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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

リヴィエ:弦楽四重奏曲第2番

2018年12月23日 | フランス
パスカル四重奏団(columbia/forgottenrecords)1951/7-8・LP

frで板起こしされた発掘音源。状態は褒められたものではないがリヴィエの古い録音はなかなかないので貴重。基本的にはミヨーの影響下にあって、一楽章の美しさはそれを凌駕してさえいるが、この人は必ず現代的な音響で落としてくる。二楽章はまだミヨーの晦渋な緩徐楽章を型式的に組み直した感じがするが、三楽章はもう精神的にやられている感じ。パスカルは美しいが、やはりリヴィエの方法にはあまり共感している感じがしない。超高音の扱いなど依然ミヨーなんだけれど、一楽章だけ聴く曲。
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オネゲル:交響曲第2番

2018年12月23日 | フランス
クリップス指揮NYP(forgottenrecords)1961/12/9live

珍しい選曲だが、そういう演目にありがち、すなわち「借り物みたいな演奏」激することなくノーマルにやっていて、この人の瑞々しさ、テンポ良さ、リズムの良さは出てこない。このオケにしては色彩感はあるかもしれないが、テンポは遅め、発音も大人しく、突き刺すようなささくれだった音でこそ表現できる戦中作品という点では迫真味は薄い。ただ、三楽章で闘争から凱歌に転調する前後より俄に弦の刻みが強くなり、オネゲルらしい音楽になる。悪くはなく、現代の演奏からすると迫真味が無いとも言えないが、まだ同時代と言える時期にあって、やはりあまりやらなかった曲を仕事でやってる感は否めない。録音がモノラルで環境雑音を始めノイジーなのも印象悪くしたかもしれない。期待しすぎた。
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ジョリヴェ:交響曲第1番

2018年12月21日 | フランス
ツィピーヌ指揮ORTF(ina配信)1970/4/15放送live

PHF07009498。さすがにこの位の時期になってくるとブーイングも少ない(拍手も少ない)。ツィピーヌは旺盛かつ職人的にまとまった演奏をするのでこの曲には適しているが、散漫な内容はそのままだしオケも拡散的になっている。何故かこの曲は録音がわりとあり、youtubeでも聴くことができるが(1954年ツィピーヌ)、メシアンを百年遡らせたようなブカブカドンドンの「植民地主義的」野蛮主義を交響曲にまとめたものである。ジョリヴェは半端なところがあり前衛としては古く書法も甘く、懐古趣味としてはサービス精神が足りない。ジョリヴェは戦前復古的作品も後年おおく書いていて、異国趣味の精華を理知的に反映させた個性的だが人好きする作品も書けたというのは、前衛にとっては日寄ったもの、復古趣味にとっては歪んでいる、と受け取られる。そこが不幸でもある。
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プーランク:バレエ音楽「典型的動物」組曲

2018年12月19日 | フランス
ロザンタール指揮ORTF(ina配信)1956/2/2live2/9放送

平易で美しいだけの音楽。最初はプーランク版「蜘蛛の饗宴」かなと思うが、ルーセルよりさらに遡ったくらいの平易な喧しさが耳をつんざき、これはどうなんだろうと思う。プーランクの洒落た戦前的な夢見る心地は戦後のパリ聴衆を魅了したかもしれないが、いかにも大衆的で古い。原詩を頭に入れて聴かないと映像がなければよくわからない描写的表現も多く、ロザンタールだから派手派手で押し切れるが、弱い指揮者だと印象付けることは難しいかもしれない。オケはプーランクに似合った懐かしい音を出すが、俊敏すぎる書法の場面ではギリギリ。拍手はまあまあ。この放送は当然モノラル。ina.frだとPHD89036288。
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サンカン:ピアノ協奏曲

