rock_et_nothing

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安全は安くない

2015-03-26 23:56:38 | つぶやき&ぼやき
中くらいの人が中学校通学用に買った自転車は、3段ギア付で3万円くらいだった。
ナポレオンの愛馬の名を冠したその自転車は、買って早々から数多の不具合を呈する。
それでも、何とか騙しながら三年間乗り果せたのは、中くらいの人の工夫に負うところが大きい。
小さい人の中学通学用の自転車は、先の教訓を下にとりあえず日本の有名メーカーの名がついた2万円ほどでギア無しのシンプルな物にした。
ところが、乗って間もなくタイヤがパンクしてその修理を家人がしたところ、なんとタイヤの構造に問題があってパンクしやすい状態にあることが判明する。
タイヤの内側がに荒い凹凸があり、走行するとチューブがそれに擦れて穴が開くのだ。
自転車をこよなく愛する家人にとっては驚愕の事実、このように悲惨なタイヤを見たのは初めてのこと。
タイヤのメーカーの自転車といっても、低価格商品にはどこぞの安い部品をあてがうのは仕方がないのかもしれない。
しかし、これほどのクオリティーはさすがになかろうといいながら、安全できちんとした物を作るにはそれ相応のコストがかかると考えるので、家人は黙々とタイヤの内バリを削っていた。

先日のルフトハンザの格安航空機墜落事故は、大変痛ましいものである。
今日のニュースによると、副操縦士の故意による墜落とのことだが、人件費削減において過密労働での心神耗弱による自殺行為という見方もあるとのこと、もしそうであればやりきれない事件だ。
航空会社ばかりではなく、生き残りをかけた激しい価格競争で、機材も人手も極限まで削られている。
余分なサービスはなくても結構だが、安全だけは惜しまないでもらいたいと考えるのは、理想論なのか。
企業は、投資家は、己の利益を追い求めるのが権利としても、そのために他を圧迫し搾取するのはやりすぎというものだろう。
ましてや、万が一のときの賠償金は潤沢に用意してあるなど本末転倒で、それ以前の危機管理に金を惜しんではならない。
何でもかんでも金で解決できると考えるのは、思い上がりにもほどがある。

たしかに安全は安くない。
安全が欲しければ十分なだけ金を積めというのももっともだろうが、命を質に入れるような社会は野蛮といえよう。
知性と理性を兼ね備えていると自負するならば、ものの真価に見合った対価の設定を公平中立な視点でもって行い、人も物も疲弊することのない世の中をつくってもらいたいと願っている。