湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ファリャ:三角帽子抜粋

2017年05月29日 | その他ラテン諸国
○アルヴィッド・ヤンソンス指揮モスクワ放送交響楽団他(MELODIYA)

透明感のある音響でロシア系の演奏としては異彩をはなっている。美しい。もっとも細かいことを言えばアタックが揃わなかったり弦の弓返しがばらけたりとロシア流儀ではある。歌唱を含む抜粋版でやや凝縮力の少ない選曲だが、いい音で聴けば十分楽しめるだろう。燃え上がるはずの終曲の落ち着きぶり(特に遅いテンポ)がどうも気になるが、好き好きともいえる。このあたり現代的な指揮者といえ、マリス氏にも受け継がれている要素のひとつだろう。

※2005/7の記事です
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☆ファリャ:三角帽子第二組曲

2017年05月27日 | その他ラテン諸国
○ドラティ指揮ミネアポリス管弦楽団(mercury)LIVE・CD

わかりやすくて胸がスカっとするファリャ、と言われて真っ先に思いつくのがこの三角帽子である。スカッといってもいろいろあって、本国ふうのからっと晴れた透明感のあるものもあるけど、これはまさにアメリカのオケが楽天的というより物凄い形相で直進し叩きつけてくるような演奏で、ああ、三角帽子はこうだよ、と思わせる。ムーティもいいがしゃれっ気より私は力感とスピード感をとる。ハデハデに鳴らされる各声部、最後の踊りなどスコアどうなってんのというくらい分厚く力みなぎる響きが頭をガツンとやる。この曲好きだし弾いたこともあるけど、面白いと思った演奏というのは数少ない。これはその一つだ。古きよきアメリカの剛速球芸を久しぶりに聞けた。モノラルゆえ、○。名演ではないが、とにかく、凄まじい。

※2005/10の記事です
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☆レスピーギ:グレゴリオ聖歌風協奏曲

2017年05月26日 | その他ラテン諸国
○スティーラー(Vn)ボルサムスキー指揮ライプツィヒ放送交響楽団(fr:CD-R/urania)1953

「噴水」を彷彿とさせる鮮やかな出だしに身を乗り出すが、ロマンティックなくぐもりを内包した音楽に流れてゆき、その重ったるさに胃もたれ30分強(ヴァイオリンという楽器の性質上しょうがないのだが)。ただ、演奏によるところも大きいし、グレゴリオ聖歌よりも民謡を思わせる親しみやすいフレーズが聴かれるところ、あきらかにRVWの作品に近似したものを持っていて清々しい。演奏技術はそう高いものは求められていないが、このソリストはいかにもドイツ風でギリギリ弦に弓を押し付けて単調な音をひたすら聴かせるオケプレイヤータイプ、音色での楽しみはほとんどない。ボルサムスキーは割りと幅広いレパートリー、とくに近現代を録音していた指揮者でここでも重苦しさはあるもののしっかりと音楽を届けさせてはいる。今これを聴く価値があるかどうかは疑問だが、私のようなボルサムスキーファンは持っていても良いか。ボルサムスキーファンが世界に何人いるのか知らないが。
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☆ファリャ:三角帽子第二組曲

2017年05月08日 | その他ラテン諸国
◎アルベール・ヴォルフ指揮パリ音楽院管弦楽団(DECCA/NARROW RANGE:CD-R)

非常にクリアなステレオ録音。CD-Rは板起こし。ヴォルフの演奏は焦燥感に満ち客観的に響きを整えながらもひたすら直線的に進むイメージがあるが、後年は(少なくともスタジオにおいては)こういうスピードを落とし、ちょっと引いたスケールの大きい演奏も行った。リズム表現は文句なく素晴らしい。踊りの表現は若い頃から巧いが、クリアな録音になってもやはり巧いと思わせる人というのは(ロザンタールを挙げるまでもなく)けっこう少ない。音の隈取が強い男らしい表現で、ライトミュージック的な側面が浮き立ってこないのがいい。音色の煌びやかさも絶妙で、どぎつくなることもなく繊細すぎることもなく、たぶん最もフランス的なバランスのとれた演奏と言うことができるのではないか。今まで聴いた三角帽子組曲では最もしっくりいく演奏でした。
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☆マリピエロ:弦楽四重奏曲第2番「ストルネッロとバッラータ」

