大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・19「さあ、時間を動かすわよ」

2018-01-22 13:58:17 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・19

『さあ、時間を動かすわよ』

 

 

 登校して教室に入り、席に座ってボーっとしていたら、知らないやつばっかでタマゲタことがある。

 

 そんなシュールなことがあってたまるか! と言われるかもしれないが、本当にあった。

 種を明かせばこうだ。

 深夜アニメを観ていたら、めっぽう面白くてさ、オレも、あのアニメのキャラならいいなあ~と思いながら寝たんだ。

 そしたら、夢を見たんだ。ほんとうにアニメのキャラになって女の子と仲良くなるんだ。

 目が覚めても印象が強烈でさ、玄関出たら、女の子が迎えに来てるって設定にして、そのエア女の子といっしょの登校を思い続けたわけさ。口下手なオレにいろいろ話しかけてくれるし、オレのつまらない返事にも「え、そうなんだ!」とツインテール揺らして楽しそうに反応してくれる。もう夢中で教室まで行って、その子は隣の席でさ、話の続きをしてくれる。

「そこ、オレの席なんだけど!」

 声がして驚いた。知らない男子がオレを睨んでるんだ。

 で、気が付くと、周り中しらない奴ばっかで声も出ないんだ。つい今まで横の席に居た女の子も居なくなって、オレはパラレルワールドに来ちまったんじゃないかと焦った。

 すると、うちの担任が廊下で指差してんの――あっちあっち――

 ようやく悟った。

 夢の続きをトレースしていたオレは、一つ手前の教室に入ってしまったんだ。

 

 いっぺんに顔が赤くなって、教室のみんなにも廊下の担任にも笑われるし、とってもハズイ思いをした。

 

 あの小学三年生の時と同じショックを受けた。

 教室に入ったら、バグったゲームみたいにみんながフリーズしているじゃねーか!?

 入って直ぐが門田の席なんで、オレは門田を見た。文化祭でシナリオと演出をやってのける奴で、あまり口は利かないけど、ちょっとばかしは尊敬している。奴なら説明とかしてくれるんじゃないかと思ったんだ。

 奴は、他の男子とふざけていたみたいで、ジャンプしながら笑っていて足が床から五センチほど飛び上がっている。その横の佐伯さんもビックリした顔のまま体を捻って、横の女子にしがみ付こうとして、しがみ付かれようとしている女子はのけ反った勢いでスカートが翻って太ももの付け根まで露わになっている。

 夕べはアニメなんて観なかったぞ! じゃ、なんで!?

 

「わたしが停めたの」

 

 斜め後ろで声がして、ビックリして振り返った。

「イス……西田さん、動けるの?」

「わたしが時間を停めたの、停まっている間はイスカでいいから」

「あ、えと、どうして?」

「あまり余裕は無いの、教室のみんなを廊下に運び出す、手伝って」

 そう言うと、イスカはしゃがんで門田の脚を抱えた。

「一人じゃ持ち上がらない、上半身を抱えて」

「あ、あ、うん……でも、入り口のドア外さないと出せないんじゃ?」

「あ、そうね、外して」

 摩訶不思議な状況なんだけど、良くも悪くも指示されるとやってしまう。

 時間が停まっていても関節は動かせるようで、出すのに、それほどの苦労はない。廊下に出すと関節はゆっくりと元の姿勢に戻っていく。

 男はそれほどでもないけど、女の子を動かすのは気づまりだ。だけど、そこは阿吽の呼吸で、イスカはオレが持ちにくいところを持って運んでくれる。いつのまにこんな連携が取れるようになったんだ?

 ニ十分ほどかかって十三人いたクラスメートを廊下に出した。秋も終わりだというのに汗だくになる。

「さあ、時間を動かすわよ」

 以前のように決め台詞があるのかと思ったら、イスカはパチンと指を鳴らすだけだった。

 

 グワッシャーン!!

