○ドラティ指揮クリーヴランド管弦楽団(放送)1977/3/31live
素晴らしい悲劇的の放送録音をいくつも残しているドラティの、最近CD化されたイスラエル録音を除けば殆どがアメリカオケとのもののひとつであるが、中でも名高いセルのオケとして、ウィーンの響きと高い機能性を誇ったクリーヴランド管弦楽団とのステレオ録音だ。状態はよいが内声はやや聞き取りづらい。基本的にトスカニーニを模したような直線的で乾いたドラマを描いていくスタイルで、マーラーでも保守的できわめてロマンチックな音楽であるのに、とくに緩徐部や楽章があまりに素早くまるで興味がないかのように音色も何も無く投げられていくのには唖然とさせられるが、ドラマティックな楽想、歌謡的な旋律の分厚い表現、スピード、それについていくオケ、ラッパは下品だしブラス走り気味だが、臨時記号だらけの細かい音階をひたすら高速で正確に刻み続ける弦が素晴らしい。セルのライブ録音にときおり聴かれた程度には音程ミスやアタックの甘さボウイングのずれなどなくはないが、ほぼブレイクなしに最後迄弛緩しない演奏ぶりは驚異的だ。クラシックを知らない人間がこんなライブをこの曲で聴いたら、圧倒され魅了されざるをえまい。精密で響きばかり気にする現代の演奏にはない熱いものがある。ハンマーがよく聴こえなかったがまあいい。○。
素晴らしい悲劇的の放送録音をいくつも残しているドラティの、最近CD化されたイスラエル録音を除けば殆どがアメリカオケとのもののひとつであるが、中でも名高いセルのオケとして、ウィーンの響きと高い機能性を誇ったクリーヴランド管弦楽団とのステレオ録音だ。状態はよいが内声はやや聞き取りづらい。基本的にトスカニーニを模したような直線的で乾いたドラマを描いていくスタイルで、マーラーでも保守的できわめてロマンチックな音楽であるのに、とくに緩徐部や楽章があまりに素早くまるで興味がないかのように音色も何も無く投げられていくのには唖然とさせられるが、ドラマティックな楽想、歌謡的な旋律の分厚い表現、スピード、それについていくオケ、ラッパは下品だしブラス走り気味だが、臨時記号だらけの細かい音階をひたすら高速で正確に刻み続ける弦が素晴らしい。セルのライブ録音にときおり聴かれた程度には音程ミスやアタックの甘さボウイングのずれなどなくはないが、ほぼブレイクなしに最後迄弛緩しない演奏ぶりは驚異的だ。クラシックを知らない人間がこんなライブをこの曲で聴いたら、圧倒され魅了されざるをえまい。精密で響きばかり気にする現代の演奏にはない熱いものがある。ハンマーがよく聴こえなかったがまあいい。○。