イタリアのオーストリアとの国境近くにあるサンダニエレは生ハムの名産地だ。
アドリア海から吹き上げる風とアルプスから吹き下ろす風が出会うこの地域は、生ハムの乾燥と熟成のために神に約束された場所と云われている。
生ハム用の豚のエサにはドングリなどを使うこだわりがある。
生ハムは豚の後ろ足二本が使われる。
サンダニエレの生ハムはモモ肉をプレスし余分な水分をのぞき、肉の旨味を強調するのが特色。
肉の断面にはアドリア海の海塩を塗り、400日の熟成を待つ。
厳しい審査の上、サンダニエレの烙印を押された生ハムが日本にも出荷される。
そのサンダニエレの生ハムはクアトロの看板メニューのひとつだ。
クアトロの父は、骨付きのサンダニエレの内モモの部分から切り出す。
ややピンクがかった脂をはずすとマグロの大トロのように脂の差しが入った部分が出てくる。
薄くそぐようにクアトロの父が包丁を入れる。
おろしたてのプロシュートの脂の美味しさは格別だ。
脂という認識よりも、よく熟した果実を口に含む印象を受ける。
さらに、ナッツのような風味が鼻を抜けていく。
プロシュートの脂をはずして食べる人もいるが、これはちょっともったいない。
そして、柑橘系の風味を持った白ワインでこのプロシュートの余韻を楽しむ。
今日ならば、99ウエストのピノ・グリがおすすめだ。
生ハムと白ワイン、ここに大人の時間があるのだ。