作曲家指揮LPO弦楽メンバー(lyrita)1971初版・CD
メランコリックなウォルトンを象徴する作品として「ビター・スイート」とライナーに書かれている曲だが、これは単にシエスタを描いたディーリアスと印象派の間の小品と認識してよく聴いた(ほんとにイタリーの青空を思い描いた作品とは知らなかったが)。もっと垢抜けてラヴェルに寄るもさらに疎な削り落とし方をしており、ウォルトンの書法の個性はロマンティックな中にしっかり反映されている。明るく突き抜けた音と整えたような構じ方が、ウォルトン晩年に差し掛かったころの指揮記録としてあまり印象に残らなかったもの、今聴いてみるとこの境地はなんとなくわかる。シエスタなのに録音が良すぎて、ビター・スイートのビターな部分が露骨過ぎるきらいはあるが、これはこれでいいのだろう。