湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

☆ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ

2017年12月12日 | ストラヴィンスキー
○ロスバウド指揮南西ドイツ放送交響楽団(vibrato:CD-R)1952

vibratoとKARNAは怪しい(表向き)頒布CD-Rレーベルで、他レーベル音源からの剽窃すら行っているらしいが(あるいは同じ音源の使いまわしか)、じっさいアリアなどのリストの下のほうにただ列挙してあるものの中には、データはきちんとしているものの、結局中身が一緒という場合も多いようだ。データ精査と盤の材質にトラックの整備(余計なナレーションのカットなど)、一種の篩にかけて「怪しくなさそうなもの」を選んでくれている、その手数料がこの高額に反映されていると言えなくもないのだが。このサーカス・ポルカも最初いきなりブツ切りで始まるようなかんじで驚くが、聴くうちに余りに音が明瞭で拍手もないことから、恐らく放送用スタジオ録音か・・・未発売正規録音の海賊盤と思われる。演奏自体はきわめて整然と切れ味よく透明感すらあり、元々の世俗的な動機は失われているものの、たとえばペトルーシュカの正規録音のように素晴らしい綺麗な演奏になっている。アンセルメを思い浮かべた。○。

※2006-11-18 17:17:39の記事です
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ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

2017年07月13日 | ストラヴィンスキー
イダ・ヘンデル(Vn)マルコ指揮デンマーク放送交響楽団(forgottenrecords)1959/1/29liveコペンハーゲン放送

なるほど少し消化不良かもしれない。冷徹な構造物の側面が強い曲に従来のヴァイオリン協奏曲的な「物語」を持ち込もうとして、均整感が損なわれているように思う。また1フレーズ1フレーズ一音一音の表現には力が入るが流れていかない、音符ひとつひとつに拘泥し全体が出来ないヴァイオリン初心者的なところに手探り感がある。四楽章終盤はそれでも聴かせる流石の腕なのだけれど、私の知っているこの曲ではない。びしっと統一された楽章冒頭の重音が、一楽章冒頭からすかされるというか、バラしたように弾くなど表現が違うのが座りが悪かった。モノラル。楽団は比較的派手だが前プロの火の鳥組曲とは出来が雲泥の差。
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ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

2017年07月12日 | ストラヴィンスキー
マルコ指揮デンマーク放送交響楽団(forgottenrecords)1959/1/29live

これは名曲の一番耳慣れた版、楽団も慣れたもので管が素晴らしい腕を発揮してくれる。旋律の美麗さと典雅な響きをマルコなりに打ち出してきているが、オーソドックスといえばオーソドックスで、というか個人技的な部分を除けば解釈に幅の出る曲でもないと思うが、テンポについていえば冷静で、終わりも穏やかにおさめている。が、客席は盛大な拍手。つまりこのモノラル録音がその魅力を伝えきれていない、そういう状態ということ。
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ストラヴィンスキー:三楽章の交響曲

2017年07月12日 | ストラヴィンスキー
マルコ指揮デンマーク放送交響楽団(forgottenrecords)1959/1/29liveコペンハーゲン放送

力強く重厚な反面、細部がアバウトでリズム感の鋭さに欠けるところがあると言えばだいたいどういう演奏かわかるのではないか。しかしストラヴィンスキーの天才や、自作および他作(新古典主義なのだから古典は言うに及ばず個人的に二楽章にいつもドビュッシーのトリオソナタを想起する部分がある)からの「部品」の転用による「リフォーム術」の優れたさまは、それが少し後ろ向きの客受けを考えたような、ペトルーシュカまでの作品のフランスふうの響き、ピアノとハープの典雅な音響の重用ぶりを、ニコライ・マルコはしっかりとらえ、彫刻はすこぶるわかりやすく、荒さもあるが音色に透明感があり水際立った表現にすぐれるオケによって、ライヴで楽しめる演奏にしたてている。執拗な繰り返しが嫌気を催すストラヴィンスキー特有の書法も、魅力的な音と迫力ある響きをちゃんと取り出せばフランスの曲のように楽しめるという例。もっとも、どうもロシア的な迫力も出させてしまい、野暮ったさが否めないところはある。モノラルであまりよくない状態ゆえ、仔細は正直わからない。しかしまあ、バレエ・メカニックと描いている内容は似たようなものだけど、やはりそうとうに簡潔に整理され独自の新古典主義のもとにまとめ上げたから、まるで出来が違うものだ。
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☆ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

2017年06月14日 | ストラヴィンスキー
○D.オイストラフ(Vn)コンドラシン指揮モスクワ・フィル(YEDANG/MELODIYA)1963/2/8ロシア初演・CD

