なんだか読んでいて嬉しくなる。こういう少年小説って、上手くできた作品は愛おしい気分にさせられる。『チェスト!』も好きな小説だったが、この小説も大好き。広島県、松永という町が舞台らしい。この瀬戸内海の田舎町が実に魅力的だ。ここで暮す人たちを実に気持ちよく描いている。なんだか懐かしい。昔ながらの町。おじいちゃんとおばあちゃんが住むこの町で過ごす夏から秋が描かれる。大好きな尾道も舞台になっている。
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待ちに待った第2章である。2015年、「ともだち」に支配された日本を舞台に成長したカンナ(平愛梨)を主人公にして彼女たちの戦いが描かれる。東京万国博覧会開催と死んでしまった「ともだち」の復活をクライマックスにして、お話はある種のルーティーンワークのもとに描かれる。3部作全体の構成は実に巧みだ。
だが、正直言うともう飽きた。あまりに作り方がパターン化しており、前作のドキドキはもうなくなった。2 . . . 本文を読む
前作と基本的には同じような見せ方をしているのに、革命の成功を描く前作に対して、革命の失敗を描いた本作という結果ゆえなのか、まるでタッチが変わったような印象を受けた。まぁ単純に時間軸に沿って順に見せていくというところは前作とは違うのだが。それにしても今回、実にシンプルな作り方をした。これはかなり意図的な構成である。ボリビアでの失敗は彼の戦略ミスではない。運がなかったわけでもない。ではなぜこうなった . . . 本文を読む
ウイル・スミス最新作は『幸せのちから』でもコンビを組んだガブリエレ・ムッチーノ監督作品。先の作品と同じようにウイル・スミスはここでも等身大の男を演じる。
話はなかなか先が読めない。半分くらいまで来てもこの話がどこに行き着くのかはわからないままだ。さまざまな人物との関わりにしてもこまぎれでなかなかその因果関係は摑めないように作られてある。最後まで見なくてはわからない。予備知識は入 . . . 本文を読む
これには驚く。先に江國香織の『左岸』を読んでいるからこそ、そのテイストのあまりの落差には驚くしかない。2人の男女をそれぞれ主人公にして、同じところをスタートラインとする2つの話は、あまりに別々の世界を作り上げたがためにこの2作品がセットでひとつの小説になるだなんてとても考えられないくらいだ。もちろん別々の作家が自分なりのアプローチで作品世界を作り上げていくのだから、このくらいの落差が出来てもおか . . . 本文を読む
まるで一昔前のTVドラマを見てる気分だ。まぁ書いてる人がTVドラマの脚本も書いている梅田さんだから当然のことなのかも知れないが。このままでも連続ドラマに充分なる。
つまらないわけではない。それどころか面白く読めたくらいだ。だが、なんだか古いわぁ。今という時代の気分はここにはない。20代前半の男女の恋物語。ケータイ小説をテーマに扱い、あんなものは小説ではないと思う書店で働く読書好きの女性を主人 . . . 本文を読む
昨年5月。鳴り物入りで公開された超大作である。だがロードショーで見ることが躊躇われた。僕は時代を牽引するような大作映画は必ず見る主義だ。別に義務感からではない。単純に見たいから見る。それだけである。僕は基本的にミーハ-なのだ。特に映画に関しては。なのにこの映画だけは見たいとは思えなかった。今回その謎に迫るため、レンタルしてきた。
映画は時代を映す鏡だ。どんな映画にもその時代の空気が封じ込めら . . . 本文を読む