湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

チャイコフスキー:交響曲第5番

2008年02月25日 | チャイコフスキー
○ホルライザー指揮バンベルク交響楽団(VOX)

どうも音色といいアバウトな演奏ぶりといいリズムの小気味よさといいウィーンの気がする。つまりはオトもリズム取りも好きということである。指揮は実直で解釈は直線的だが柔軟性がないわけではないからこそ、ライヴに近い雰囲気を楽しめる。後半楽章でとくにテンポが前にいきっぱなしになり弦が走り弓の返しがあわず、木管がつんのめりまくるスタジオ録音とは思えない箇所が気になるが、艶ある音色と覇気のようなものに騙されてよしとしてしまう。BRSO的ではないが4番も同じオトがしているので、ホルライザーの指示が音色にまでうまく反映されているのだろう。○。
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リャプノフ:交響曲第1番

2008年02月22日 | ロシア・ソヴィエト
ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(MELODIYA)LP

ステレオ。だが・・・ステレオだからこそ、グズグズの演奏ぶりが露骨に聴こえてしまう。曲はリムスキーやボロディンの気配もするがおおむねグラズノフ風の渋いものであり、長々しく非構造的で余り上手ではない感のある楽曲になっており、演奏者が如何に料理するかで印象が大きく変わるたぐいのものだが、とにかく木管を中心としてオケの統率がなっておらず、音程すら悪く感じられ、どうにも聞いていられない箇所が多い。無印。
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リャプノフ:交響詩「ジェラゾーヴァ・ヴォーラ」

2008年02月22日 | ロシア・ソヴィエト
○ガウク指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(MELODIYA)LP

ステレオ。リムスキー風のオリエンタルな曲で、極めて色彩的で単線的な取り止めの無いところがいかにもシェヘラザードを彷彿とさせる。表面的な幻想性の強いムードに対してガウクはフランスものやレスピーギで見せた意外と適性あるところを見せていて、美しくもわくわくさせるような楽しい演奏にまとめている。作品的には凡作だが、○。
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タネーエフ:交響曲第4番

2008年02月22日 | ロシア・ソヴィエト
○ガウク指揮ソヴィエト国立放送管弦楽団(MELODIYA/LMC,A440records)

タネーエフ作品としては近年4曲の交響曲が数えられているが、1,2番は習作として作品番号すら振られておらず、3番についても演奏譜が出版されなかったことから、かつてはこの4番が「1番」とされた(但し「2番」以降は無い)。参考までにハンス・モルダーの解説抄訳

~この曲は1898年に作曲されモスクワにてジロティの指揮で初演された。出版は1902年、交響曲第1番作品12としてグラズノフに献呈された。実際にはタネーエフの四番目の交響曲である。1番~ホ短調~は音楽院卒業試験のために作曲された。2番は1878年に書き始められたものの放置され再び筆をとるのは音楽院の仕事を引き受けたのちのことであった。交響曲第3番ニ短調はアレンスキーに献呈された素晴らしい作品であるが、1884年に書かれ後年インペリアル・ミュージック・ソサエティによって初演された。しかし1947年まで出版されることはなかった。

ハ短調交響曲は大規模オーケストラのために作曲されているが、ベートーヴェンの古典的なオーケストラ編成が未だ根本にある。古典的な交響曲の基本である4つの楽章により編まれている。第一楽章(アレグロ・モルト、3/4)はヴァイオリンと木管による主題提示から始まり、他の弦楽器とブラスが主題の第二パートに入ってクライマックスに持っていく。著しいコントラストを示す第二主題のワルツはその後すぐに低弦からモルト・エスプレッシーヴォで提示される。

第二楽章はヴァイオリンの美しい旋律から始まる(アダージオ、2/4)。中間部(ピュー・モッソ)はチェロとベースから律動的で唸るような音形が現れ、オーボエの短くなだめるような旋律によって応えられる。

第三楽章スケルツォ(ヴィバーチェ、6/8)は軽く淡い。オーボエ・ソロの主題から始まる。中間部~三部形式で書かれてはいないが~は6/8から2/4に変わり、リズムのみならず遅いテンポへの変化で印象が変わる。この「トリオ」はアダージオ主題の三~四小節目に基づいており、ヴァイオリンによって再現される。

最終楽章、フィナーレ(アレグロ・エネルジコ、アラ・ブレヴ)でタネーエフは主題の素材を再び第一楽章ならびに第二楽章に求めている。この楽章はまず第一楽章の最初の主題のリズムを変容させた行進曲的なムードから始まる。第二並びに第三主題は第二楽章の中間部からとられている。前者は小さなオーボエの旋律がヴァイオリンに用いられている。後者は唸るような音形の最初からなる。ヴァイオリンとチェロのために編まれているが、暗いムードを保つためにG線で演奏される。解決としてそれら主題を違うスピードで同時に用いているが、まさにタネーエフの対位法的技術の熟練を示している。クライマックスとしてタネーエフは第一楽章のワルツ主題に還り、フルオーケストラによるハ長調・モルト・マエストーソに至る。