何とまあオイストラフの凄まじいこと。古典派を強く意識した民族的な曲ではあるがストラヴィンスキーの他聞に漏れずリズムから装飾音から異常に込み入っており、さしものオイストラフも終盤乱れるが、即物的に弾くならまだしもオイストラフはいちいちしっかり「表現」しようとし、成功している。だからストラヴィンスキーの意図はともかく、凄まじい。楽しむに程遠い阿鼻叫喚の雰囲気もあるが、バックのこれまた骨張った軋むサポート込みでひとつのドキュメント。○。

※2008/3/7の記事です
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☆ストラヴィンスキー:春の祭典

2017年05月25日 | ストラヴィンスキー
○ベイヌム指揮ACO(LYS)1946/9/11・CD

トラック分けが細かいとHDDプレイヤーのたぐいは細切れになって聞きづらいなあ。わいいとして懐かしのLYS盤からのピック。怒涛の板起こしでマイナー復刻を行いマニアには受けた。未だコレでしかCDになってないものもあるが何しろ音が悪い。アナログ原盤とはいえ篭り気味で雑音もコンスタントに入りヘッドフォンだとややきついかも。ベイヌムは集中力の高いハッキリした輪郭の(ともすると小さく凝縮してしまう)演奏を行うゆえ、解釈的に聞きとりやすくはある。非常にわかりやすく突き進む。ハリばかりでメリがわかりにくいきらいもあるがまあ、凶悪な曲を檻の中でのたうちまわさせる猛獣使いの風情は下手な搦手がないぶん胸がすく。何を振ってもベイヌムな人だが新しい曲も平気で古典同様にならしてしまえる剛腕に納得。○。

※2006/9の記事です。
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☆ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲

2017年05月15日 | ストラヴィンスキー
○シルヴェストリ指揮フィルハーモニア管弦楽団(EMI,DISKY)CD

攻撃的な音楽で聞いていて楽しい。内声の動きもくっきり描き出されていて構造的なストラウ゛ィンスキーの見事な技も堪能できる。3楽章もそうだがピアノやハープが大きく捉らえられており、リズムが締まってかっこいいし、フランス的な美感も宿っている。2楽章の抒情も聞きもの。ドビュッシーの室内楽のような典雅さがありトリオソナタあたりが好きな人は楽しいだろう。なかなかの演奏。オケが没個性というか特徴や力感に欠けるのは仕方ないか。録音もやや篭り気味(ステレオ)。それらマイナスで○。
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☆ストラヴィンスキー:兵士の物語(全曲)

2017年05月05日 | ストラヴィンスキー
○ギレス(語り)シモン(兵士)ジャック(悪魔)アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(claves)1952/4/17ジュネーブ放送録音・CD

生々しい放送ライヴで迫真味ある演者と最初こそチープであるものの次第に熱をおびたリズムと表現の正確さとのバランスよい音楽が初演時の舞台を想像させるに十分な姿を示している。アンセルメの全曲版はこれだけだそうである。ライヴのアンセルメ、それもフランスもの周辺のものとあればロシアもの同様、冷徹以外のものが期待できる。しかも舞台作品でリズム系の音楽とあれば「譜面表記以外のもの」を「図らずも」引き出してしまう、ストラヴィンスキーは否定したろうしアンセルメ自身も本意でない部分もあったろうにせよ、これは演者の迫力含め、録音の弱さを除けば十分な感興をあたえうるライヴである。○。
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☆ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1911年版)

2017年04月23日 | ストラヴィンスキー
○コーツ指揮交響楽団(HMV/PASC)1924/10/24、29・SP

これは割りと聴き応えがあり、分厚いオケを鳴らす(もっともこの録音では分厚いオケは使われていないだろうが)コーツの適性とも言うべきものが遺憾なく発揮されていると思う。録音の悪さが足を引っ張るが、リムスキーの音楽から始まったストラヴィンスキーの作曲人生の最初の大花にたいして、やっぱりリムスキーへの師事から本格的に音楽家としてのキャリアを開始したコーツが左右わからずスコア分析だけを拠り所にするような演奏をするわけがない。とても音楽的で、とても雄弁。ただ、少しデリカシーも欲しい。○。
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☆ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」より第二部生贄の賛美~生贄の踊り

2017年04月17日 | ストラヴィンスキー
ローゼンストック指揮NHK交響楽団(CBS,NHK)1956/11/28live・LP

このコンビにはあることのようだがかなり生硬で、スコアをちゃんと音にするのに専念するだけになっている感は否めない。血だけでは演奏できない難曲ではあるが血を演出するくらいの「凄み」がどこかにないとつまらない。縦を意識しすぎの気もする。優秀録音のせいで音は激しく迫ってくるが、まったくそそられなかった。
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☆ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