2018年12月19日 | フランス
作曲家(P)ロザンタール指揮ORTF(ina配信)1956/2/2live2/9放送

独特の曲。サンカン教授だから弾きこなせるしサンカン教授だからブーイングより拍手が大きいのだろう。強いて言えばプーランクが前衛に走ったら、という感じか。部分部分にスクリアビンの半音階など要素はあるにはあるが、ほぼ「サンカン」である。かといって新味を追うだけの前衛ではなく親しみやすい範囲の書法も織り込み何とか聴衆に取り付く島を与えている。まずもってピアノの技巧を見せつける曲か。面白みを感じられるのは現代曲に慣れている向きだけだろう。最初で嫌になったら、三楽章だけ聴けばスポーツとして楽しめる。プーランクと言ったとおり娯楽的な和声もなくはない。サンカンの現代一歩前の曲は一部に受けるのか、かつて一曲につき書いたらえらくアクセスがあった。ina.frだとPHD89036288。
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メシアン:トゥーランガリラ交響曲

2018年12月05日 | フランス
ナガノ指揮BPO他(warner/erato他)CD

誇大妄想的にならず緊密で、しかしロスバウトのように地味にもならずしっかり聴かせる演奏。ぶよぶよした演奏だとオンド・マルトノが縦横無尽にみよーんみよーんするのが南国的で気持ち悪い面もあるが、オケのせいもあってか抽象度の高さの中にその位置づけを明確に意識させており管楽の一部として機能している。さほど新しい録音ではなく、オケも派手派手にはならないため長尺ゆえ飽きる可能性もあるが、機能性という部分で一長あることは確か。
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フォーレ:レクイエム

2018年11月29日 | フランス
アンゲルブレシュト指揮ORTF他(ina)1954/12/30live1955/1/6放送

モツ40、ドビュッシー選ばれし乙女につづくこの日のメイン。アンゲルブレシュト得意の曲だが意外と生命力があり、ロマンティックではないがしっかりメロディを聴かせるような音響になっている。モノラルの放送エアチェックレベルの録音で(一か所撚れる)それほどインパクトの強いものではないし、透明感はあるが繊細さは思ったよりないので、こだわりなければ他の良い録音で聴くのがよい。
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デュルフレ:レクイエム

2018年11月23日 | フランス
モーレーン(b)デゾルミエール指揮ORTF他(ina)1947/11/1live放送

録音はノイジーで悪い。曲は清澄で適度に人好きする内容、デゾルミエールにしては情感もあり惜しい。割とすぐ聴き通せた感。フォレレクを好きならこの曲も受け容れられるだろう。フォレレクより表出力は大きいし、どちらかというと初期六人組ぽさもある。
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☆フランセ:木管五重奏曲

2018年03月20日 | フランス

○フランス国立放送管弦楽団木管五重奏団(EMI)1953・CD

四楽章からなる小品でじつにフランセらしいが、あまた書いた室内楽の他聞に漏れず細かくトリッキーな動きが難しい曲で如何にもピアニストの曲といった趣だ。弦楽アンサンブル曲でも同じことは言えるが、恐らくもっと鋭い音の切りかたが可能な弦楽器のほうが向く作曲家でなかったのかな、と思う。といっても木管五重奏曲の名作といわれる作品であり、技巧の見せ所満載。フルートとクラとホルンあたりに旋律が偏重している一方、地味ではあるが非常に細かい(特に終楽章!)音符を吹きこなすバソンなど面白い。さすがにこの曲になると高音がちょっと辛い部分が僅かにあるけれど、まあほんとに難曲ゆえのものだ。あと、和音が非常に綺麗!オケ首席楽団だけあって音色が完璧に揃っており音量バランスも計算し尽くしたようですらあり、音響的に素晴らしい。モノラル。アナログではプーランクのゼクステットの裏面。○。

※2009-01-14 10:18:41の記事です
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☆ミヨー:春