2017年05月01日 | その他ラテン諸国
◎ポルトロニエリ弦楽四重奏団(NGS)1928/3・SP

この時代の録音演奏者にしては巧い。スペンサー・ダイクとは比較にならない。安心してオールドスタイルのなめらかなボウイングに艶っぽいポルタメントを楽しむことができる演奏である。曲がカゼッラを巧緻に構成しなおしたように明るくわかりやすく、変則的で短いものの歌曲的発想を背景としたものであることも歌謡的な演奏向きの団体のスタイルにあっている。この長生の作曲家は外れは無い、この曲では特にフランス派が好きな向きは、踏み外さない前衛性とミニアチュール志向を込みで楽しめよう。同団体及びファーストのアルベルト・ポルトロニエリは古典演奏を中心とした活動を行ったが(古楽ではない)、同SP期にカゼッラとボヌッチでブラームスのトリオ二番を録音している。マリピエロもイタリア復古主義の中で古典志向に変遷した作曲家だった。オルフェウスQが全集を出している(8番まで、殆どが表題付き)。

ネット配信中

オルフェウス弦楽四重奏団の全集;今や1133円・・・
Malipiero: Complete String Quartets / Orpheus String Quartet
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☆レスピーギ:ローマの松

2017年04月20日 | その他ラテン諸国
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1960/12/23LIVE

モノラルで、録音が悪ければ悪いほど良いように聴こえるというのは、つまるところ悪い演奏だった証拠だが(「悪いステレオ録音」というのもあるけど)、録音を聴く側は聴き易ければ問題ないわけで、こちらのほうをおすすめする。派手なだけでハスッパなブラス陣もバンダ含めインホールの茫洋とした音響の中ではその荒さや欠点を補われ、立体感はやや損なわれても総体的に美しい音響に昇華される、よくあることだ。1楽章に違和感がなく、2楽章から重心の低い音響がドイツ的なしっかりしたカタコンベを提示するのが面白い。モノラルなのに立体的に聴こえ、3楽章も低い音がしっかり響いて、鳥の声も含めて単なる環境音から抽象音楽として昇華されている。ミュンシュのデフォルメがやや気になる4楽章も大きなクレッシェンドという音量変化がはっきり聴こえてわかりやすい。最終音を異常に引き伸ばすのはしかし成功しているのか・・・終演後の冷静な拍手・・・
Comments (2)
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☆ヴェルディ:弦楽四重奏曲

2017年02月11日 | その他ラテン諸国
○レニングラード・フィル協会弦楽四重奏団(MELODIYA)LP

これが古風ではあるがなかなか面白い曲なのである。1873年の作品でアイーダの後くらいか。冒頭主題からして、ちょっと歌謡曲チックではあるもののリズムの刻み方や理知的な構造の面白さでおっと思わせ、すぐにフーガなどが巧みに織り込まれた見事な構造的アンサンブルが繰り広げられる。のちのタネーエフ弦楽四重奏団はこれまた見事に歌謡曲にせずに純音楽的な演奏を繰り広げており、高潔さすら漂う。技術的部分以外でローカリズムの発露が無いからイタリアオペラの大家の趣すら無いのが逆に面白い。時代的にいえばかなり挑戦的な作風でもあり、個人的にロマン派バリバリの曲は余り好きではないのだが、それでもその一種前衛的な部分に惹かれて全曲聴きとおしてしまった。曲全体としては確かに中期ロマン派のベートーヴェン影響下にあると言えるもので名作と断言することには躊躇があるし、演奏者も特異な表現をとっているわけではないので最大評価にはしないが、好きな人はすきだろうなあ。
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☆アルベニス:組曲イベリアより四つの印象(アルボス管弦楽編)

