ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

アルザスの美女と野獣

2008年04月08日 | チーズの話

Photo クアトロのチーズ界は、パルミだコンテだパヴェだと大にぎわいである。そこへさらに何やら一癖ありそうな新入りがやって来た。
名前は、ゲヴェルツトラミナールと名乗っているがもとはと云えばマンステールである。マンステールはフランスのドイツとの国境沿いアルザス地方で作られる歴史あるウォッシュチーズだ。アルザスの青い空と表現されるほど、素晴らしい自然を持つ地方だ。恵まれた自然の中で育ったこのチーズは修道女たちに過酷な運命を与えられる。このチーズは塩水で磨かれ熟成し、鼻が曲がりそうなほど臭いチーズになる。しかし、それは表面だけのことで、その内側にはねっとりと舌にからみつく美味しいチーズが隠されている。
「美女と野獣」は、魔女の魔法で野獣に姿を変えられてしまった王子の物語だが、まさしくチーズ界のその野獣のようなものだ。そして野獣に見そめられた心優しい美女こそがアルザスのワイン「ゲヴェルツトラミナール」である。そのワインはライチのような香りを持ち全体に気品のある味わいをかもす。マンステールはゲヴェルツトラミナールに恋をしてしまった。そして彼はある日、ゲヴェルツトラミナールのマール(蒸留酒)で身を清めるのだった。
マンステールはゲヴェルツトラミナールの香りを身にまとい新たなチーズとして生まれ変わった。それが、クアトロの新入りチーズの愛の物語なのだ。

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