大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・09「思い出した!」

2018-01-10 14:45:27 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・09

『思い出した!』

 

 それは西田さんだった。

 

 ほら、三日前の白昼夢。

 佐伯さんがクィーンオブナイトメアの衣装のまま屋上からダイブして、あわやの所で時間が停まったみたくなって助かった。

 あんな不思議なことが現実に起こるわけはない。佐伯さんも、周りにいた生徒も、飛び降りる佐伯さんを発見して悲鳴を上げた女子テニスたちも平気な顔して通り過ぎて行った。堕天使みたいなやつが指揮者みたく手を振ったら、そうなったんだけど、信じらんねーだろ。時間が再起動みたく動き出したら、その堕天使は学校一番の地味子の西田さんでさ、後をつけたら、当たり前だけど西田さんでさ、まったくいつもの西田さんで、途中で見失って、オレはバグだと思ったよ。ベータ版のゲームでよくあるやつさ。ネトゲのやりすぎか、オレはそう思った。でも、リアルの世界がバグルなんてありえねーから、白昼夢だ幻想だ。って、そんな幻想を見てしまうこと自体ネトゲのやりすぎなんだ。

 だって、生け垣の陰から雛壇上がってくる西田さんは、いつものように俯き加減でボブの横髪がタラーっと表情を隠して、眼鏡の奥はぜんぜん表情読めねーし、そーだよ、西田さんならオレ同様に文化祭の賑やかさなんて苦手だろうから、この雛壇で下校時間が来るのをまってたのさ。オレだって一応舞台は見届けたけど、スタンディングオベーションの晴れがましさには耐えられなくて、こうやって避難してきたんだからな。そうだよ、それが生け垣挟んだこっちと向こうに居たもんだから、さすがの西田さんも、なんだか嬉しくなって、そっと声をかけてきたんだ。

 だったら、オレは、それに応えなきゃな。

 引き籠り予備軍の地味人間が人に声をかけるなんて、とんでもないことなんだ。街の通りを下着姿で歩くくらいに勇気が要るんだ! この勇気には応えなくっちゃな!

「そういう思い込みする北斗勇馬君て好きよ……」

 雛壇の一段下で顔を上げた西田さんは眼鏡を外して、そのまま雛壇を上がって来る。

 オレはなんだか圧倒され、入れ違いに下りてしまい、雛壇の上と下が逆転してしまう。

「わたしのこと覚えてないかしら?」

「って……西田さんだろ」

 グラウンド側から風が吹いて来て、雛壇のオレと西田さんを嬲っていく。風は校舎の壁にぶつかって不規則な気流となって一瞬暴風のようになって西田さんのスカートを舞い上げた。

 刹那、至近距離で西田さんのパンツが見えてしまった……!!……驚いた、堕天使が穿いていそうな小さな黒パンではないか!?

「相変わらずのスケベぶり……でも、わたしの顔もちゃんと見たでしょ、勇馬はスケベだけの子じゃないから」

 そう、パンツを見た1/10くらいの刹那の刹那、突風が西田さんの前髪を吹き上げ100%露わになった顔が見えた。

 ……中一の春までいっしょに遊んでいた年下の電波なやつがいた。

 いつも「沈まれ我が腕(かいな)!」とか「もはや逢魔時、闇の眷属どもに地獄の糧を与える時間」とか「闇の啓示がおり下った、あの自販機のポーションが我らの魔力をリジェネするぞ!」とか、大そうで痛いことばっかり言ってた奴がいた。桜が蕾をほころばせるころに見かけなくなった隣町のそいつ……でも、そいつは籾井とかいう少年だったはず?

「わたしは正しく書いたのに勇馬が逆さまに読んだのだ」

 思い出した!

 ジャングルジムの四段目に足を絡めて逆さにぶら下がってガマン比べをやったんだ。頭に血が上って、気を紛らわすために「と、ところで、おまえ、な、名前はなんて言うんだ……」

「わたしは逆さになったまま、棒切れで地面に書いた……頭に血が上ってボーっとした勇馬は逆さまに読んだんだ」

 

 か・す・い………い・す・か…………いすか?

