2月6日から1年間かけて週替わりで50本の選りすぐりの名画が劇場でリバイバル公開されている。『午前十時の映画祭』だ。
映画はいつのまにか消耗品になってしまい、毎年恐るべき量の作品が上映され一瞬で消えていく。なんだかとても悲しいことだが、これが今の現実だ。1本1本の映画はもっと大切にされてもいいはずなのに、まるで大事に扱われていない。そんな時代の中で、敢えて本物の映画をもう一度劇場で見ようとい . . . 本文を読む
こんなにも暴力的な映画だとは思いもしなかった。カメラは揺れまくるし、主人公は悪態をついて、殴りまくる。暴力に継ぐ暴力の連鎖。果てしない。
だが、これはただの暴力映画ではない。それどころか、これはとても美しいラブストーリーだ。主人公の2人、サンフンとヨニは、手も繋がない。それどころかお互いに唾は吐くし、殴るし、悪態をつく。とんでもないことだ。なのにこの孤独な2つの魂は共鳴し、美しいシンフォニー . . . 本文を読む
あまりに淡々としすぎていて、眠くなってしまった。劇場で見たのならもうちょっと緊張感もあったのかもしれないが、DVDで見ると、この変化のなさは致命的だ。南極で過ごす400日程の日々のスケッチなのだが、まるでリアルには見えない。安手のコメディーレベルの出来だ。彼ら8人は、狭いセットの中で右往左往しているだけに見える。外の風景も広大な南極大陸の氷の世界、というよりも、きっと北海道あたりでロケした風景で . . . 本文を読む
虐待の話である。中2の少年に義理の父親が暴行を加える。だが、少年は抵抗しない。14歳だから、もう充分戦えるだけの力はあるのだが、圧倒的な暴力の前でおとなしくそれを受け入れる。
優ちゃんはいきなりキレる。隼太はそれを受け入れる。それは腕力における彼の弱さではない。精神的な弱さだ。だが、それなら暴力をふるう父である優ちゃんのほうが集太以上に弱い。彼は弱いから暴行を加えてしまう。そんな自分が嫌で仕 . . . 本文を読む
このかわいらしいタイトルとは裏腹のドロドロした人間関係が描かれているのに驚かされる。白で統一された動物園の空間を舞台にして、6人の男女による愛憎劇が描かれる。これは南陽子さんの手による書き下ろしの新作を、楢三蔵さんが脚色、演出した新撰組の新作だ。
とてもおもしろい題材だと思う。これだけ複雑で、濃密な人間関係を、こんなにもさらりとしたタッチで見せていくことに感心した。しかも、新撰組のいつものタ . . . 本文を読む