湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

マーラー:交響曲第5番~Ⅳ.アダージエット

2006年09月15日 | マーラー
○メンゲルベルク指揮ACO(pearl他)1926/5・CD

これは前に書いたシンポジウムのようなSP板起こしできくべきではない。雑音はこの曲にはそうとう邪魔。パールの綺麗に整えられた音できくと、メンゲルベルクらしさ全開(+SPらしいセカセカしたテンポ全開)のこの独特のアダージエットをたのしむことができる。有名な録音だがマーラーらしさというよりメンゲルベルク芸の一環として、非常に颯爽としたテンポですがすがしさの中に物凄い瞬間ポルタメントの渦、ルバートはわりと自然で雑味を呼び込んではいない。アダージエット単品としての解釈ともいえ、この曲だけで一つの激しい感情を表現している。○。
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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ~Ⅱ.ワルツ

2006年09月15日 | チャイコフスキー
○メンゲルベルク指揮ACO(pearl)1928/5/12・CD

これはパールで初めて出たとされる同日の二テイク目。有名なほうに比べやや甘い。テンポ変化やアゴーギグがややきつめで、冒頭テンポは遅い。コントラストがつけられ主部はほぼ同じテンポだが音の切り方など表現のきつさは上だ。そのぶん雑味が呼ばれている。○。
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チャイコフスキー:弦楽セレナーデ~Ⅱ.ワルツ

2006年09月15日 | チャイコフスキー
○メンゲルベルク指揮ACO(pearl他)1928/5/12・CD

ニテイクあるがそのうちのこれは有名なほう。これも他聞に漏れず速い。欧風舞曲の揺らし方がメンゲルベルクの自動車的ドライヴ感とあいまって絶妙のバランスをもたらしている。野暮な演奏が多いからこそこの曲はくどく聞こえるのだ。これは素晴らしい。音の悪さを除けば(パールはだいぶがんばって雑音除去している)。○。
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ラヴェル:ボレロ

2006年09月15日 | ラヴェル
○メンゲルベルク指揮ACO(pearl他)1920/5/31・CD

pearlレーベルは新しいものでもダメだ。このCD(90年代末)も肝心のこの曲の中間部分が思いっきし劣化していた。古い日本盤企画(andanteや最近のものじゃなくて)「メンゲルベルクの芸術」にも収録されているものだが、そもそも90年代初頭モノでは日本盤でも信用できない。80パーセントは聞ける状態にあるし、クライマックス前に復旧するのと他のトラックには影響はないようなので(ほんとに劣化か?)何とかとりあえず手段を考えようとレーザーの強力な(?)ドライブを探しているところである。演奏自体はかなり満足いった(だからこそ残念なのである)。パールにしては音もいい(だからこそ残念なのである)。聞きやすさは他のマイナーSP板起こしより上だろう。パワーには欠けるが元々パワー溢れる演奏ぶりであるからいい。メンゲルベルク(のとくに30年代くらいまでのSPモノ)の特徴は、

1.速い
2.ポルタメント

の二点である。速さはもちろんSPという収録時間をケチる媒体の特性上の理由もあることだろう。颯爽としたテンポに、弦の頻繁なポルタメント(統率が凄い)を織り交ぜたかなり強烈な揺らし(舞曲的な揺らし方である)をしなやかに織り交ぜてくる。そのためコントラストで「情緒纏綿」といった印象を受ける。じっさいはそれほど物凄くロマンティックに揺れることはない。基本は力強く突き進む、である。ボレロは殆ど音量変化は聞き取れないが(というか劣化のせいかもしれないが途中でいったん音量が落ちたりする(泣))ひたすら突進する音楽の楽しみはまさにショスタコのレニングラード冒頭を彷彿とする「軍隊行進曲」で、小太鼓の鼓舞にしたがって音楽は突き進み盛り上がる。かといってミュンシュなんかの芸風と違い恣意性の目立つやり方をしていないしオケの音色も統一されまとまりがいい。とにかく全般かなりいい。「メンゲルベルクの芸術」のこのトラック、誰か聞かせてくれないですかねー(笑)◎にした可能性をのこして○。

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マーラー:交響曲第7番

2006年09月14日 | マーラー
○ブーレーズ指揮ロンドン交響楽団(KARNA:CD-R)2004/10/13LIVE

エアチェック雑音あり。辛口淡麗。いや淡くはないか。硬質でハッキリしていて、引き締まった俊敏な演奏を展開している。このともすると淡い色調をかもしかねないオケの本来の技術的ポテンシャルを引き出し、メリハリのきいた表現を(緊張感のすさびのようなミスもあるが、弦楽器など合奏パートはとくに)極めて統率の行き届いた驚くべき完成度をもって提示してくる。確かに面白いかどうかは趣味による。初めは大局的な特徴のない演奏だと思った。ブーレーズならではというかつての閃きのない。しかしこのひとの指揮者としての円熟は、確かに客観の枠をこえてロスバウトと別の地平に主知的な抽象の個性を楼閣している。きくほどに読みの深さが歴然としてくる。ここではとくにアグレッシブさも顕著だ。非常に評価を迷うところもあるが(「どっちか」なのだ)敢えて中間の○をとる。当代1番の夜の歌であることは確かだろうなあ。ムラも否めないブーレーズだが、やはりオケの力は大きい。ブーレーズはだいたいマーラー振り過ぎ。
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ブルックナー:交響曲第9番

