ジョン・ウーが、台湾の若手監督(スー・チャオピン)と共同で撮った作品。こういうタイプの武侠映画はごまんとあるが、それをジョン・ウーが手掛ける必然性はどこにもない。ぜひ彼でなければならないというものがここにはないのだ。本人にしてみれば、『レッドクリフ』の後の軽い肩慣らしなのかもしれないが、なんか見ていてがっかりさせられる。調べて見るとスー・チャオピンは『シルク』という江口洋介主演の台湾映画でデビュ . . . 本文を読む
ものすごく期待していたから、ちょっとはぐらかされた気分だ。先に書いた水沢秋生の『ゴールデンラッキービートルの伝説』が、本来この映画が描くべきことを描き切ってしまった気がする。偶然同じタイミングで、読んだだけなのだが、あの小説の感動と同じ質のものを、僕はこの映画に期待していたのだ。ミステリータッチで話が進行していくのは、構わない。だが、高校時代のエピソードには、もう少しのリアルさが欲しい。
高 . . . 本文を読む
3人の少年少女が偶然同じクラスになり、過ごす一瞬の時間を描く。でも、その一瞬が永遠になるラストシーンが感動的だ。小学6年の始まりから、突然の別れまで。幸せな時間はずっと続けばいいと思う。でも、そんなことは不可能だ。それくらい子供にだってわかる。でも、できるならこの幸福が永遠であって欲しい。
ヨータとジュンペイは、今年も同じクラスになった。小学校最後の1年だ。ジュンペイはよかったなぁ、と思う。 . . . 本文を読む
今この79年に書かれた戯曲を上演する上で土橋さんのとったアプローチはきっと正しいはずだ。2012年という時間のなかで、ここに描かれた「戦争」は明らかに3・11を想起させる。突然襲いかかってきた不条理と向き合う家族の姿を通してさまざまなことが考えられる。3・11に焦点を絞り込むのではなく「見えない敵」という普遍性の中にこの作品の本来の意図はあったはずだが、敢えてポイントをそこに絞ることで、後半の大 . . . 本文を読む
予告編を見て、これは絶対に見たい、と思った。こういうイタイ勘違いの女を『JUNO/ジュノ』『マイレージ・マイライフ』の監督、ジェイソン・ライトマンが どう描くのか、興味深々。脚本は今回もディアブロ・コディ。このコンビのひねりの効いたドラマ作りは少し普通じゃないから、面白い。
昔見た夢をもう一度、とばかりに、生まれ育った田舎町に帰る。そこで昔の恋人との甘い思い出に浸るために。でも、彼女にとって . . . 本文を読む
これは凄い作品だ。近年の四夜原茂作品の中でもピカイチの傑作ではないか。最後まで緊張が持続する。いつも、どんなに面白い設定を用意しても、後半になると底が抜けることが多いのに、今回はそうじゃない。圧力釜を使って、とてもスリリングな展開を見せるのだ。だが、そこがメインではなく、あくまでもメインはホームドラマであるのが、この作品のミソだ。
震災原発を扱った作品の中でも異色の作品になっている。コメディ . . . 本文を読む
前作『タンタンの冒険』がいまいちピンと来なかったので、今回こそは、の期待を込めて公開4日目の劇場に行く。前作はモーションキャプターで、それが気持ち悪かったというのも、がっかりの理由だが、スピルバーグ自身のパワーダウンは否めない。今回も悪い映画ではないし、感動の大作ではある。だが、それ以上のものがない。よく出来た感動作というレッテルからはみ出すものが一切ないのだ。2時間半に及ぶ大作で、飽きさせず一 . . . 本文を読む
こんなシャーロックホームズってなしだろ、と前作を見たときに思ったが、それが大ヒットとなり、こうして第2作である。今回は免疫が出来ているから最初からあまり気にしない。まるで名探偵じゃないし、推理なんてしないで、マッチョだし、話なんかよくわからないまま、アクションでつないでいくし、だから、なんとなく、ぼんやり見ていればそれでいい。そんな映画だ。それにしても、前作以上に派手で、ドカン、ドカンと爆破シー . . . 本文を読む
4話からなる連作長編。主人公は4話とも変わる。最初は20歳の大学生、麻紀。その次は彼女の兄、そして父。最後は母。これはこの四人家族の話である。タイトル通り、花嫁を巡るお話なのだが、かなり異常だ。その異常がエピソードを追うごとにどんどん加速する。最後の母から兄の花嫁になる人への手紙なんて、いくらなんでもそれはないだろ、と突っ込みを入れたくなるほどだ。リアルじゃないけど、ここまでいびつなものを作れる . . . 本文を読む
いくらなんでもこれはないわ、と思った。これじゃぁ、素人学生の自主映画ではないか。一人よがりで、安易に自分の大学のキャンパスを舞台にして、そのまま撮影に使い、さも、スケールの大きい映画のようなルックスに見せかけて、自分たちだけで盛り上がり、はしゃいで終わる。そんな学生映画を昔よく見た。なんだか、よく似ているのだ。
自主映画のパイオニアとして、20分ほどの8ミリ映画『高校大パニック』でデビューし . . . 本文を読む
この悪魔のような男、漱太郎のことをどう受け止めたらいいのか。さらには、そんな彼をずっと愛し続けることになる主人公の夢生。彼の報われない想いをどう受け止めるのか。戸惑うばかりだ。どうしようもないこととして、素直に受け入れてしまうのは、なんだかちょっと納得がいかないけど、この2人を心からは憎めないのも事実で、こんな嫌な話なのに、最後まで読ませてしまうのは、さすが、山田詠美だ。もちろんそんな彼らを山田 . . . 本文を読む
よくぞ2時間38分にまとめ切った。これだけのボリューム、それも、はしょったりすることなく、ちゃんとタメは作ってある。ダイジェストにはならないのだ。主人公の2人が出会うまで、それぞれのエピソードがけっこう長い。だが、それも心地よい。悠々たるタッチで慌てることなく話を紡いでいく。でも、いつになったら2人の話が接点を持つことになるのかは気になる。それを心待ちにする。その時間がいい。堂々たる映画を見てい . . . 本文を読む
伊勢谷友介監督作品である。彼の待望の第2作。役者としての彼とこの映画はとてもよく似ている。ストイックで、シンプルだ。そこはそれでいいのだが、それだけである。映画としてはその特徴がうまく機能しているとは言い切れないのがつらい。
主人公のセイジ(西島秀俊)の気持ちがこれではわからないのは致命的だ。彼が何を考え、何を想い、ここにいるのか。だから、話は最後まで核心には迫れず、その周辺をいつまでもフラ . . . 本文を読む