ロート四重奏団(COLUMBIA)SP
第三期メンバー(ロート、アンタール、モルナール、ショルツ)。戦中プレスの日本盤で。ルーセル晩年作、形式的には明暗をしっかりつけ、おおむね古典的なソナタ形式による四つの楽章を保とうとしながら、雰囲気においてそれに囚われてはおらず全曲を通してのムードの変化があり、またオーケストラ的発想に基づいた音楽を四本に縮めたようなところがあるが、全盛期の「管弦楽のための組曲」といったリズムや旋律重視の曲とはまるで異なり、分厚い和声のみに語らせるような内省的な音楽で、過去のフランス楽壇の甘やかな記憶が夢のように浮かび(ルーセルはそこに定住せずむしろ中欧で評価を受けた作風の人だが)悲痛さすら醸し出してくる。これはしかし後年のレーヴェングートなどの演奏からは聴こえないものなので、終始整った客観的姿勢を崩さないロートにあっても、時代が音に出てしまった、と言えなくもない。明るく軽い音の持ち味がラストではルーセルの弱みである重い構造をカバーして、何か開放的な雰囲気が凄い。重苦しい中間楽章からの変化は聞き物。
第三期メンバー(ロート、アンタール、モルナール、ショルツ)。戦中プレスの日本盤で。ルーセル晩年作、形式的には明暗をしっかりつけ、おおむね古典的なソナタ形式による四つの楽章を保とうとしながら、雰囲気においてそれに囚われてはおらず全曲を通してのムードの変化があり、またオーケストラ的発想に基づいた音楽を四本に縮めたようなところがあるが、全盛期の「管弦楽のための組曲」といったリズムや旋律重視の曲とはまるで異なり、分厚い和声のみに語らせるような内省的な音楽で、過去のフランス楽壇の甘やかな記憶が夢のように浮かび(ルーセルはそこに定住せずむしろ中欧で評価を受けた作風の人だが)悲痛さすら醸し出してくる。これはしかし後年のレーヴェングートなどの演奏からは聴こえないものなので、終始整った客観的姿勢を崩さないロートにあっても、時代が音に出てしまった、と言えなくもない。明るく軽い音の持ち味がラストではルーセルの弱みである重い構造をカバーして、何か開放的な雰囲気が凄い。重苦しい中間楽章からの変化は聞き物。