2006年09月13日 | ドイツ・オーストリア
○スヴェトラーノフ指揮スウェーデン放送交響楽団(MORGAN'S:CD-R)1999/3/5LIVE

非常に遅いが端正な印象を受ける。オーソドックスと言ってもいい。ブルックナーにしてはねっとりしたフレージングが目立つにしても三楽章あたりになると繊細で怜悧な美観のほうが強く感じられるがゆえに過度にロマンティックではなく思われる。さほど個性的ではないがスヴェトラにしては非常にまっとうなブルックナーを演じているとは言えるだろう。達観や哲学をかもすほどには至っていないが、大曲から客観的に構築性を紡ぎ出すことに専念したかのような晩年の芸風をよくあらわしたエアチェック録音である。○。
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ラヴェル:ツィガーヌ

2006年09月12日 | ラヴェル
◎コーガン(Vn)ハラバラ指揮モスクワ放送交響楽団(multisonic)1957live・CD

物凄い力みかただし聴衆の雑談(?)も気になるが、「こんなん誰もできねーよ!!」という圧倒的な演奏力で唖然とさせる。表現の深みを問われるような綾のある曲でもなし、豪腕コーガンの淀みなくしかし激しくラプソディックな演奏ぶりはバックオケの好演ぶりとあいまって(無茶明瞭なハープソロから始まる音色表現の巧みさには瞠耳)非常に聞きごたえがある。凄いです。フランスというよりスペインだが(それでいいんだけど)それにしてもこの猛牛は凄い体格だ。合奏部分は響きがやや重いが録音がそんなによくないので元からそうなのかわからない。それにしてもテクニックでいえばピカ一ですよコーガン。凄い国だったんだね。ラヴェルじゃないけど、こんなに耳に歯ごたえのある演奏は初めてだ。◎。
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マーラー:交響曲第3番

2006年09月11日 | マーラー
〇ベイヌム指揮ACO,フォレスター(A)(RN)1957/7/14LIVE・CD

生命力溢れる演奏ぶりで、取り立てて特徴的な解釈もなく知見も感じられないが、この大曲をまっとうに聞き通すには適しているだろう。正直この曲に親しんでいる向きは余りの正統ぶりに飽きてしまう可能性はあるが、緊張感を保ち力強く引き締まった演奏ぶり、ACOのマーラー適性を最大限引き出したような明確な音色の妙には魅力はあり、〇とすることに躊躇はない。技術的な綻びはご愛嬌。
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マーラー:交響曲第6番

2006年09月05日 | マーラー
○ベイヌム指揮ACO(TAHRA)1955/12/7LIVE・CD

録音劣悪。覚悟がいる。ニュアンスの伝わらない平板な音に超ドライな解釈ではいくら力感に満ちていても聞くのが辛い。いや力感すら四楽章になるまで伝わってこない。緩徐楽章が二楽章にもってこられているがこれもつまらない。要所要所のテンポルバート以外に耳をひく要素がない。四楽章になると音楽そのもののせいかダイナミズムが結構伝わってきてやっと聞けるようになってくる。雄渾で男らしいマーラーに色もついてくる。弦の音のニュアンスがかなりしっかりつけられていることに気づかされる。引き締まった演奏ぶりに憧れのような感情もやどり、ベイヌムのライヴらしい烈しさが肉付けされて聞こえるようになってくる。ブラス陣の表現力にも感服させられる。起伏の伏のほうの表現がなかなか聞きごたえがあることにも気付く。独特の「リアルな」歌をかなでる。だがミスも目立つ。この演奏、案外危ういのだ。弦楽器が激しすぎて崩壊しかかる場面もミニマムではけっこうある。集中力がシェルヒェン的な方向へいってしまう、基本解釈が率直なベイヌムでそれは逆効果だ。それでも四楽章は興奮するし、この長さを感じさせないドラマティックな楽章は評価されてしかるべきだろう。録音マイナスで無印以上にはできない。

後日補記>よく聞くとかなり面白い面もあるので○に修正。けっこう短気な起伏もあり力強い。アンダンテ楽章のニュアンス表現がけっこう強くつけられているが全体的なバランスは崩さない。スケルツォ楽章のテンポ感には賛否あると思う。個人的には三拍子が均等に重くアクセントつけられている点にはちょっと違和感をかんじた。舞曲じゃなくて行進曲だ。行進曲として聞けば重々しい表現はしっくりくる。でも個性的な中間楽章である。ベイヌムには交響曲のほか、戦争直後のロンドンでの歌曲伴奏のライヴCDもある。

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