成人指定カルボナーラ

今日は成人式。
成人式を迎えたら、お酒が飲める、タバコが吸える、成人映画を観られる、そしてクアトロの成人指定カルボナーラを食べることが出来る。
その成人指定スパゲッティカルボナーラを注文すると、まずクアトロ・シェフの厳しいまなざしに出会う。
成人指定カルボナーラを注文するに値する大人かを探られるのだ。
成人指定に作っても大丈夫と見極めたクアトロのシェフはフライパンに少量のオリーブオイルを注ぐ。
油が熱くなりすぎないうちに、パンチェッタを投入する。
パンチェッタはこの成人指定カルボナーラには欠かせないものである。
強火でパンチェッタから脂と旨味を取り出し、白ワインが注がれる。
店内は、炭焼き小屋のように煙が充満する。
ピッピッピ。
スパゲッティが茹であがると、クアトロ・シェフの眼差しはさらに厳しくなる。
いつのまにか、鍋には生クリームと卵黄が加わり、パンチェッタから引き出された脂と旨味がこの生クリームと卵黄と一体となり、完璧な乳化を見せている。
そこに、絶妙の茹であがりを確認したスパゲッティが投入され、さらにパルミジャーノのパウダーが、惜しげもなく大量に加えられる。
スパゲッティにほどよいとろみで絡まったソースを確認し、皿に盛りつける。
鍋に残ったソースも丁寧に掻き出す。
仕上げに、念を押すがごとくパルミジャーノのパウダーを振りかけ、最後に粗挽きの黒コショウをガリガリと挽く。
出来たてだということを誇示するように緑のパセリのみじん切りが飾られて完成だ。
そのソースの濃度こそが、成人指定となっている「濃厚カルボナーラ」なのである。