2018年03月04日 | フランス
○ギドン・クレーメル(Vn)エレーナ・クレーメル(P)(PHILIPS)1980版・CD

非常に美しい小品で「ミヨー臭さ」のない交響曲第1番第一楽章をもっと薄めたような感じ。確か何かの自作からの引用だと思うが忘れた。ミヨーには春と名のつく曲は他にもあり、有名なところではピアノ小品集の中の組曲「春」、一番有名と思われる「春のコンチェルティーノ」がある。ミヨーの南欧的な暑苦しさは多少硬質な音で薄めないと重すぎる。シゲティがこの曲を録音していたり、ゴールドベルグがコンチェルティーノを録音していたり、これは現代曲専門演奏家だからという以上の意味があると思う。プロヴァンス風の暖かく軽やかな曲想の魅力が複調性的な音の重なりによって損なわれている場合も多くあり、そこにユダヤ系作曲家としての個性が発露していると解釈することもできようが、「このメロディにそれはもったいない・・・」と思うところも多い。その点この数分程度の曲だけなら、余裕で楽しめると思う。クレーメルの音も適している。○。

※2006-03-03 10:41:53の記事です
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☆オネゲル:二台のヴァイオリンのためのソナティナ

2018年02月28日 | フランス
○D./I.オイストラフ(monitor)

晦渋な3楽章はともかく1、2はときおり美しいミヨー風の響きや旋律があらわれ、とくに2楽章の第二主題が単純で美しい。オネゲルの響きはとにかく濁っているので、半音階的な動きをともなう伴奏がたまらなく気持ち悪かったりするのだが、この曲も伴奏側は至極つまらなそうである。しかも変な音でもしっかり音程をとらないと意図通りの響きを出せない。練習曲を意図したわりには動き自体はゆるゆるだし、短いわりにちゃんとやるのは大変であろう。技巧派のこの親子ならではの音色の統一感に息の合い方が効いている録音だ。ライナーをプーランクが書いている。

※2008-02-07 10:55:38の記事です
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☆ベルリオーズ:幻想交響曲

2018年02月23日 | フランス
○ラフリン指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(melodiya)

豪放磊落とはまさにこの人の芸風を言うのであり、オケのボリューム、異常なテンションとちょっと引いたテンポのかもす独特のロシア臭、ぞんざいな音処理の雑然とした印象が却ってこの演奏、このオケ、乱れまくっても筋は常に通っているアンサンブルや独特のロシア奏法に、指揮者の「これでいいのだ!」解釈といったものの特長を強く印象付ける。まったくもってこの安定したテンポでここまで強気で押し進められるとまさに「重量級戦車の轟進」といった趣で、緩徐楽章においても常に押しの強いソロ楽器が少しも曲自体の弛緩した部分を印象付けない。まったくロシアだよ、といったラフリンらしさ全開の演奏。幻想で感銘を受けることはそうそうない私だがこれは面白かった。ただ、これが正規録音と考えると、断頭台の行進から警句的な怒りの日の主題をまじえたまさに阿鼻叫喚のくだりにおいて弦楽器のテンション余って揃わないアンサンブルぶりといったらなく、勢いは凄いけど◎にはできまへん。また、有名な舞踏会のワルツはいささかワルツらしい遊びのない「夢の無い」ものとなっている。ラフリンらしいけど。ゴロワノフのジークフリート牧歌とのカップリング。

※2007-01-10 11:09:38の記事です
Comments (2)
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☆フローラン・シュミット:バレエ音楽「サロメの悲劇」

2018年02月14日 | フランス
○フレイタス・ブランコ指揮ポルトガル国立交響楽団(STRAUSS)CD

私はデュカが得意ではないのだが、デュカ的な劇性にドビュッシー的な色彩を加え、ルーセル的な(とくに印象主義から脱した頃の)重厚壮大さを反映させたようなこの作品もまた、どうも得意ではない。確かに隙が無く無難に聴けるが、何かに似ている、ここはあれだ、あそこはこうだ、という以上のものが聞き取れない。名演が少ないというのもさもありなんな、例えばルーセルの蜘蛛の饗宴のように代表作なのに名演を決めかねる位置づけのものに思える。この録音は一連のブランコ放送録音の中に含まれてCD化されていたものだが、管楽器がいかにもファリャ的というか、スペイン・ポルトガル圏のオリエンタルな雰囲気をかもし、ちょっと不思議な軽さを感じさせる。フローランはもっと重くスクリアビンと逆側から中欧音楽を眺めたような音楽・・・だが曲にはあっている。合唱はつかず全曲でもないが、このコンビはけして上手とは言えない録音も多く、その中ではよく描ききっており、特にバレエ音楽ふうの愉悦的表現、躍動感と色彩性は特筆すべき聴き所だろう。変化を愉しむ曲でもあり、そのうえでは終始同じ明るさに包まれすぎているようにも思えるが、まあまあ、と思います。○。