 

 とんでもない音がして、なにかが飛び込んできて、オレたちの教室一つを粉々にして飛び去って行った……。

 

 

 

 

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小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・32『職会の決定と演劇部の見解と』

2018-01-22 06:47:38 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・32
『職会の決定と演劇部の見解と』



☆職員会議の決定

 演劇部が(いわゆる明文化されていない)内規に反して夏休みに合宿(自衛隊体験入隊)を認めた校長先生が改めて陳謝。しかし職会は収まらず、部顧問(淀先生)の始末書とあたしら演劇部の反省文を要求してきました。
 職会としては演劇部ブログの反響や、部長会議全体の演劇部支援決議に脅威を感じ早期の収束を図ろうとしての「歩み寄り」のつもりのようです。

☆演劇部の見解

 この「歩み寄り」は、あくまで演劇部に非があり、それを認めさせた上での「穏便な解決」を図ったものであると思てます。職会は何も理解していません。たとえいかなる「穏便」であろうと、あたしら演劇部が非を認める形での解決は断固容認できません。
 18:30分まで職会は続きました。結論を聞くために、各クラブ代表、生徒会執行部、一部有志の生徒が40名ほど残ってくれました。そして、あたしら演劇部の見解を視聴覚教室で全面的に支持してくれました。そして、全クラブと生徒会、有志生徒のみんなで「演劇部闘争支援委員会」の発足が議決されました。
 これは、50年近い昔、あたしらの先輩がとった共闘の形式を踏襲しています。あたしらは、首(こうべ)を挙げて勝利を勝ち取るまで戦います。生徒会長は執行部と演劇部闘争支援委員会の名前で、待機していた生徒会顧問を通じ職会議長に手渡しました。制度上の責任者は学校長ですけど、実質は職会で、演劇部の自衛隊への体験入隊を良しとしない先生たちです。
 あたしらは、明日の回答を要求しましたが、明日は時間的にも臨時職員会議を開く余裕が無く連休明けまで回答を延ばして欲しいといわれましたが、三日もスパンを置くと、個別のクラブや個人の切り崩しにかかられる恐れが高いので断固明日の回答を要求です。実際運動部では顧問による切り崩しが始まっています。演劇部闘争支援委員会では、個々の説得や切り崩しには乗らないように決議はしましたが、三日のスパンは大きく危険です。ここまで共闘してくれる生徒のみなさんに心から「ありがとうございます」です。

☆当面の活動

 明日、登校時に正門と通用門でビラ配りをやります。スマホやラインでのアオリは絶対やりません。アナログこそが力やと思てます。一限終了後の休み時間までに臨時職員会議開催の告知がない場合は4限の「総合学習」の時間をボイコット、緊急生徒総会を開きます。正直、今夜が心配です。心配の内容を書くと、弱点を見つけられそうなんで書きません。
 生徒総会が成立することを願ってます(登校している生徒の半数以上の出席で成立します)総会の議決は直ちに学校側に伝えられます。それでも臨時職員会議が開催されない場合は、真田山学院48年ぶりの全学ストに突入します。

☆大学からの支援申し込み

 二つの大学の組織から支援の申し込みがありましたが、断りました。中には本気でシンパシーを持ってくれてはる学生さんもいるんでしょうけど、あたしらは、あくまでも学内で解決していきます。

☆演劇部闘争支援委員会の歌

 会議の最後に提起されました。連帯を確認し紐帯を確かなものにするために、折に触れて歌う歌を軽音が提案してくれました。

「翼をください」

 古い歌ですけど、エヴァンゲリオンでも使われた曲でもあり、意外と知ってる者も多いので決まりました。今日も最後に、みんなで歌いました。涙が止まりませんでした。今も泣きながらキーを打ってます。

 いま わたしの願い事が叶うならば……。   かなわへんかもしれんこど、でも、そやけど頑張ります。

 

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

 ※ これは小説です

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