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20世紀アメリカの抽象画家サム・フランシス。
彼の作品は、ダイレクトに網膜を透過して心に沁み込んでくる、水溶性の液体ようだ。
いや、彼の作品と鑑賞者の間を、命の水が取り持っていて、作品から発せられた色の光が差射し込んでくるといったほうがいいかもしれない。
その色の光は、細胞にまで浸透して、命の輝きを思い出させてくれる。
希望を失いかけたとき、ふと浮かんできた高純度で透明な青。
それは、彼の作品のイメージだった。
知人の個展で観た作品は、サム・フランシスのような色合いで描かれたものが混じっていた。
もともとモノクロの作品を描く方なのだが、あの3・11以降に描いた作品には思い切り純粋で明るめの色を意図的に使ったのだという。
人の自衛本能なのだろうか。
サム・フランシスが、どういう境地でこの色彩にたどり着いたのか分からない。
だが、彼の作品を観て、浄化されない者はいないのではないか。
輝く透明な色彩、これは、教会のステンドグラスに通じる。
色を伴った鮮やかな光が、人を優しく包み清めてくれる。
また、浮遊する色彩は、極楽浄土を描いた曼荼羅のようでもある。
具体的形を持たなく、時にはパターンが繰り返されるのは、イスラムのモザイクタイルといえなくもない。
サム・フランシスは、何をみたのだろうか。
それとも、清浄な世界を夢見て、天上的な色彩を駆使し、絵を描きたかったのか。
憧れと希望を託して。
いえることは、彼の絵を観ると、生きる希望が、命の尊さを思い起こせることだ。
根源的なところに、直接作用する彼の秘策で。
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