大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・05「幻想神殿・2」

2018-01-06 15:03:06 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・05

「幻想神殿・2」  

 

 

 罠はバネ仕掛けの網だ。

 獣道に仕掛けた畳二畳ほどの大きさで、十キロ以上の重さの獲物が載るとセンサーが働いて頭上の木に掛けられたツタが引っ張り上げられ、ネット入りのスイカのように吊るされる。

「もー、何時間待ったと思ってんのよ!」

 スイカが文句を言う。

「……なんで人間がかかってんだよ」

 ピーボアの罠にかかった人間というのはひどく間が抜けたものだ。体がU字型に畳まれ、四本の手足が、それぞれアサッテの方角に絡んで、ピカソっぽいオブジェのようだ。こういうオブジェになってしまうには罠の中でかなりもがいたからなんだろうけど、絡まり方にも個性があるもので、そうとう短気なオッチョコチョイに思えた。これがしおらしい女の子、佐伯さんのような子なら「ごめん、すぐ下ろすから」になるんだけど、こいつのツンツンぶりなあがきは、ついからかいたくなる。オレはアンコウの品定めをするように、そいつの周りを一周する。

「ちょっと、ニヤニヤしてないで下ろしなさいよ、あんたが仕掛けた罠なんでしょーが!?」

「ジタバタすんなって、揺らしたら下ろすものも下ろせないだろーが」

「さっさと……!」

 暴れるもんだからクルンと半回転してしまい、ツタを外そうとしているオレの方に尻が向いてしまった。

「こ、こらー! 見るんじゃない!」

「だって、ここを外さなきゃ下ろせないじゃないか」

「グヌヌ、こっち見ないでやれー!」

「だって、結び目はそっちの方なんだから」

「そこをなんとかしろ!」

「ゆ、揺するなって! ゲホ!」

 突き出た足がオレの頭をヒットする。

「お、おまえが悪い!」

「んだよ……」

「ちょ、どこいくのよ?」

「もう、これしかねえ」

 オレは五メートルほど離れてツールバーを開き弓矢を出した。

「動くんじゃねえぞ」

「あ、ちょ、それは……」

 弓を引き絞ると間をおかずに放った。

 キャーーー!!

 ドテ!

 悲鳴の後に鈍い落下音がして、そいつは落ちた。

「いったあああああああああ」

「……ほらよ、これで出られるだろ」

 腕に絡まった網だけを切って放置する。下手に手を出すと、きっとセクハラとかなんとか騒ぐに違いない。

「あーーーーーやっと自由になったーーーーー」

 そいつは、網からにじり出ると、うつ伏せのままノビてしまう。

 身なりはハンターでも魔導士でもなく、最下層は始りの街であるメレンブルクの商人の娘のようなナリをしている。

 栗色の髪は魔女の箒のようにザンバラだが、乱れたザンバラの間からのぞく横顔はけっこう可愛い。

 しかし見かけの可愛さというものはゲームの中では当てにならない。なんせプレイヤーが作ったアバターだ、容貌や年齢はおろか性別だって当てにならない。去年ミスコンでグランプリを獲ったのは大阪のオッサンだったしな。

「なあ、あんた……」

 そこまで言って言葉が継げなかった。

 そいつの頭の上には、プレイヤーだったら誰でも表示されているIDバーが見当たらなかったのだ。

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログVol・15『加盟校活動報告・3』

2018-01-06 05:49:35 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ 
Vol・15『加盟校活動報告・3・大阪府立谷町高校』
        


☆今回は近所の府立谷町高校にお邪魔しました

 旧制女学校が、戦後の学制改革で新制高校になった由緒ある高校で、昔は府大会で優勝したり、近畿大会にも出場経験のある伝統校でした。それが今では、兼業部員が一人だけ。で、この部員は帰宅部と兼業。
 そう言って笑わせてくれたのは、顧問の矢部先生。

 先生自体、正式には放送部の顧問で、演劇部は副業。連盟には演劇部として登録してるけど、校内の扱いは同好会やそうです。

 むろん好き好んで二つの顔を持ってるわけやないんで、演劇同好会がクラブとして、三人以上の部員は必要という実態を失って長いからです。
「コンクールは、三年に一回ぐらいかなあ……」
 寂しそうに先生は言わはります。
「今年は出ますよってに」
 帰宅部兼業のH君がいう。
「まあ、あてにせんと待ってるわ」
「一緒にやってくれる奴が、もう二人ほどおったらね」
「そんな言い方せんでもええがな。芝居いうのは、舞台は一人でも、やっぱり照明やら音響のスタッフはいるさかいな」
「まるっきり一人で演れる芝居もありますよ」
「知ってます。そやけど、稽古場にいっつも一人言うのは、やっぱりね……」
 H君は俯きながら、そない言うた。
「こいつだけが悪いんやないねんわ。やっぱり、条件整備いうのは顧問の仕事やからね。昔はほっといても演劇部は人が集まったけど、今はこっちから声かけてもあかんあらね」
「中学校で、演劇部が無いようなってしまいましたからね」
「この四月はHもがんばってくれたんですわ。入学者の名簿から演劇部出身の子探したんやけど、どうもね、今年は見事に一人もいてなかった」

 高校演劇だけとちごて、中学校の演劇部が壊滅状態いうのが改めて実感。

「もし、何人か居てたら、やってみたい芝居とか無いんですか?」
「うん、野村萬斎がやってた5人だけでやる『マクベス』なんかよかったね」
「先生、5人なんか、絶対不可能。それに、あれマクベス以外は、みんな一人で何役もやらならあかんさかい、宇宙的規模で無理」
 
 そこで一回話題が途絶えてしもた。わざわざ来た甲斐ないので、他のことに話題をふってみる。

「ラノベなんか読まはります?」
「うん、多少はね。『はがない』とか『おにあい』とかね。映画も観に行ったし。

 ちょっと解説『はがない』とは「僕には友達がすくない」の略。『おにあい』は「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」の略。

 けっきょく、後半はほとんどラノベの話で盛り上がっておしまい。あたしらはラノベみたいな芝居でもええと思う。とにかく、面白いと思う着想を芝居にする力。それが必要。
「近所やねんさかい、コンクールなんか二校合同で出られたらええのにな」
 矢部先生の苦し紛れは、可能性やと思いました。管理やら責任の問題はあるけど、野球部なんかでは複数校が合同で試合に出ることもあるらしい。連盟の規約を変えならでけへんけど、一つの可能性やと思うて帰ってきました。

 ちなみに、このブログは朝の5時から起きて打ってます。昨夜のうちにやっといたらよかったんやけど、台本読んでたら寝てしまいました。次は、うちらのクラブのこと書きたいと思います。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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