 

 残照を背中に受けて西田さんがニヤリと笑ったような気がした……。

 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・19『あたしらの思い』

2018-01-10 06:23:11 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ
Vol・19『あたしらの思い』
        


☆あたしらのブログがトップに

 あたしらのブログも、早いもんで、これで19号になります。前にも一回ありましたけど、Vol・14『加盟校活動報告・2・誠学園高校』が、今日6月27日大阪の高校演劇で事実上のトップになって、びっくりしてます。
 それだけ高い関心を持ってもろて嬉しい……というより複雑な気持ちです。
 共感してもろてるのか、怖いもんみたさなんか、うちらでも計り兼ねてます。共感してもろたんやったら「いいね」がもうちょっとあってもええと思うですけど、まあ、ネットの世界はよう分かりません。

☆LET IT GO!

 で、もう一歩踏み込んで、あたしらの思いをLET IT GO!しとこうと思うたわけです。誠学園の織田先生と話してて、あたしらは、時々シャッターを下ろされたような気分になりました。

「ま、一つの考え方やな」
「まあ、見解の相違やね」

 この言葉を何度も言いはりました(ブログは編集の都合でカットしてます) この二つの言葉は「そのことについては、聞く耳無い」いう拒絶の意思が表れてます。相手は先生で親ぐらいに歳の離れた大人です。あたしらにも遠慮がありました。

 そもそも、審査基準については去年、うちの先輩が地区総会で勇気出して提起しはったことです。去年のβ地区予選では、うちらの学校は納得のいかん落とされ方しました。三年前、坂東はるか先輩のときもそうでした。せやからいろんな形で問題があることを指摘してきました。で、なんにも通じひんさかい、先輩は勇気出して言わはりました。

「審査は、ほんまに公正平等が保障されてるんですか? やっぱり客観性が担保された審査基準を持つべきなんとちゃいますか?」

 よう言わはったと思いました。

 案の定、会場は険悪な空気になりました。役員の先生は俯いて腕組まはるし(人前で腕組むのんは、無意識の拒絶の心理の表れです)一等賞とった学校は「あたしらの芝居を認めへんいうことか」と気色ばむし、先輩は過呼吸になって泣いてしまわはりました。よその学校の先生らが間を取り持ってくれはって、役員の先生は「ほんなら委員会で諮ってみます」と約束しはりました。

 正直期待はしてませんでした。三年間、かたくなに審査基準を問題にもしてけえへんかったんです。そんな簡単に変わるとは思うてません。

 せやけど「やっぱり審査基準はもてません」の答えは返ってくると思うてました。総会でも、地区総会でも「審査基準を持ってほしいという要望がありました」の一言もありません。先輩が精一杯の勇気振り絞って言うたことが、全く無かったみたいにスルーされてしもたんです。
 もう、うちらは絶望してます。お願いです。見解の相違で逃げんといてください。

 うちらは、こんなことまで知ってます。

「貴重なご意見ありがとうございました」学校の外からクレームの電話があったとき、おだやかに話を打ち切るための常套句です。
 そんな常套句さえ、うちらにはかけてもらえませんでした。

「%&$#””~|\\&&!!?!:*+;‘@@##=|\\|||%%%$$$###!!」

 気持ちを正直に書いたら文字化けになってしまいました。やっぱりうちらの心の中は「先生は先生であってほしい」いう最後の気持ちがあります。

 今年の本選の審査員は三年前に真田山を落とした人が、また審査員です。何回も言いますが、この人は「作品に血が通っていない、思考回路、行動原理が高校生ではない」という講評で落としました。分かります、この講評?
 ほんで、うっとこを落としながら、合評会では、その審査を撤回した人です。再起用するんやったら、なんか説明と審査の改善がされんと納得できません。

 うちらは、三年前と同じ『すみれの花さくころ』を上演します。

 念のために言うときますけど、別にリベンジとかとはちゃうんです。審査員が発表される前に、もうレパは決まってましたから。

 せめて「貴重なご意見ありがとう」ぐらいは言うて欲しいもんです。

☆玉が丘高校ダンス部をフォローしてます

 ツイッターで玉が丘高校ダンスに出会うたのは、去年たまたまネットサーフィンしてたら玉が丘高校ダンスさんにヒットしてからです。

 一昨日クラブのプロモーションビデオをYouTubeにアップしてはりました。
 たった一日でアクセスが15000を超えてました。大したもんやと思います。アクセスの数だけやなくって、ダンスそのものもパワーがあって、全員の息が合ってて、パソコンで見ててもイカシテました。
 あたしが高校入学したときに、ダンスに出会うてたら、たぶん演劇をやることにはなってなかった。と、玉が丘高校ダンスさんを観て思いました。
 けども、いま高校演劇をやっていることを後悔したりはしません。ダンスに負けへん芝居ができたらなあ……と、思いました。

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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