○パレー指揮デトロイト交響楽団(mercury,warner/tower records)1960/2・CD
シベリウスでもだんとつの旋律美としっかりした構成感を誇る交響曲だが、パレーの芸風だと少なくとも「美」は機械的なアンサンブル能力の披露と明るく明瞭な響きの維持にすぎない。そこに特有の剛速球、高速度が加わるとデトロイトの弦ですらついていけない箇所が散見されるようになり、このようなスタジオ録音でさえばらけたままにされている部分がある(パレーは何度も録り直しするような人ではなかろうが)。緊密な演奏を指向する指揮者にもかかわらずやはり、「楽器」の機能性の限界を超えるような解釈についていかせるほど暇がなかったようだ。
だが迫力は凄い。1楽章から既に力む声が入っている。3,4楽章にいたっては、シベ2の正規録音でもトップクラスの出来といえよう。スコア指示すら単純化解釈し緩急に欠けるところはもうスピードと力で押し切る。でもこれはそういう曲なのだ。そのやり方だと、2楽章はきつい。スコアを即物的に音に換えるパレーの方法論はこの楽章にはきかない。ただ音が鳴っているだけだ。南風の吹くフィンランド、といった音色(しかもいつもどおり単調)も好悪あるとは思うが、セカンドチョイスにはいいかも。○。