2017年03月31日 | ストラヴィンスキー
○マルケヴィッチ指揮RIAS交響楽団(audite)1952放送録音・CD

最初は錯綜する音符をいちいち整え前進力が損なわれた感を抱いた。スコアに忠実にしすぎている、というふう。しかし破壊的な踊りが始まると決してそれがテンポの淀みではなく脚を縦に踏み鳴らすようなストラヴィンスキー特有の数学的舞踏を忠実に再現し、自ずと原始の感興を呼び起こすまでの経過点だったことがわかる。マルケの出自を思わせる咆哮、強弱の極端な差異付けやリズム表現の野蛮さが、一方で厳しい統制のもとに踏み外すことを禁じる禁欲者っぷりと並立し、RIASの本気が少しの軋みもきたさずに、マルケのハルサイ、という一つの「解釈」の頂点を示している。モノラルなのが惜しい。
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☆ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(リハ付)

2017年03月29日 | ストラヴィンスキー
○マルケヴィッチ指揮日本フィル(PLATZ)1968/2/29東京文化会館live(リハ1963/9/23)・CD

日フィルが技巧的にすぐれている。マルケのシャープな指揮に機能性でこたえ、また重量感のあるバランスのとれた音で気を煽る。ブラス陣がややおとなしいものの、やはりマルケにかかるとここまでリズムのキレたオケになりえるということか。テンポはそれほど速くはなく、それだからこそ小粒にまとまらず、元来の重さが壮大さに置換され、カッコイイというよりしっかりした演奏になっている。マルケのライヴは素晴らしい。リハもなかなかにすぐれた演奏ぶりが断層として聞ける。○。
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☆ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

2017年03月21日 | ストラヴィンスキー
○モントゥ指揮ボストン交響楽団(WHRA)1957/4/13live・CD

迫力の重量級演奏でかつ俊敏、モントゥの統率力、それに従うボストンオケ各パートならびにアンサンブルとしての技量の高さが伺える良録音。見通しのよいリズム構造に響きへの配慮が行き届いたさまはあくまで不協和的でありながらも合理的な音楽性を浮き彫りにし、ただ精一杯に元スコア通り振った日々より長年をへて、モントゥがこの曲に対して得た個人的見識が膨大なスコアへの書き込みになったんだろうなあ、とボックス表紙のスコア検証中写真を見て思った。作曲家本人の意思とは恐らく違う娯楽性やドイツ的な構築性が持ち込まれているとしても。◎にしてもいいくらいだが録音が若干悪いので○。どうも既出の気がする。。このてのものの録音月日はあてにならないので、レア演目の場合は特に注意。ハルサイはメジャーなのでわかんないゆえ別としておく。
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☆ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲

2017年03月14日 | ストラヴィンスキー
○作曲家指揮コロンビア交響楽団(sony/COLUMBIA)CD

甘さの微塵もない演奏。2楽章の荒涼などいかにもこの人らしい。純音楽的とでも言ったらいいのか。一音一音深く斬り込むような発音の激しさには一種快感すら感じる。前進性も全く損なわれていない。細部まで明瞭な録音のせいもあって実に迫力がある。男らしい演奏の見本だろう。全体設計が見えてこないきらいもあるがそもそも曲を譜面のまま再現できれば演奏家の設計など不要と考えていたこの人なりの様式なのだろう。録音のよさから◎にしたいところだが、作家の意図を越えたこの曲の潜在的な魅力・・柔らかな抒情や幻想・・というものを 求めたい私は○ に留めておきたい。
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☆ストラヴィンスキー:ハ調の交響曲

2017年03月01日 | ストラヴィンスキー
○ストコフスキ指揮NBC交響楽団(DA:CD-R/Guild)1943/2/21live・CD

ちょっとびっくりするライヴ録音集なわけだが、ストコフスキのストラヴィンスキー「交響曲」というのも断片的にしか知らなかったので興味を持った。しかし、やはり曲の取りまとめ方に問題があるというか、部分部分のパートは素晴らしく颯爽とした表現で技術力の高さと集中力を示しているのに、オケ全般のアンサンブルが甘いように聞こえる。ストコフスキ特有の、音色統一の無さ、ロシア風ともいうべき「雑さ」のようなものが気になる。もちろん同曲はストラヴィンスキーでも人気のある曲ではなく、中途半端な新古典主義に立っており、このようなのっぺりした演奏になってしまうのも致し方ない退屈さを孕んでいる。だが、まあ、、、曲に指揮者があわないという気がする。NBCに対して○。
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