2017年01月11日 | その他ラテン諸国
◎ガストン・プーレ指揮LSO(discover/MGM)CD

父プーレの代表的指揮記録で、CDは残響過多ではあるがそのぶんほぼステレオに近い高精細の音響を楽しめる。いやこれは勢いがあって素晴らしい。アルボスの編曲は極めてファリャ的であり、垢抜けしたカラフルなものでとても聴きごたえがある。めくるめく転調の連続などワグナーの跡を継いだような巧緻な譜面を見事に管弦楽に移し替えている。その編曲の巧みさ、原曲の斬新さ・・・スペイン国民楽派からドビュッシーらの旗揚げする近代音楽側へ踏み出した姿・・・を存分に楽しめる。プーレの勢い任せのような部分は無く、ストレートで、ラヴェルを聴いているような錯覚に陥るほど美しい。これはCDで聴くほうがよい。○。Amazon.jpでダウンロードも可能。
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☆レスピーギ:ローマの松

2016年12月11日 | その他ラテン諸国
○コッポラ指揮パリ音楽院管弦楽団(Gramophone/RICHTHOFEN:CD-R)1920年代

有名な録音にもかかわらずSPでしか聴けず(盤自体の流通量は多かったが)復刻が待たれていたもの。戦前仏グラモフォンで近代音楽の網羅的録音を使命とされたピエロ・コッポラ(割と近年まで存命)。フランスものはイタリア盤CDでかなり復刻されていたが、同時代にあっても雑味も厭わずただ高速で突き通す、ワンパターンな指揮者として余り評価されていなかったようである。しかしこれは他のSP指揮者のものにも言えることで、収録時間の制約があってそのテンポを取らざるを得なかったという説もある。派手な表現、特にオケの色彩を引き出すことには長けており、ただテンポとリズムが単調なためにドビュッシーのような繊細な音楽には向かなかっただけである。

従ってこのようなテンポとリズムが単調でも聴けてしまう音楽には非常に向いている。私はこの異様なテンポは好きだし、中間楽章は確かにこの録音状態では是とはしがたいけれども、終楽章の突進はトスカニーニとは違ったスケールの小さな爽快さというか、世俗的な喜びが感じられ、表現の振幅は全然違うけれどもクアドリを彷彿とさせる楽しい音楽になっている。変なケレンがなく、ただスコアの面白みが存分に表現されている。この時代のフランスの弦楽器は確かにちょっと雑過ぎる。しかし、この曲は弦楽器なんかいらないから大丈夫(暴論)。○。
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☆ポンセ:ヴァイオリン協奏曲

2016年11月25日 | その他ラテン諸国
○シェリング(Vn)ハイキン指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(AKKOPA)1950年代・LP

シェリングの愛奏曲であるが同じ愛奏曲シマノフスキの2番に似た曲想にラテンアメリカのリズムと旋律が僅かに織り交ざる抽象的な作品である。この盤、かつては異常な高額盤だったが確かにバティスのものより抜群にすぐれた演奏ぶりである。シェリングの真骨頂を聴く思いだ。この曲によくもまあそんな心血注ぐ演奏振りを・・・と思わせる一方には録音のよさがあり、シェリング全盛期の凄まじい、しかし高潔な音が聴ける。高潔といっても無機質ではなく、音が撚れない跳ね返らないとかそういった意味でである。ポンセはわりと最初から最後まで弾き捲りで曲をまとめていて散漫な印象もあるが、シェリングはその音を余すところなく表現し、ハイキンもオケのロシアロシアした部分を抑えてひたすらシェリングのバックにまわっている。演奏的には素晴らしい。しかし、この曲は・・・まあ、好き好きかな。終楽章で初めてメキシコってかんじになる。シェリングはほんと珍曲好きというか、まあ、縁のある作品にはしっかり応える誠実さのある人だったのだろう。シェリング全盛期の力量にちょっと驚いた。○。他に2記録まで確認。
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☆ファリャ:三角帽子~三つの踊り

2016年10月07日 | その他ラテン諸国
◎ロザンタール指揮パリ国立歌劇場管弦楽団(accord/ADES他)CD

LPの派手さにイカれてCDを買ってみたら、かなり柔らかい音にびっくり。聞きやすいけど。モノなんかステレオなんかもはっきりしない。美しくなまめかしいのは変わらず明瞭なリズムと共に品格を失わずして民族的歓興を呼び起こす。補正痕はアデだから仕方ないがやや聞こえすぎ。薄いヴァイオリンがまとまりよく聞こえるようになっているのは嬉しいが。LPでのバラケ感が消えている。ロザンタールらしい落ち着きが気にならなくもないが、極めて色彩的な音処理で十二分にカバーされている。余りにあっという間に聞けてしまう名演です。ラテンだ!ベガ録音、ウェストミンスターが買い取ってのちアデがCD化、長年を経てロザンタール追悼ボックスの一部として復活した。

