大傑作である『さいはて』に続くともにょ企画の新作だ。前作からこんなにも短いインターバルで作品を作りながら、また今回も凄い作品を作ってしまったりすると、怖いな、と、ドキドキしながら、見た。正直言って、ほっとした。これが極ふつうの芝居だったからだ。
貶すのではない。でも、もちろん褒めるのではない。ただ安心したのだ。鈴木さんの有り余る才能は高く評価するのにやぶさかではない。だが、続々と想像を絶する作品を連打されると反対に心配になるのだ。たまには、ちゃんと休憩もして貰いたい。ということで、今回は小休止である。
描かれる世界は、あまりに平凡で、それが最後まで変わらない。主人公の少年は13歳ということだが、13歳らしさはない。横山太郎はわざと子どもぶって演じていないからだ。彼はもっと漠然とした存在であることを示すようだ。そして、いつのまにか、大人になっている。バイトでコンビニで働いている。そんな彼が嵌るひと昔前のRPGも、いかにも、って感じだ。13歳の時に手にして今も、それを手放さない。
彼の周囲にいる、身近なアイドル(AKB48みたいなやつね)に夢中になる男たちとか、アニメや、コミックに夢中になる男たちは、昔ながらのオタクで、様変わりしているが、本質的には変わりない。ただ、それが、今では以前と違いちゃんと市民権を得ているから、気持ち悪いなんて誰も思わない。
少年はそんな男たちがはびこる世界とコミュニケーションを取る気はない。ただ、自分のゲームのヒロインとそのゲームの世界を旅しているだけだ。そこから、どこかに向かうのではない。ただ停滞している。自分の部屋から出ることもなく、ただ、繰り返し同じゲームをする。世の中にはもっと刺激的なゲームはたくさんあるのに、彼は見向きもしない。彼にとって必要なものは目の前のヒロインの少女だけだ。彼女と2人で冒険に出ること、ただそれだけ。周囲のオタク男たちに混じるのではない。
彼は誰とも関わりを持たない。だが、ここに出て来るオタクたちはみんなそうだ。ただ自分の世界に籠っている。誰かと共にいても、ひとりだ。彼らの無関心が、どこにむかうのかは、示されないまま、終わる。ただ、そんな現状を示すことに留まる。前作『さいはて』の攻撃的な作劇とは違って今回はただ、ぼんやりしている。前作の暴力や怒りはここにはない。少年は母親に従順だし。そうして時間は過ぎ去るようだ。
だが、ある日彼は仕事を辞める。やがて、彼は道端で倒れる。コンビニの同僚だった女の子に助けられる。そこで、芝居はいきなり終わる。その先は描かれない。いきなり投げ出されたように、フェードアウトする。宙ぶらりんにされて戸惑う。その居心地の悪さが今回の作品の魅力だろう。
こんな作品を作った鈴木さんの次回作が今からもう楽しみでならない。簡単に芝居を作らないし、作れない。だから、こんな作品を必要とする。鈴木さんがこの小休止を経て、次はどこにむかうのか、楽しみだ。
貶すのではない。でも、もちろん褒めるのではない。ただ安心したのだ。鈴木さんの有り余る才能は高く評価するのにやぶさかではない。だが、続々と想像を絶する作品を連打されると反対に心配になるのだ。たまには、ちゃんと休憩もして貰いたい。ということで、今回は小休止である。
描かれる世界は、あまりに平凡で、それが最後まで変わらない。主人公の少年は13歳ということだが、13歳らしさはない。横山太郎はわざと子どもぶって演じていないからだ。彼はもっと漠然とした存在であることを示すようだ。そして、いつのまにか、大人になっている。バイトでコンビニで働いている。そんな彼が嵌るひと昔前のRPGも、いかにも、って感じだ。13歳の時に手にして今も、それを手放さない。
彼の周囲にいる、身近なアイドル(AKB48みたいなやつね)に夢中になる男たちとか、アニメや、コミックに夢中になる男たちは、昔ながらのオタクで、様変わりしているが、本質的には変わりない。ただ、それが、今では以前と違いちゃんと市民権を得ているから、気持ち悪いなんて誰も思わない。
少年はそんな男たちがはびこる世界とコミュニケーションを取る気はない。ただ、自分のゲームのヒロインとそのゲームの世界を旅しているだけだ。そこから、どこかに向かうのではない。ただ停滞している。自分の部屋から出ることもなく、ただ、繰り返し同じゲームをする。世の中にはもっと刺激的なゲームはたくさんあるのに、彼は見向きもしない。彼にとって必要なものは目の前のヒロインの少女だけだ。彼女と2人で冒険に出ること、ただそれだけ。周囲のオタク男たちに混じるのではない。
彼は誰とも関わりを持たない。だが、ここに出て来るオタクたちはみんなそうだ。ただ自分の世界に籠っている。誰かと共にいても、ひとりだ。彼らの無関心が、どこにむかうのかは、示されないまま、終わる。ただ、そんな現状を示すことに留まる。前作『さいはて』の攻撃的な作劇とは違って今回はただ、ぼんやりしている。前作の暴力や怒りはここにはない。少年は母親に従順だし。そうして時間は過ぎ去るようだ。
だが、ある日彼は仕事を辞める。やがて、彼は道端で倒れる。コンビニの同僚だった女の子に助けられる。そこで、芝居はいきなり終わる。その先は描かれない。いきなり投げ出されたように、フェードアウトする。宙ぶらりんにされて戸惑う。その居心地の悪さが今回の作品の魅力だろう。
こんな作品を作った鈴木さんの次回作が今からもう楽しみでならない。簡単に芝居を作らないし、作れない。だから、こんな作品を必要とする。鈴木さんがこの小休止を経て、次はどこにむかうのか、楽しみだ。