トニー・スコット監督最新作。メジャー大作を手掛ける職人監督なのだが、彼のアプローチは好き。兄貴のリドリーは芸術肌だがこの弟はそうではない。つまらないアクション映画のように見えても彼が作るのなら、見に行く。きっとそこには「ただのアクション」には収まらない何かがあるからだ。もちろん、それは大袈裟なテーマとかではない。ほんのちょっした拘りだ。だが、そのちょっとに彼は精魂傾ける。
娯楽映画であること . . . 本文を読む
今年上半期の芥川賞受賞作。ようやく読んだ。だいたいもう次の受賞作が決まり本も出てるのに、半年前の話題作を今頃読む。まぁ、小説は話題で読むもんではないから、かまわないでしょう。と、言うか、本当はこのくらい少し距離を置いた方がよい。それか誰も読まない前に読むとか。まぁ、ほんとうはどうでもいいことなのだが。
それにしても、津村さんの小説はいつも同じだ。このタッチが好きになれない人もいるはず。ぜった . . . 本文を読む
昨年の台北映画祭で評判になった作品の中で、これが一番素晴らしい出来ではないか。グランプリを取った『海角7号』にはちょっとがっかりさせられたが、これは期待を遥かに上回る出来だ。大阪でもこの週末から公開される。
台北北部の街、新竹市を舞台にした青春映画である。そこは監督であるトム・リンが生まれ、青春時代を過ごした街だ。明らかに自伝的な映画で、見る前には、もしかしたら感傷的なノスタルジアか、と思っ . . . 本文を読む
こういうたわいもないラブコメを見ていると、なんだか平和な気分にさせられる。たまにはこういうものを見るのもいいかもしれない。まぁ、わざわざこれを見るために劇場に行こうとは正直言うと思わない。だって世の中にはこんなものより意味のある映画はごまんとある。貴重な時間の無駄だとしか思わない。だが、友だちに「試写会あるからいかん?」と誘われると、ついついタダの魅力に勝てずにホイホイ行ってしまうのだ。でも、そ . . . 本文を読む
西原理恵子のマンガの映画化らしいが、先の『いけちゃんとぼく』にしても、今回にしても、なんだかツボに嵌まり過ぎて困る。見る前からやられるなぁ、という予感はあるが、それがあまりに思ったようにくると、見ていて恥ずかしい。もちろん、映画が、ではなく、自分が、である。女の子が主人公で、とても感傷的な『スタンド・バイ・ミー』系のお話で、映画はその設定だけ確認すると、けっこうすぐに回想に入っていき、どんどん行 . . . 本文を読む
東野祥子さんの新作。彼女のソロ(昨年中止になった作品が見たかった!)ではなく、BABY-Qとして発表する作品を見るのは久しぶりだ。今までの大仕掛けのスペクタクルではなく、シンプルで内省的な作品に驚く。短いシーンから構成され、その一つ一つに明確なテーマが設けられ、テーマと表現の接近と乖離を楽しみながら見る。本来両者は密接に絡み合うのが当然なのだが、ダンスに於いてはそこが難しい。言葉にしないことが幾 . . . 本文を読む
妻夫木聡とハ・ジョンウ主演、脚本は渡辺あや。監督は新鋭のキム・ヨンナム。日韓合作映画なのだが、よくあるお互いの立場に気を揉んだだけでまるで意味のない合作とは違う。今までこんなタイプの日韓合作映画はなかったのではないか。だいたい日韓合作だなんていうものすらなかったかもしれない。簡単に出来そうに見えてなかなか難しい。こんなにもいろんな交流が可能になった現在でも、実はまだ、近くて遠い。そこが、日本と韓 . . . 本文を読む
正直言って期待したほどではない。テキストを大事にし過ぎたのか、なんだか青年団らしくない芝居になった気がした。平田オリザさんが内藤裕敬さんの戯曲に挑戦するだなんて、なんだか水と油みたいで、そこが興味深くて、すごくドキドキしたのだが、出来あがった芝居にはこの戯曲の遊び心が生かされてない。しかも、真面目に取り組んでいるから、あまり笑えない。だいたい平田作品で笑えるだなんて、そんなものを本来期待する方が . . . 本文を読む
この夏これが一番見たかった。封切り初日に見に行くつもりだった。そんなふうに予定を立てていたのだ。なのに、諸事情から、行けなくなった。がっかりした。でも、映画なのだからいつでも行けると思っていた。なのに、気付けばもう9月だった。あんまりである。どうしてこんなことになるのかはこの際おいておく。どうでもよろしい。ただ、一番を差し置いてつまらない映画を多々見たことは事実だ。この夏の始まりをこの映画にした . . . 本文を読む