黒き猫
菱田春草は、横山大観や下村観山とともに岡倉天心の門下生として、明治時代に活動した日本画家。
西洋画の影響を受け輪郭線を排除した「朦朧体」(もうろうたい)を、大観とともに創始し、日本画の世界に新風を吹き込んだ。
37年の短い生涯ゆえに、長命だった大観の陰に隠れた観があるが、春草の早熟で枯れた趣のある絵は、品の良さと清浄な美しさを漂わせている。
その春草の画業で意外に多いものが、猫を描いた絵だ。
調べたうちでは、13点もあるのだ。
猫の持つ、孤独を受け入れ生を楽しむ凛とした佇まいを、さりげなく画面においている。
そこでは、一瞬と永遠を同期させているのだ。
そして、猫は、毛並みよく、まあるい目をしてとても愛らしい。
春草は、モチーフとしてだけ猫を見ていたのではないと確信する。
他によらず、自分の世界を持つ猫を、愛していたのだと。
彼の絵が、なによりも雄弁に物語っている。
自分も猫を飼っているが、春草のように絵を物する事が出来るだろうか。
時折、春草とは比べるべくもないが、我がねこの絵を描いてみる。
雰囲気と愛情だけは、詰めてあると思っている。
いつしか、彼女をきちんとした形に創れたならと、密かな野心を抱いているのだった。
梅に猫
菱田春草は、横山大観や下村観山とともに岡倉天心の門下生として、明治時代に活動した日本画家。
西洋画の影響を受け輪郭線を排除した「朦朧体」(もうろうたい)を、大観とともに創始し、日本画の世界に新風を吹き込んだ。
37年の短い生涯ゆえに、長命だった大観の陰に隠れた観があるが、春草の早熟で枯れた趣のある絵は、品の良さと清浄な美しさを漂わせている。
その春草の画業で意外に多いものが、猫を描いた絵だ。
調べたうちでは、13点もあるのだ。
猫の持つ、孤独を受け入れ生を楽しむ凛とした佇まいを、さりげなく画面においている。
そこでは、一瞬と永遠を同期させているのだ。
そして、猫は、毛並みよく、まあるい目をしてとても愛らしい。
春草は、モチーフとしてだけ猫を見ていたのではないと確信する。
他によらず、自分の世界を持つ猫を、愛していたのだと。
彼の絵が、なによりも雄弁に物語っている。
自分も猫を飼っているが、春草のように絵を物する事が出来るだろうか。
時折、春草とは比べるべくもないが、我がねこの絵を描いてみる。
雰囲気と愛情だけは、詰めてあると思っている。
いつしか、彼女をきちんとした形に創れたならと、密かな野心を抱いているのだった。
梅に猫