~訳してどうこういうこともないし譜例が載せられない以上余り意味が無い気もするが、まあ、こういう曲ということはわかると思う。非常に西欧的な曲であり、メンデルスゾーンやら(作曲技術の練達さが髣髴とさせる)フランクやら(両端楽章の循環的な構造や主題のムードが似ている)、とりわけブラームスやらといったロマン派先行交響曲をかなり意識した作風である。構造的なところは特筆すべきでグラズノフ以上のものがあり、メロディも鮮やかでチャイコフスキーのようによくできている。ガウクはやや弱体なオケを煽りに煽り荒れ狂って、かなりテンポの起伏もつけ、アタックも激しくつけて盛り上げてくる。グラズノフ風スケルツォである三楽章など舞踏リズム処理の巧いガウクの真骨頂だが、一方ゆったりとした表現では音色が痩せがちで、終楽章のワルツ主題回帰など効果的にやろうと思ったらいくらでもできそうなものだが、テンポが急くように速く仰々しさがないから盛り上げ方が足り無い。もっと潤いが欲しい。全般トスカニーニ的で力強いが、同曲の魅力を拡げるものではなく、○にとどめておく。好み的には◎だが。
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ミャスコフスキー:交響曲第1番

2008年02月22日 | ミャスコフスキー
○ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立文化省交響楽団(REVELATION他)1986/3/10・CD

西欧折衷派らしい世紀末中欧ロマン派交響曲!書法はしかし単純なメロディ+ハーモニーで構造的なものはなく初期らしい生硬さをみせる。スヴェトラのように音響バランスの悪さや体臭がなく、曲そのものを客観的に聴ける。気持ちの悪い半音階的進行も目立つが清々しいミャスコ節が既にあらわれており、ワグナー+ブルックナー的な世界の中に初期シベリウス的な単純美が光る。言い淀んで先に進まない長長しい感じはいかにもロシア交響曲でもあるが、ロジェストヴェンスキーならではのリズムの強さと表出力で、通して聴かせる演奏にはなっている。
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アイネム: カプリッチョop.2

2008年02月18日 | ドイツ・オーストリア
○オーマンディ指揮バイエルン放送交響楽団(orfeo)1959・CD

手兵フィラ管ではなく自らのルーツである欧州オケを振ると異常に激しい音楽が紡ぎだされる、オーマンディの貴重な客演記録のひとつで、このヒンデミット的な構造物をその技量の試し所と凄まじく明快にさばききっている。音の一つ一つに並みならぬ力感が感じられ、このムラのあるオケにしては異常に揃った演奏ぶりである。オーマンディの特徴として分厚い弦の高精度なアンサンブルへの拘り、更にブラスとパーカスの厳しく統制された、しかし明るく開放感ある響き、それらがパズルのようにきっちり組み合って隙の無いさまが挙げられる。独逸オケになるとひときわその解釈の構築性のメリットが発揮されるのだろう。なかなかにいい演奏。
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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲

2008年02月18日 | ストラヴィンスキー
○ボルサムスキー指揮ベルリン放送交響楽団(LYS/URANIA)1947・CD

きわめて録音が悪いが演奏は精度はともかくしっかりした足取りのもので悪くない。煌びやかで色彩的な音を振りまく反面重く粗雑な主線の曳き方には好悪あるか、○。
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グラズノフ:ピアノ協奏曲第2番

2008年02月18日 | グラズノフ
○アレクセイエフ(P)ニコラエフスキー指揮ソヴィエト国立放送交響楽団(MELODIYA)CD

ラフマニノフの上をいくロマン極まれるピアノ協奏曲、難度はそれほどでもないがひたすらしつこい旋律の繰り返しを飽きずにどこまで聴かせられるか(単一楽章なので短いけど)が鍵となる。巨匠系だとくどくなるのだ。このソリストの音は透明繊細でホロヴィッツを少し思わせる。くどい曲想を灰汁抜きして美しく演じているのが非常にはまっており、名作だなあ、と曲自体の魅力に改めて気付かされる演奏だ。ただ技術的に不安がないわけではなく最後のほうの強奏部で指が折れたように和音が曇ったところは惜しい。○は余裕でつけられる。
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グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲

2008年02月18日 | グラズノフ
○シュタドレル(Vn)ポンキン指揮レニングラード・フィル(MELODIYA)CD

グラズノフ協奏曲集より、この盤所収の演奏はどれも精度が高くロマンが重すぎず聴きやすい。このソリストもじつに余裕でそつなく、変な半音階的重音書法で意味不明な難度のあるカデンツァ近辺も綺麗にあざやかに当てていっており危なげなく作曲家意図を浮き彫りにしている。曇り無い演奏ぶりはオケにも当てはまり、しかし客観的に整えたかんじのない適度なロマンチシズムの醸された状態であるのがよい。○。
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ヒンデミット:画家マチス交響曲

