中3の頃、どうしても見たい映画が1本あった。公開された時に、すぐに行きたかった。でも、受験前だったので、怖くて行けなかった。映画なんかに行って入試に落ちたなら、人生終わりだ、と思った。それに親が許さないし。まだ14歳だったから、そんな感じ、だったのだ。今なら、すぐ行く。だいたいそこまで映画に執着しないし。
あの当時、喉から手が出るほど恋い焦がれた。見れない(あるいは、出来ない、会えないとか、いく . . . 本文を読む
彼女のお得意であるお仕事小説なのだが、今回はいつも以上にベタな作品。5話からなる連作なのだが、ありえないようなキャラクター設定をして、リアリティは追及しない。それどころかとてもわかりやすいパターンを踏襲する。
主人公の宝子の恋はもどかしい片想い。彼女の想いに鈍感な彼はまるで気づかない。宝子は28歳、恋愛経験なし。美人だし仕事もできるいい女。なのに、恋には臆病。彼のために奮闘するけど、まるでノー . . . 本文を読む
死神シリーズの第2作。第1作である『ツキカゲノモリ』から3カ月のインターバルでの上演。もちろん、それは「僕ら(観客)からすれば」のインターバルだが、彼らにしてみれば連投である。というか、この企画が5連投なのだ。
この無謀としかいいようのない5タイトル連続上演からは、戒田さん(もちろん、作、演出の戒田竜治)がこの作品をどう作ったのか、よく見えてくる。
2作編通して見ると、そこには切り口の違いが明 . . . 本文を読む
『アメリカン・スナイパー』を見た翌日にこの映画を見た。たまたまである。意図してそういう選択をしたわけではない。だが、先にも書いたようにこの2本がとてもかぶっているように僕には思えた。2日連続で見た2本だから、ではなく、内容の問題なのは、明らかなのだ。(先週末の『でーれーガールズ』『ストロボ・エッジ』『幕が上がる』の3連投とはケースが違う。)
2本とも自分から進んで戦場に行く話だ。兵士と医者では . . . 本文を読む
イーストウッドの新作である。齢80を過ぎてここまで旺盛に映画を作り続ける。しかも、いつも挑戦である。同じような映画はない。でも、どの映画もイーストウッド魂が込められた力作ばかりだ。そういう意味では同じ映画だ。枯れることなく、若々しい。しかも、まるで無理していない。どういうことか、と思う。モンスターだ。
僕たちはこれからもまだまだ彼の映画を見ることができるという幸福を信じられる。ありえないことでは . . . 本文を読む
林静一の同名漫画を読んだのは、高校生の時だ。その頃、つげ義春に夢中になり、その流れからである。70年代ガロをリアルタイムで読んだ世代よりは少し遅れて生まれたけど、あの時代の空気は理解できる、気がする。でも、それをまだ30代の若い辻崎さんが体現するって、どういう理由からか、とても気になった。
もちろんこれは同名漫画の劇化ではない。別役実による戯曲である。80年頃の作品らしい。別役がこういう本を書い . . . 本文を読む
瀧羽麻子作品はこれで4作目になる。初期の2作の後、昨年の新作を2冊読んだ。どちらも、先の2冊とは少しタッチが変わっていて、そう言う意味でも興味深い。今日はまずはこちらから。
「ぱりぱり」は乾燥いりこを食べる音。彼女はそれが大好き。カルシウムの補強のため、母親が食べさせたのだが、異常にそれに執着する。というか、彼女はいろんなことに執着する。その度に周囲が見えなくなる。そのせいでどれだけみんなを困ら . . . 本文を読む
週末の2日間で、3本の映画を見た。(実際は4本なのだが『アメリカン・スナイパー』はここでは数に入れない)最初の映画は高校1年生が主人公。(『でーれーガールズ』) 最後の映画は高校3年生が主人公。(『幕が上がる』)では、真ん中は?
当然、高校2年生が主人公でしょ。ということで、『ストロボ・エッジ』なのだ。高1、高2、高3の三つの時間を映画で体験する。たまたま、だが、なかなか出来ることではない。し . . . 本文を読む
友だちの付き添いで、演劇部を覗いた。そのまま成り行きで入部してしまった。別にお芝居が好きだったわけではない。でも、気がつくと一生懸命になっていた。3年が引退して、これも成り行きで、部長になってしまった。台本なんて書いたこともない。演出なんてしたこともない。でも、みんなを引っ張って、コンクールを目指すことになった。今まで地区大会を勝ち残ることさえ出来なかったのに、新しくやってきた先生に乗せられて、全 . . . 本文を読む
30年の歳月は重い。1980年、岡山。東京から転校してきた少女。15歳。高校1年の入学式。山口百恵が引退する年。たったひとりで路面電車に乗り、学校に向かう朝。映画はそこから始まる。そして、30年後。再びあの町に戻る。母校の創立記念日に講演をするために招かれた。彼女は今では売れっ子の少女マンガ家になっている。そこで16歳の冬、別れたクラスメートと再会する。
30年を経て、出逢うふたりの女の子。高校 . . . 本文を読む
自信がなかったから、演劇部の顧問はしなかった。「運動部の方がいいから、」とか言いながら実はそれはいい訳。芝居を見るのは好きだったけど、するもんじゃない、と思う。そう思っていた。でも、それもただ自信がなかっただけ。
この映画を見ながら、やっぱり演劇部の顧問って、凄いよ、と改めて思った。もちろん、この映画の黒木華演じる先生が、ではない。その時僕は自分が知っているたくさんの先生たちを思い浮かべている。 . . . 本文を読む