ちょっと季節はずれになったけど、これはハロウインの夜のお話。クリスマスには早いけど、ハロウインは終わってしまったこの時期に敢えてこの企画で勝負する、ってほんの少し間抜けでそこがかわいい。当日パンフでも自分たちでそのことに触れている。これは芝居なのだから別にそんなこと気にしなくてもいいのに、と思ったけど、そこを敢えてちゃんと気遣う姿勢がいい。
芝居には(というか、芝居にかかわらず芸術表現ならいずれも、だが)細かいことまで、ちゃんと目配りが必要だ。でも、その目配りというのは作品自身に関することで、本当はそれは題材が季節はずれになるかどうかではない。彼らはそのへん勘違いしている。というか、わかっているけど、そんなことまで気にするのだろう。
そんな彼らの真面目さがしっかり出た好ましい作品だ。丁寧に空間を作ってある。別にたいしたセットではない。だが、素舞台ではなく、それなりの舞台美術を用意する。おもてなしを大事にする。この雑然とした居間が彼ら4人にとっては落ち着く空間なのだろう。そこで、ハロウインの仮装を準備する。でも、いい歳した大人が仮装パーティーってのもなんだかなぁ、と思う。昔人気だった戦隊もののコスチュームらしい。
この家の兄弟と、その従兄弟である兄と妹。彼らがテーブルに集まりごろごろしている。そんなスケッチ。親たちは外出していない。今日は帰ってこないから彼らだけだ。そこに、母親の知りあいである女が「今日泊めてもらう約束をしている」とやってくる。だが、母親に確認すると、その約束した女性から「行けなくなった」という連絡が入っている、ということだ。では、この女は誰?
ちょっとしたホラーなのか、と思う。だが、そうでもない。では何が描きたいのか、というと、それがなんだかよくわからないまま、芝居は淡々と進行していく。仕方ないから、舞台を見守る。そのうち、お話は動き出すだろう、と。確かに終盤彼女の謎は解ける。そこから昔の忘れていた出来事がよみがえる。幼い日の事件。その時、池に落ちて死んだ友人のこと。一応芝居としての筋は通る。
だが、見終えてなんだか釈然としない。記憶の片隅に押し込めて忘れようとしていた傷みがここには描かれるのか。それにしてはあまりにあっさりし過ぎていて、なんだか、まるで気持ちがこもってない。描ききれないのか、描かないのか、そのへんが、これではなんともわかりにくい。あの日の出来事への後悔、そのことを意識して忘れようとしてきて、今では本当に忘れていたのか。そのことが暴かれたのか。なんだかよくわからない。
あの女は死んだ友人の姉なのだが、それがなぜ、今頃ここに来て、彼に何をさせたかったのか。反省を促すとか、それはないだろ。ハロウインに精霊とか、お化けがやってくる、というのもなんだかなぁ、である。彼女がこの夜やってこなければならない理由が見えない。ただ、ハロウインだから、なんて、それはないだろ。しかも、殺された(事故だけど)少年の気持ちとか、彼を助けられなかった少年の想いとか、本来描かなくては成立しない感情が描き切れていない。
芝居には(というか、芝居にかかわらず芸術表現ならいずれも、だが)細かいことまで、ちゃんと目配りが必要だ。でも、その目配りというのは作品自身に関することで、本当はそれは題材が季節はずれになるかどうかではない。彼らはそのへん勘違いしている。というか、わかっているけど、そんなことまで気にするのだろう。
そんな彼らの真面目さがしっかり出た好ましい作品だ。丁寧に空間を作ってある。別にたいしたセットではない。だが、素舞台ではなく、それなりの舞台美術を用意する。おもてなしを大事にする。この雑然とした居間が彼ら4人にとっては落ち着く空間なのだろう。そこで、ハロウインの仮装を準備する。でも、いい歳した大人が仮装パーティーってのもなんだかなぁ、と思う。昔人気だった戦隊もののコスチュームらしい。
この家の兄弟と、その従兄弟である兄と妹。彼らがテーブルに集まりごろごろしている。そんなスケッチ。親たちは外出していない。今日は帰ってこないから彼らだけだ。そこに、母親の知りあいである女が「今日泊めてもらう約束をしている」とやってくる。だが、母親に確認すると、その約束した女性から「行けなくなった」という連絡が入っている、ということだ。では、この女は誰?
ちょっとしたホラーなのか、と思う。だが、そうでもない。では何が描きたいのか、というと、それがなんだかよくわからないまま、芝居は淡々と進行していく。仕方ないから、舞台を見守る。そのうち、お話は動き出すだろう、と。確かに終盤彼女の謎は解ける。そこから昔の忘れていた出来事がよみがえる。幼い日の事件。その時、池に落ちて死んだ友人のこと。一応芝居としての筋は通る。
だが、見終えてなんだか釈然としない。記憶の片隅に押し込めて忘れようとしていた傷みがここには描かれるのか。それにしてはあまりにあっさりし過ぎていて、なんだか、まるで気持ちがこもってない。描ききれないのか、描かないのか、そのへんが、これではなんともわかりにくい。あの日の出来事への後悔、そのことを意識して忘れようとしてきて、今では本当に忘れていたのか。そのことが暴かれたのか。なんだかよくわからない。
あの女は死んだ友人の姉なのだが、それがなぜ、今頃ここに来て、彼に何をさせたかったのか。反省を促すとか、それはないだろ。ハロウインに精霊とか、お化けがやってくる、というのもなんだかなぁ、である。彼女がこの夜やってこなければならない理由が見えない。ただ、ハロウインだから、なんて、それはないだろ。しかも、殺された(事故だけど)少年の気持ちとか、彼を助けられなかった少年の想いとか、本来描かなくては成立しない感情が描き切れていない。