想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

森のなかの特等席

2008-10-27 10:52:27 | Weblog

   まだ本番少し手前の紅葉です。
   あと四、五日で全身が紅に被われ、同時に風が強くなって
   はらはら吹雪のように散ってしまいます。

   ここ一番の見頃は、人知れずひっそりと、森の住人だけが知る時間にあります。
   儀式のようにすみやかに、終わるのです。

   いつもわたしたちは、そのちょっと手前とか、そのちょっと後しか
   見ることはありません。
   余韻を楽しんで、偲んで、それでもこの特等席があることで
   満ち足りた時を過ごせています。

   木枯らしが吹きはじめる前の、今年最後のおだやかな季節。
   それにしても、この色は、まるで平安朝の歌のようで、
   屏風絵に描かれた顔料みたい‥
   人は自然を模倣し、それを文化と呼び、誉めたり誉められたり、
   羨んだり讃えたりします、人同士で。
   (やがて受勲のニュースが読み上げられる文化の日だなあ)
   木には名はないし、勲章はもらわない。
   けれどそれぞれに少しづつ違った華やぎをみせ、そして散り、
   長い眠りの冬を迎えます、いちねんの実りをことほいで。

   勲章はないが、人はかなわない美しさです。
   この前で、傲慢にはなれない、やさしさも兼ね備えて立っています。
   

   
   
コメント
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