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☆レスピーギ:ローマの松

2016年09月02日 | その他ラテン諸国
◎モントゥ指揮ORTF(M&A)1956/5/3live・CD

余りに音作りというか旋律作りがリアルで、音楽自体が単純化されイマジネイティブのかけらもないトスカニーニふうの即物表現なので、はじめはどうかと思った。しかし、次第にこの演奏の凄みを感じだす、けっして少しも端すらもイマジネーションをかきたてられないし旋律ばかり耳につき音量変化も小さくひたすら強音、みたいなかんじなのに、何か得体の知れない魔物の強靭なかいなに首ねっこをつかまれ、アッピア街道に引きずり出されそのまま土煙にまみれてローマへ連れ去られるような、ものすごい「迫力」に圧倒された。演奏陣がまた稀有なくらい完璧なのである。充実した響き、内面からの共感にささえられた瑕疵のかけらもない表現、隅々まで完璧なのである。ああ、カタコンブは生命力に満ちたミイラたちがカラオケをがなる様だし庭園の鳥たちはスピーカーの音量つまみを最大にひねったように騒々しいし、アッピア街道は最初からもう軍隊が轟音たててる感じ、なのに、これは、◎以外思いつかない。圧倒的、というひとこと。モントゥはハマると凄い。珍しいブラヴォが飛ぶ。録音はモノラルとしては深みも広がりも最高。環境雑音以外の瑕疵ゼロ。
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チャベス:ロマンティカ交響曲(交響曲第4番)

2014年03月05日 | その他ラテン諸国
○バーンスタイン指揮NYP(whra)1960/2/8live・CD

ミヨーふうの楽天的な音楽から中欧ふうの構造で聞かせるカッチリした音楽までよく練り上げられた構成の中に配置されている。三楽章制の連続して演奏される交響曲だが、緩徐楽章を挟んで急峻部があるごくオーソドックスな構成だ。緩徐楽章には晦渋な箇所もあるがそれほど長続きせず、楽天的なメロディや強いリズムによって娯楽性を顕にする。録音起因で音場が狭くせせこましく感じるところもあるが、アンサンブル自体の緊密さ~凄まじく緊密なわけでもないが~はよく聞こえる。リズムが膨張したりと手探り感のある箇所も無きにしもあらずだが、それは仕方ないか。
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チャベス:インディオ交響曲(交響曲第2番)

2014年03月05日 | その他ラテン諸国
○バーンスタイン指揮NYP(sony)1963・CD

単純でわかりやすい、12分程度の曲で、構造的な部分もみられるが、むしろユニゾンで強奏される旋律と、異なる不規則なリズムを刻むマラカスのような楽器の対比がひたすら流れ続ける中間部に本質があるように思う。単純過ぎて飽きるというものだが、バンスタはよく歌わせ聞かせている。メキシコということでミヨーに接近すると思いきやあのような複雑さは持ち合わせず、よく選んだ音符のみで構成されている。楽天的で楽しい作品なので、気晴らしにいい。
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ファリャ:バレエ組曲「恋は魔術師」

2013年08月10日 | その他ラテン諸国
◯ストコフスキ指揮北西ドイツ放送交響楽団(SCC:CD-R)1952/7/7

熱気ある曲に即興的で拡散傾向の指揮者、そこへきて冷たく精緻なドイツオケというところが面白い。精緻さが滑稽なまでに曲の熱気を克明に「再現」しているところが面白い。ストコフスキーの勢い任せの指揮がやや違和感を覚えさせるが、オケがうますぎて崩壊なぞしないものだから迫力に押し切られて、これでいいのだ、と思わせてしまう。筋肉質で圧倒的なオケ。録音も案外良い。◯。
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