※2009-10-07 10:22:09の記事です
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☆ミヨー:弦楽四重奏曲第2番

2018年02月13日 | フランス
◎パリジー弦楽四重奏団(AUVIDIS)CD

強靭さのないアンサンブル。しかしそのアンサンブル能力の自然さ、高さと柔軟性が長所に感じた。柔らかく線の細めな、フランスというよりイギリス的な融和しやすい音に惹かれたわけでもあるが、ミヨーのカルテットでいちばんわかりやすく、かつ魅力的な旋律が理知的な構造の中に組み合わされ配されて、しかもその中に非凡な技巧的工夫が過剰にならずさらっとミヨーならではの形で篭められている。「雑多で硬派なミヨー」のファンにはまだ「六人組の描く牧歌」の範疇を抜けていない日寄った作品ともとられかねないわかりやすさだが、コントラストの著しくとられた各楽章にも鮮やかに統一主題が変容され導入されて形式感をしっかり維持していたり(かなり中欧の古典的作品を研究したようである)、2楽章には宗教的な暗い主題がミヨーの代表作にも一貫してみられる独特の雰囲気をカイジュウなハーモニーにより(また構造的に懇意だったシェーンベルクあたりに通じる萌芽も感じる)しっかり内容あるものに仕立て、四、五楽章のボリュームとともに力作大作感を強めている。この演奏はとくに構成が練られており意図を理解しやすい。三楽章を軽く風のように流しているのは少し物足りなさもあるが実に安定し上手い楽団だなあと感心させる無理のない柔軟性を兼ね備えた俊敏さだ。とにかくプロヴァンスのあたたかな日差しを思わせる融和的な音色と、作曲の技巧や先鋭さを強調したような分析的演奏に走らず音楽として綺麗なものを聞かせようという意図に惹かれた。◎。

※2006-07-04 09:41:25の記事です
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☆フランセ:二台のピアノのための協奏曲

2018年02月06日 | フランス
○作曲家、パイヤール・フランセ(P)デルヴォ指揮ORTF室内管弦楽団(FRENCH BROADCASTING PROGRAM)LP

芸術とは存在しないものの模造品、とはラヴェルの言葉だが、フランセの美学においては存在しそうなものの模造品、ということになる。この作品はいつものフランセのように小規模編成ではあるが、長さは一般的なピアノ協奏曲並の長々しいものとなっている。WERGOに別録の自演CDがあったと思うが、親しみやすい主題をひたすら機械でいじくりまわしたような、退屈な印象があった。この古い録音でも印象は変わらない。より狭い音場で親密なアンサンブルが繰り広げられているあたり残響の多い新しいものより聴き甲斐はあるのだが、主題がどこかで聞いた様なものばかり、それも半端にいじくられて机上論的なリズムの組み換えを施され、弾き辛そうだなあピアノ以外、とか思わせる余裕を与える冗長なかんじがある。終楽章などフランセがフランク(のシンフォニー終楽章の主題)を模しているんだなあ――あるいはドビュッシーの幻想曲でもミヨーのピーコンでもプーランクの何かでもいいが――と思ってから終わるまでが長い長い。いや、楽しい曲で、気軽に聴けるのだが、本領はもっと短くスッキリまとめる手際のよさにあり、二台のピアノが必要なのかすら疑問に思わせる「疎」なスコアにも、「らしくなさ」を感じるのであった。○。

※2010-07-12 12:11:40の記事です
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