悪い映画ではないだろう。ちゃんと作られてあるから2時間退屈はしない。役者たちも頑張っている。TV版からの続投である阿部寛は、はまり役だし、それなりに見せ場もあるし、犯人探しも楽しめる。だが、これが映画としての醍醐味とはとてもじゃないが思えない。これはお茶の間で楽しめばいい、というレベルの仕事だ。
映画はこんな簡単なものではない。もっと混沌としていて、ぐちゃぐちゃで、痛ましい。殺人があり、犯人 . . . 本文を読む
久しぶりに有吉玉青の小説を読む。昔『キャベツの新生活』を読み、とても新鮮な感動を受けた。あの本を読んだ時には、あの1冊だけで、彼女にどこまでもついて行こうと思ったくらいだ。それからは新刊が出るのが楽しみだった。なのに、気がついたらもう、すごく長い歳月、彼女の本を読んでいない。なかなか出ない新刊にしびれを切らせて、気づくと疎遠になっていた。
先日図書館で、ふと、ア行の本棚を目にして、見たことの . . . 本文を読む
いつものタッチだから、戸惑わない。淡々とした日々のスケッチが、まるで日記のように描かれていく。今回は3人の30代になったばかりの女性たちが主人公だ。友達であるこの3人のそれぞれの出来事が、淡々と綴られていく。人間関係とかがわからないから、最初は読みにくい。でも、そこを我慢して読んでいくうちに、相互の関係性が頭に入ってきて、ドラマは立ち上がる。わかりやすい解説なんか、彼女はしない。いつものことだ。 . . . 本文を読む