大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・10「じゃ、逃げよう!」

2018-01-11 15:39:23 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・10

『じゃ、逃げよう!』

 

 

 いすか? かすい? え? だって、あいつは男だったぞ?

 いつも短パンにTシャツかトレーナーで、真っ黒になりながら走り回っていたじゃねーか。

 オレは元来アウトドアな人間じゃねえ、公園に居ても、木陰のベンチに座って携帯ゲームでピコピコ遊んでいた。

 そんなオレが、イッチョマエに飛んだり跳ねたり駆けまわったりできたのは籾井がいたからなんだぜ。じっさい籾井が居なくなって、オレは元のピコピコゲーマーに戻っちまったし、中学に入ってからは自他ともに認めるネトゲ厨になっちまった。

 オレの人生で、健康な外遊び男子で居られたのは、籾井と遊んでた一年足らずの間しかなかったんだぜ。そんな健康男子のステータスを開いてくれた相手が女子なわけねーじゃねーか!

 

「勇馬が勝手に思い込んだだけ、わたしは自分から言ったことは無いぞ」

 

「え? でもカスイってのは、きちんと漢字の籾井だったぜ。いくら逆立ちしてたって、仮名を漢字に変換して覚えたりはしねえぞ」

「勇馬、小一のとき、となりが籾井って子だったでしょ、あなた無意識に変換して覚えてしまったのよ」

「え、え、そうなのか?」

 その瞬間、西田さんの目が点になった。なにかに引っかかた顔だ。オレは焦った。オレはコミュ障なところがあって、ときどき不用意なことを口にして人の感情を害してしまうことがある。また、その口かと焦った。

「に、西田さん?」

「いっしょに来て!」

 別に手を引っ張られたわけじゃないが、西田さんの声には抗いがたい力があって、彼女の言うがままに付いて走った。

 

 ガチャリ!

 

 いつも閉まっているはずの屋上ドアを開けると、西田さんはクルリと回って階段室のラッタルを上がっていく。

 オレは顔を伏せながら続いた。見上げたら……悪いだろーが!

「え、まだ上がるの?」

 西田さんは無言のまま貯水タンクのラッタルを上がる。見上げちまったけど、これは不可抗力だぜ。

 給水タンクに立った西田さんは、スックと西の空を見上げている。秋の夕陽とは言え、太陽をまともには見られない。

「ヘーーックショ!」

 派手なくしゃみが出る。ほら、うかつに太陽を見るとくしゃみになっちゃうじゃん。

「目をそらさないで……あそこ!」

 西田さんが指差したのは、太陽から五度ほど上の空だ……両手で庇をこさえて、やっと見えた。

 ジェット機が少し傾ぎながら飛んでくるところだ。

「ほっとくと、ここに墜ちてくる」

 サラリととんでもないことを言う。オレの答えは簡単だ。

「じゃ、逃げよう!」

 当たり前のことを言ったはずなんだけど、西田さんはジェット機を睨んだまま微動だにしなかった……。

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・20『本年度加盟校の発表』

2018-01-11 06:08:02 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ
Vol・20『本年度加盟校の発表』 
 
       


☆今年は111校

 ゴロのええ数字ですね。HS・ドラマティックアソシエーション111
 去年は発表時には112校、コンクールのパンフでは111校になってました。ほんで、コンクール参加校が89校。加盟校数との間に22のギャップがありました。多分幽霊加盟校(部活の実態がないのに加盟してる)が入ってるんでしょうね。わたしらが訪問した誠学園なんかが、その典型です。
 半分はええことやと思います。たとえ加盟時点では部員がおらんでも、コンクールにはどないかしたろ! という顧問の先生の情熱が感じられます。

 残り半分は「どないやねんやろ?」いう懐疑心です。

 先生らは「生徒こそ主人公」と言わはります。その主人公がおらへんのに連盟加盟……ちょっと首を捻ります。

 確かに誠学園みたいに、顧問の先生が連盟の役員やってはって、生徒ゼロでも加盟せざるをえんいうとこもあります。言葉を飾らんと言うたら、ほんまは先生がやりたいから……うがちすぎでしょうか?
 極論を言います。連盟は、大阪の高校演劇の発展のためにあります……。
 現実は、連盟の存続が目的化してませんでしょうか? 

 もっと具体的に言うと、無意識のうちに運営委員の先生らの仲良しグループの存続が目的になってませんでしょうか。

 運営委員の先生らの楽しみは、運営委員会のあとの一杯飲みと研修会いう名前の懇親会……ちゃいます?
 うちの学校にも先生らの組合が二つあります。それぞれ夏に組合の教育研修を看板にして、信貴山なんかに籠って宿泊研修やってはります。職員室にいくと組合専用の掲示板があって「目指せ30人学級!」とかいろいろ貼ってる中に研修参加者募集の張り紙があります。
「あれは、仲良しグループのお泊り会や」
 そない言わはる先生も居てはります(誰とは言えませんけど)。
 うちらも、その通りやと思います。真田山は府立高校の中では落ち着いてる方やと思いますけど、たまに、生活指導上の問題がおこります。学校のことなんで具体的には言えませんけど、補導委員会いうのがあって、そこで事実確認と指導方針が決まります。モノによっては職員会議の議決がいるものもあって、そのときは原案になります。

 この補導委員会が5時15分の勤務時間が終わると「勤務時間がきましたけど続けますか?」と聞くそうです。で「もう次にしよ」いうことになったら、で、それが、もし金曜日やったら、結論は月曜まで延ばされます。むろん問題起こした生徒が悪いんやけど、土日は保護者も含めて生殺しです。こんな学校て案外多いようです。で、我が顧問の淀貴美先生は、その日のうちに家庭訪問して「やむなく持越しになりました。それだけ重大に、かつ慎重に考えてます」と、カマしに行かはります。先生の本心としては「徹夜してでも結論出るまでやれよ」やと拝察してます。

 何が言いたいかというと、絶滅危惧の幽霊学校ほっといて、仲良し会やってる場合やろかいうことです。111という数字は現実的には90もない数字やと思います。90/261は、およそ34%です。大阪の高校は2/3の学校で演劇部が事実上存在してません。ここに危機感持ったら、することは、おのずと決まってくる思うんです。

 前も書きましたけど、連盟の講習会……どないなんでしょ? 

 たった一日で演技やら劇作の力はつきません。それも8月に劇作の講習。コンクールまで三か月、現実には二か月でしょ(試験やら検定やら、ほんで休みなしで稽古はできません)ごっついイージーに本書けると言うてるようなもんです。せやから、コンクールでは「何がしたいんやろ?」いう本がぎょうさん出てきます。
 で、義理で観に来た観客は「高校演劇はおもんない」で、一般の観客はつきません。ほんまに高校演劇考えるんやったら、腰据えて一年がかりぐらいで、本の読み方(書き方ちゃいます)演技、演出教えならあかんのとちゃうでしょうか。

☆今日この頃のあたしら

 試験前なんで部活はしてません。せやけど、今度の『すみれ』は歌が入ります。30分だけ、歌の練習やってます。それから、日に二回は歩きながら台詞通して、台本は必ず一回は目ぇ通します。それと、個人的な理由でバイト始めました。正直きついです。いや、ほんま。

 せやから、うちらは創作劇には手ぇ出しません。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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