2008年02月17日 | ドイツ・オーストリア
○チェリビダッケ指揮デンマーク国立放送交響楽団(arlecchino)1968/10/3live・CD

このオケはソリストこそけっこう失敗もするものの総体としてはかなり腕のある中欧的なオケで、この演奏でもヒンデミットのトリッキーな書法をチェリの鮮やかな手腕のままに比較的冷静透明に描いている。ヒンデミットの管弦楽がしばしばもたらす破滅的な爆発も響きの美しさのしっかり残ったものに収められている。チェリとヒンデミットの日和った曲の相性はよく、聴衆はおざなりの拍手だけれども、それなりに聞ける演奏になっている。チェリ壮年期らしい勢いもある演奏。
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ラヴェル:クープランの墓

2008年02月17日 | ラヴェル
○チェリビダッケ指揮デンマーク国立放送交響楽団(Arlecchino)1968/10/3live・CD

ソロミスもあるが意外と精妙でかつ躍動感のある演奏になっている。後年のチェリ的な透明感と壮年期のドライブ感があいまって、録音も悪くは無く十分鑑賞に堪えうる演奏になっている。○。
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ルーセル:組曲ヘ調

2008年02月16日 | フランス
○パレー指揮デトロイト交響楽団(mercury)1957/3・CD

やや雑味あるも金属質に輝かしい懐かしきアメリカオケの音だが、2楽章などけっこう心象的な表現がドビュッシイズムの発露を思わせるも、そののちの半音階的な展開がアメリカのアカデミズム音楽のような印象をあたえるのはオケのあっけらかんとした音のせいだろう。暗い音すらあっけらかんとしている、これはブラス主体の響きにどうしてもなってしまうせいと思う。リズムは強く前進するところはとことん突進、は速い楽章ではしっかり聴こえるが、緩徐楽章の急進部になるともっと重みを持たせており、内声のピアニスティックに細かい動きもしっかり聞こえてきて、パレーらしくもない深さを感じさせる。3楽章は冬の終わりを告げよろこびを唄いまくるペットが超絶に軽やかでトリッキーなところを見せて、さすがアメリカブラスと思わせる。デトロイトは弦がやや揃わないところがあるが、テンポはまったくもって完璧にパレーの即物的な速度にあわせていっている。もともと音色的に多彩な楽章ではあるが、ティンパニの胸のすく表現含めパレーらしい華やかな響きと弛緩しない疾駆を存分に楽しめる。単調で長くなる感は否めないが曲のせいでもあろう。録音のよさが光る。
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ヴェルディ:弦楽四重奏曲~Ⅲ

2008年02月16日 | その他ラテン諸国
○アマール四重奏団(特典盤)1928・CD

ディスクユニオンの2008年初春特典盤で復刻。同時期きっての技巧派で知られた鋼鉄の指40本のアマールQによる演奏で、懐かしき音色を跳ね返るようなスケルツォ主題にのせて完璧に演奏してみせるアマールには舌を巻く。伴奏だけのヒンデミットらも現代でいう「ノリ」をリズムに激しく表現している。この曲はわりと同時代(ヴェルディはギリギリ20世紀まで生きた)の演奏家によってやられていたようである。イタリアというより王道ロマン派弦楽四重奏曲。
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スクリアビン:夢op.24

2008年02月16日 | スクリアビン
○アシュケナージ指揮ベルリン放送交響楽団(DECCA)CD

ピアニストとしてかつてはスクリアビンを弾きこなしていたアシュケナージはわりとスクリアビンの指揮においても適性をはなっている。力強くしかしゆるくうねる旋律が濃厚な響きを伴って一節ぶってくる。オケがあるていど意識的にかっちりやるオケでないと、ワグナーの構造を抜いた旋律構造のみを流用したようなゆるゆるの横長音楽スクリャービンの管弦楽曲は聴いていられないものになりがちで、ワグネリズムの匂い濃厚な特にこの作品、録音を調べるとけっこう職人的オケに発掘系職人指揮者がやっているのはそのせいと言えよう。○。
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オネゲル:交響曲第1番

2008年02月15日 | フランス
○ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト文化省交響楽団(MELODIYA)CD

粗野と言うにはしっかり磨き上げられているが、とにかく音が鋭く圧がドギツイ。現代的音響に注力しているようで、ミヨーと近似したところもあるこの交響曲を、オネゲル独自のものというより同時代のそれとして表現してみせたようにも感じる。曲自体RVWが影響を受けたという風説が正しいかと思えるぐらい叙情的な一方、後年のそれよりも響きがとがっている感もあり、ロジェストはそれを敢えて引き出したのかもしれない。確かにスヴェトラにはできない純度の高い芸当だ。
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