『シルミド』の監督最新作。なんとカルト教団の話だ。2時間42分の超大作である。こんなにも長いのに最後までどうなるのか先が読めない展開だ。まぁ、かなり強引で冷静に考えたらそれはないよな、と思うことばかりで、突っ込みどころは満載なのだが、謎が謎を呼ぶ展開と、どうなっているのだ、という意外性でどんどん引きずり込まれる。要するにチープだが飽きさせないのだ。重厚なドラマで付け入るところもないよくできた台本 . . . 本文を読む
この短編映画はわざわざ台湾から監督本人(王承洋)の手によって直接我が家に送られてきたものである。去年うちの嫁さんが台北映画祭で王承洋監督の劇映画『生日願望』を見て、とても気に入り、監督と知り合いになった。その時、自分の夫(僕のことですね)も映画が好きで、彼にも(僕のことですね)監督の作品を見せてあげたいと喋ったようだ。今年は王承洋監督のドキュメンタリー映画『疼惜天地』が台北映画祭で上映されること . . . 本文を読む
単行本未収録の様々な文章を集めたもの。なんと結婚式の祝辞なんてものまである。全部で69編あるらしい。それをジャンルごとに一応分類して収録した。時系列にはなってないからデビューの頃のものから、最近のものまでもが同じように並んである。どこをとってもまるごと村上春樹だ。『夜のくもざる』の未収録の短編なんてものまである。あのシュールというか、いいかげんというか、よくわからない短文集にすら収められなかった . . . 本文を読む
ここまでセリフが少ないと助かる。いつものように日本語字幕がないから、話していることは、絵を見て想像するしかない。そういう意味ではこの映画は、最初は日常会話ばかりで、喋っていることにあまり意味がないのもいい。そこも助かる。だが大事なことはそんなことではない。このそっけない日常のスケッチがとてもすばらしいことだ。
本作はうちの嫁がいつものように台北映画祭に行ってきて、そのおみやげとして、買ってき . . . 本文を読む
なんだこの芝居は! とまずは驚く。役者がなんとちゃんと体中真っ黒に塗って、黒人の役をやっている。そんなの久しぶりに見た。昔は、外国人の役なら髪を金髪に染めたり、鬘とかして、演じるなんてのがよくあった。でも、今時そんなのは流行らない。最近は減ったけど、一時期はみんな髪を染め金髪になんかしていた。日本人の大半が金髪だった時代もある。(それは言い過ぎだが)そんなこんなでまず、この時代錯誤のオーソドッ . . . 本文を読む
space×drama2011 の共通チラシの紹介文を読んで、勝手にイメージしていたものとまるで違うのに驚く。少し長くなるがここに引用する。
「夫婦はソファに座っています。落ち着く意味なんて、昔からまるでなかったかのような。光の筋が窓から見えてる。ガラスが角度を変えているから、いつまでたっても表情は明るい。午後。もうすぐ春がやってきます。花瓶の中には乾いた虫がこびりついているだけ。こんな平日 . . . 本文を読む
この夏休みの最後にこの本を読んだ。すばらしいタイミングだ。とてもよかった。この夏読んだすべての本の中で(この40日ほどで、20冊くらい読んだが)これが一番よかったと思う。これは生徒が読書感想文を書くために読んでいた本だった。ちょっと見せてもらったら、なんだかとても僕好みの本で、貸してもらった。そんなふうにして(自分の意志ではなく、偶然、人から借りて、ということだ)本を読むのは本当に久しぶりのこと . . . 本文を読む
ミッシェル・ゴンドリーがアメコミ大作に挑戦する。しかも劇場版は3Dである。凄い大作のはずが、彼がやるとなんだかとってもキッチュで、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような映画になる。まぁ、それって、いつものことなのだが。
重量感のない、ペラペラな映画だ。クライマックスのカーチェイスなんて、だらだら長いのだが、未公開シーンを見たら(ブルーレイの特典としてついていた)これでも編集で思い切って短くし . . . 本文を読む
体が疲れていたから何も考えず、映画でも見ようと思った。そこで、今回はホラー&コメディー&アクションの3本立に挑戦した。ジャンル映画の定番である。これらのジャンル映画には、おもしろいものは確かにあるのだが、あまりに作品数が多すぎるし、基本的には安易なパターンの凡作ばかりだ。そんな中から秀作を見出すのは至難の業である。だが、せっかく見るのだから、凄いものを見たい、というのが人情だろう。ということで、 . . . 本文を読む
南船北馬一団の棚瀬美幸さんが劇団解散後個人プロジェクトとして再出発した南船北馬の最新作。再開から3年になる。毎年この時期に棚瀬さんの作品が見れるという幸福を噛みしめつつ今年も劇場に向かう。
再開第1作の『それでもワタシは空を見る』以降、今まで以上に観念的な作品となって、かつての私的な心情を吐露するものから、もっと広い意味での、世界との関わりを象徴するものへと、シフトチェンジした棚瀬作品が、今 . . . 本文を読む
今時このタイプの人情劇はないだろう、と思う。これは昔々の(と、いっても70年代くらいまでは頻繁に作られていたが)日本映画の定番だ。母親と娘が主人公で、子どもを成長するまで女手ひとつで育て上げた母が、いきなり若い男と再婚するという。当然娘は反発する。だが、その男は結構いい人で、ださいけど誠実。でも、心情的にどうしても母を許せない。だが、ある時母が倒れ、ガンで後1年の命だったということを知らされる。 . . . 本文を読む