湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ

2006年03月03日 | プロコフィエフ
○ギドン・クレーメル(Vn)エレーナ・クレーメル(P)(PHILIPS)1980版・CD

作曲意図どおり練習曲としてよく使われる曲である。魅力的な1楽章の機械的走句の連環がいかにもプロコフィエフらしいが、特にその他の楽章ではやはりプロコフィエフらしい創意というかクセもあり一筋縄ではいかない。もっともクレーメルにはお手の物だろう。手軽に聞けるし、流して聞いてもいい、そんな演奏だ。感情とかいらない。○。
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ストラヴィンスキー:デュオ・コンチェルタント

2006年03月03日 | ストラヴィンスキー
○ギドン・クレーメル(Vn)エレーナ・クレーメル(P)(PHILIPS)1980版・CD

有名な作品だが、まさに面目躍如といった感じのクレーメル、技巧と機械的なアンサンブルを要求するストラヴィンスキーにピッタリ。ガチャガチャうるさいけど冷えているストラヴィンスキーの世界に血を通わせて、やはり共に同じ国を捨てたとはいえ同じ国の血が確かに通っている、そう思わせる。叙情味が薄く曲想にも取り立てた魅力が無いので大して興味のわいてなかった曲なのに結構面白く聞けたのは演奏家のおかげか。○。
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サティ:左右に見えるもの(眼鏡なしで)

2006年03月03日 | サティ
ギドン・クレーメル(Vn)エレーナ・クレーメル(P)(PHILIPS)1980版・CD

ゆっくりすぎると思った。だいたい70年代の再発見以後録音されたサティは硬質な不協和音を一つ一つ忠実に響かせることを目的とし、横の流れ(「時間」)を無視するかのように非常に遅くインテンポで演奏されることが多いのだが、この曲は珍しく擦弦楽器を使っていることからもわかるとおり、ある程度「生きている」必要があり(死んだ神の目線からの現代楽器ピアノと卑俗な人間の目線からのロマン派楽器ヴァイオリンの取り合わせが妙なのだ)、クレーメルの余りに丁寧で「哲学的な」演奏は含みとしてある本質としてのエスプリに不向きだと思う。いかにサティが破壊的意識をもって「和声」を組み立てていたかがわかるものの、クレーメルが技巧派すぎるということもあってちっとも血が通っていない。だから面白みがないのだ。各曲の描き分けも不明瞭である・・・コントラストが重要なのに。音色が硬く金属質で比較的細いため、共にサティ的な静謐なフレーズを奏でるときでさえピアノ負けしている気もする。とにかく、考えすぎだ。無印。
Comments (4)
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ラヴェル:ボレロ

2006年03月02日 | ラヴェル
チェリビダッケ指揮シュツットガルト放送交響楽団(MORGAN'S:CD-R)1975/4/11LIVE

引き締まったオーソドックスな演奏で、晩年のものとは違い前進的ではある。ブラヴォが物凄いけど、正直かなり茫洋とした放送エアチェック録音のせいか特筆すべきところもなく、平板で平凡な演奏に聞こえる(精度は認める)。左のチャネルが拍手に入るまで(つまり「終演後」まで)少し弱く聞こえるのも気になる。盤として無印。他盤と同じ可能性あり。
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マーラー:交響曲第6番

2006年03月02日 | マーラー
○ベルティーニ指揮ケルン放送交響楽団(EMI)CD

これは私がハマった最初の演奏であり、あのティクルス以後都響との好演でハマった向きも多いことだろう。この人はやや現代寄りの曲を専門としていた。フランス経験でフランスものも多くやったが、この全集を聞く限り本領はやはりマーラーにあったと言わざるを得ない。一楽章、最初はアタックが甘くやや精度低いなあと思った。けして遅くはないが解釈もやや単調である。しかしこれが計算だったとは!精度はともかく設計の妙で展開部が進むにつれ徐々に引き込まれていき、再現部からコーダへ向けて雄大にリタルダンドしながらすこぶる絶妙なルバートを仕掛けてくる。曲を知り尽くし、確実にツボを押さえているのだ。弱音の丁寧さ、美しさも特筆したい。ロンバールには勢いはあるがコレがない。基本的にオーソドックスではあるが、解釈にメリハリがあるからつまらなくはない。確かに歪みがない点スコアをしっかり表現しつくしている点初心者向けだ。内声までしっかり組み上がり詰まっているから聞けば聞くほど味が出る。提示部反復あり。二楽章はやや冗長だが重くマーラーらしいぎくしゃくした舞曲を忠実に表現している。弱音部の丁寧さは冗長感もあるが音数の薄いマーラー特有の「諦念」にも聞こえるから不思議。三楽章はやわらかい抒情をはらんでやさしい。四楽章は壮大にドラマティックに進み聞きごたえがある。やはりオーソドックスながらも弱音部の表現に細心の配慮がなされ魅力を感じる。細かくも結構はげしいデュナーミク変化のしなやかさ自然さは持ち味だろう。やはり一部にパワー不足を感じる部分もあるが総体として充実しており音響はふくよかで立体的に感じる。最後の高揚感とコーダの落差は出色である。録音がやや古いので人により音場がせまく音像がぼやけて感じられるかもしれないがアナログ世代は聞きやすいかも。ファーストチョイスに向いた好演。○。
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マーラー:交響曲第6番

2006年03月01日 | マーラー
○ロンバール指揮ハーグ・フィル(RO)CD

態度が悪いことで有名なロンバールによる「フランス人であることが信じられない」紛れもないマーラーの演奏。こりゃマーラーそのものです。この速さ、鋭さ、張り詰めた気合だけでもう満点をあげたくなる1楽章(ハーグがやる気になったらここまでできるのだなあ!)、2楽章も常に明確な発音とテンポ感でかっこいい。やや平板な3楽章とちょっとダレる4楽章前半を除けば「現代の演奏とは思えないほど」ガツガツしたマーラーになっていて、非常にうれしかった。管楽器は弱いところもあるけど、弦はとにかく素晴らしい。バランスもいいし感情もある。カウベルが低めな音なのも好き。ちゃんとハンマーガツンと鳴るし、買ってよかった・・・これでも80分かかってるのだから、いったいどういうテンポ設定なのか、少なくとも冒頭のテンポだけとってみればシェルヒェンと比較できるくらいなのに(しかも精度は段違いにこちらのほうがいい)。とにかく余りのドラマティックで迫力ある演奏ぶりに、久しぶりに「悲劇的」の醍醐味を味わった感がする。連続してバルビ・ニューフィルのHUNT盤ライヴが始まったのだが、テンポのダレっぷり、余りの落差に聞くのをやめた。◎にしたいが3楽章の叙情の不足をかんがみて○。いやー、生で聞きたくなる。
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