ルー・デュモンの造るファミーユと云う白ワインとボージョレ・ヌーヴォー2011とクレマンを揃えたクアトロ。
そのルー・デュモンのオーナーは仲田さんと云う日本人。
彼は、自分の手で「造り手の体温を感じることのできるおいしいワインを造りたい」という夢を抱き、1995年に渡仏。
そして、フランス各地のワイン生産者のもとでワイン造りの修行をしながら、ワイン学校にてワインの勉強に励み、学位を取得。
その後、さらに有名な造り手さんの元で修行を重ね、2000年に念願であったワイナリー、ルー・デュモンを設立とのこと。
ルー・デュモンのワインのエチケットにはどこかに必ず「天地人」の文字が書かれている。
「天地人」と云っても、「愛」を重んじ、「義」を貫き通した武将・直江兼続の子孫ではないようだ。
彼の「天地人」という信念は、天候などの“自然条件”、葡萄を栽培する“土地”、ワイン造りに関わる“人”、どれ一つ欠くことのできないということ。
昔からの伝統的なワイン造りを模範として、とても基本に忠実なワイン造りをモットーとしている。
その「天地人」のモットーをデザインしたものが、地球から人が太陽に向かってワイングラスとブドウを差し出しているクレマンのエチケットの絵である(写真右)。
これらのワインは、「愛」を重んじ、「義」を貫き通した味わいである。
今年のクアトロは、P.P.(フィリップ・パカレ)のボージョレ・プリムールを仕入れた。
フィリップ・パカレは、ボージョレの自然派ワインの第一人者だ。
化学肥料や農薬を使わずに、自然酵母で仕上げるボージョレを造る。
彼は、かのロマネ・コンティの醸造長の職を蹴ったという。
プリムールとは初めてのという意味だ。
ヌーヴォーとも同義語ではあるが、今年はじめての彼の作品と云う思いが込められている。ヌーヴォーは出来たての旨さが狙いだが、このプリムールは出来たても旨く、さらにビン熟させても旨いワイン造りを目指している。
早く飲むことだけのヌーヴォーとは違うジャンルのものと云うことだ。
このフィリップ・パカレのプリムールは、ガメイ種本来の味わい風味を尊重している。
濃縮感だけを求め、ガメイ種と違うワインを造る昨今のブームには反するワイン造りだ。
クアトロではこのワインはボトル売りだけの扱いになります。
売れ残りは、来年までセラーに寝かせようと思っています。
ボージョレ・ヌーヴォーはそもそも、長熟に向かないワイン用ブドウ品種ガメイ種をどうしたら良いかと云う発想から生まれている。
タンニンが少なく長熟に向かないブドウ品種なのだが、その欠点を長所にしたのが、このボージョレ・ヌーヴォー解禁日と云うイベントだ。
しかし日本のボージョレ・ヌーヴォー人気もだいぶ衰えたようだ。
今年なども報道が少ない。
こういったピンチになるとそれを逆手に取って商売をするのがフランス流だ。
だれよりも早くにボージョレ・ヌーヴォーを飲もうと云った宣伝から、近頃は一年に一度飲むワインだからこそ美味しいものを飲もうと云った宣伝になっている。
クアトロも、今年は例年のピゼイに加え、ルー・デュモンのボージョレ・ヌーヴォーが登場。
このルー・デュモンは仲田さんと云う日本人オーナーだ。
ルー・デュモンのボージョレ・ヌーヴォーも今年で6年目だが、とても評価が高い。
クアトロの父も試飲したが、とても力強い味わいに感嘆する。
マンガ「神の雫」でも仲田さんは取り上げられている。
「日本人もここまでのワインを造るようになったか」
「いや、日本人だからこそ造れたワインだ」
と、云った話になっている。
ルー・デュモンのボージョレ・ヌーヴォーは、たしかに日本人だからこそと云った感じが伝わるワインである。
このヌーヴォーは少量入荷のクアトロだが、ご希望の方にはお飲みいただけます。
ボージョレ・ヌーヴォーを解禁日前に試飲したクアトロの父。
ボージョレ・ヌーヴォーと云っても色々だが、クアトロが毎年入れているピゼイ社のものは、とびきり旨い。
新酒らしいフレッシュさと濃縮感のあるワインだ。
良い造り手となるとビンテージによる出来不出来の差も少ないようだ。
新酒でなくても翌年でも確実に美味しいだろうと思える。
今年2011年も安定した出来映えでした。
このピゼイのボージョレ・ヌーヴォーは、明日からクアトロで、グラス600円でのご提供。
しかし、ここまでは表向きの話だ。
クアトロの父には不満もある。
そもそもボージョレ・ヌーヴォーは、ガメイ種と云うブドウの特性を活かすために白ワインと同じような造りにして、新鮮さを楽しむもの。
さらに、その年のワインの出来映えを占うものだったかもしれない。
このピゼイのものなどは、とても濃縮感のある良い出来であり、これがガメイ種なのかと思う。
ビンテージの差も少なく、安心出来る分、つまらなさもある。
航空便のため価格が高く、まだ円高も反映されていない。
お祭りのワインでも、美味しいにこしたことはないのだが・・・。