画を作ったのだろうか。こういう終末ものって、もう食傷気味ではないか。作るのならせめて新機軸が欲しい。なのに、それはない。

　これってウイル・スミス主演の『アイ・アム・レジェント』と同じじゃん。誰もいなくなった世界でたったひとり彷徨う主人公。闇になると襲われる。まぁ、襲ってくるのが、あれは「ゾンビ」でこれは「影」という違いはあるが、全体的には同じ感じ。でも、あれは超大作でこれはB級映画。

　もっと異常な映画を期待した。『マシニスト』みたいな。あの映画でクリスチャンン・ベールはあそこまで痩せる必要ないだろ、と思う。でも、あの映画はそこにこだわる。実際に映画のために彼はどんどん痩せる。その行為自体が以上で怖い。不眠症の話であることなんか忘れさせる。特殊メイクとかCGではない。なんか映画の方向性自体が変なのだ。

　だから、この映画も、あんなこだわりがあれば良かった、と思う。設定は月並みなのに、それをどんどん横滑りさせていく「何か」が欲しかった。なのに、まるでありきたり。悪い映画だとは言わない。でも、こんな映画ならわざわざ見ない。