rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

エゴン・シーレ、痛々しいエロティシズム

2011-10-11 23:35:30 | アート
 二人の女

20世紀初頭、ウィーンで活動した画家。
当時盛んであったウィーン分離派の巨匠グスタフ・クリムトに師事していたこともある。
エロティックな作品を多く描いた両者だが、その質は対極的だ。
クリムトは、豊饒で蠱惑的なエロティシズムだが、シーレは、未熟さを残した痛々しく刹那的なエロティシズムなのだ。
おそらくは、第一次世界大戦前夜の不穏な時代が空気となって、シーレの絵にささくれ立った死の影を落としたのかもしれない。
まさに彼の絵には、有刺鉄線が絡みついているのである。
少女も青年も、己が性の衝動に苛立ち、一瞬の生にしか実感を見出し得なく、ほの暗い冷たい死に怯え諦めているようだ。
だから、彼の絵をずっと観ていると、その絵に絡まっている有刺鉄線によって心が傷つき痛みを覚える。
そして、なお皮肉なことに、最晩年の絵には、生きる喜びに輝く絵が生み出されているのだ。
生の終わりの、束の間のきらめきにも似た絵だ。
彼自身の、家族によってもたらされた恩寵。
しかし、残酷にも、その当時世界的に猛威を振るったスペイン風邪の死の大鎌に、矢継ぎ早に断ち切られることで終わりを迎えた。
でも、彼は、彼の物語を最後まで貫徹できたのだと思う。
彼の前にも後にも、彼はただゆいいつの画家たりえているのだから。

 死と乙女

TPPは遺憾

2011-10-11 11:46:55 | つぶやき&ぼやき
TPP,環太平洋戦略的経済連携協定または環太平洋パートナーシップ協定の通称。
加盟国の、サービス・人の移動・関税の撤廃・知的財産権の共有・衛生検疫・紛争の相互解決など、まあ国境の撤廃、大きな経済国家の樹立みたいなこと。
海という、天然の要塞に囲まれ、かなり高い確率で国防を布いてきた日本。
日本に入り込むものを選別してきたおかげで、安穏とした暮らしを行ってきたのだ。
それが無制限に入り込み、また持ち出されるようになっては、よっぽど油断なく物事を見極め対処していかないと、取り返しの付かないことになってしまう。
そんなに大きな経済圏を作る必要があるのだろうか?
国によって、ばらつきがあるのは当然のこと、通貨格差や教育格差だってあるのだ。
シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリが、2006年に発足させたのだが、2010年よりアメリカが主導権を握り拡充を進めている。
しかし、どうみても、環太平洋パートナーシップと謳いながらアメリカのより強固な支配下に諸国をおきたがっているように見えてならない。
小さい国同士での連携ならば理解も出来るが、そこになぜアメリカと、そのお供のようにして日本が参加しなくてはならないのか?
過激に想像するならば、アジアの大国に日本を奪われないための方便にこのTPPを使おうとしている気がするのだ。
アジア地域における、御しやすいアメリカの飛び地日本。
いまもその価値があるのかいささか疑わしいが、日本は蓋のない甘い蜜ツボのようなものかもしれない。
地震と台風さえなければ、日本は狭い国土に僅かな平地でも、まことに素晴しいく豊かなところだ。
また、強者による弱者の搾取を助長し、いっそうの弱肉強食の世界へと変えていく。
もし、この協定に参加して、20年後いかなる国に変わっているのか、よくよく考えて見なくてはいけない。
荒れた土地を蘇らせるのには、何倍もの労力と時間が掛かるものだ。
なによりも、自分の子孫の行く末と、誇りに思っている(?)日本の文化を存続させる為にも。