大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・16「恥ずかしのバザール」

2018-01-17 11:26:22 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・16

『恥ずかしのバザール』

 

 

 四十八層は森と草原の世界だが街が無いわけじゃない。

 

 ネトゲってかMMOは雰囲気というか達成感というものが大事で、ログインしたギルドメンバーが、その都度スターとシティーであるメレンブルクに集まっていては雰囲気が出ない。

 たいていのギルドは、各層の街や村にログインして酒場や宿屋で顔を合わせる。中には攻略する層ごとに家を買って溜まり場にしているギルドもある。MMOの世界でも不動産は高いので、そういう溜まり場を持っているのは課金に糸目をつけないお金持ち。

 そういう普通のプレイヤーが集まているので、街の住人は顔見知りかお馴染みさんだ。オレみたいな世捨て人は目だって仕方がない。

 行きかうプレイヤーたちが「オ?」とか「ア?」って感じで振り返る。森のヘンクツ野郎がなにしに街へ?

 おまけにブスが横に歩いている。銀鎧に栗毛の髪をなびかせて颯爽と通りを歩く姿は目立つ。森に居る時はさほどに思わなかったけどブスはかなり可愛い。丸顔に近い瓜実なんだけど、色が白くて鳶色の目が涼しい。笑うと右の八重歯が悪戯っぽく見え、ラノベのヒロインみたいだ。こういうのと一緒に歩いてウキウキするような性格をしていないオレはジリジリと遅れてしまう。

「ナンシー、さっさと歩きなさいよ!」

 ただでも目立つのに、立ち止まって「ナンシー!」と呼ばわるのは勘弁してほしい。

「ナ、ナンシーって呼ぶなよ」

「下僕なんだから文句言わない!」

「わ、わーった。早くゲートに行こうぜ」

 違う層に移動するためには各層の街に設定されているゲートに行かなければ転移できない仕掛けになっている。四十八層には、このフォレストタウンしかない。

「転移ポーションとかねーのかよ?」

 例外的に転移ポーションを使えば攻略した層なら移動できるが、狩やデュエルのプライズか一個100円の課金で買うかしかない。なんでもありのブスなら持ってるかもと、半ばグチで言ってみる。

「楽しようと思わないの!」

「あ、そ……てか、ゲートはそっちじゃねーし」

「ちょっと買い物よ」

「か、買い物って……」

 バザールには行きたくない。たまに狩の獲物を売りに行くので、他よりも顔見知りが多い。ほらほら肉屋のオヤジがニヤニヤしてんじゃねーか。

「ナン氏! 隅に置けないねー!」

「そのベッピンはタヌキかキツネが化けたやつか!?」

「ちょっと! 今日からナンシーは、わたしの下僕になって最上階の幻想神殿攻略するんだからね!」

「え!?」「うそ!?」「下僕?」「ありえねー!」「ナン氏が攻略ううう!?」 モブどもが好きなことを言う!

「ナン氏じゃなくってナンシーだから!」

「い、言うなーーーー!」

 

 顔から火が出る思いでバザールの奥、入ったこののない装備屋の中にずんずん入っていく……。

 

 

 

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大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・27『ああ、自衛隊体験入隊!』

2018-01-17 06:15:24 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・27
『ああ、自衛隊体験入隊!』
       


☆しばらく死んでました

 大女優佐藤恵さんの勧めで、こないだ一泊二日で陸上自衛隊S駐屯地に体験入隊してきました。帰ってからすぐにブログ書かならあかんかったんですけど、体力・気力完全に絞り切って、ようやく今になりました。ほんま、死にそうでした。

☆体験入隊ピックアップ その一

 なんと、顧問の淀貴美先生は、予備自衛官でした!
 宿泊を伴う行事なんで、顧問の先生の活動計画と引率がないとできません。当たり前やったら夏休み前に職員会議で一括審議されて、許可がでるんですけど、今回は二日で許可がおりました。その理由の一つが淀先生が即応予備自衛官(なんかあったら、すぐに自衛隊員の代わりになれる元自衛官)やったからです。

 朝7:30にJR谷町駅で制服で集合。電車を三回乗り換えてS駐屯地へ。

 最初に親の承諾書と同意書(万一事故があっても自己責任。シャレちゃいます)ほんで簡単な健康診断。で、体験入隊用の事業服を貸してもろて、あやめとはるなで4人部屋へ。淀先生と長曾我部先輩は隣の部屋へ。
 すぐに女性自衛官の人が来て、事業服なんかの着方、ベッドメイキングを教えてもらいました。そのまま集合かと思たら、もっかい事業服を脱いで、ベッドも元にもどして、一から自分でやるように言われました。時間は5分。

「かかれ!」の号令で一斉に着替えて、30秒遅れで隊舎から営庭に行こ思たら、入り口に置いといた靴がどこにもありません。先生と先輩は、とうに営庭に行った気配。
「あ、うちらの靴!」
 はるなが、外に放り出された靴を発見。
「なんでえ」言いながら拾いに行くと、後ろで声。
「あなたたちが、きちんと脱がないからよ。規律と連帯責任、頭に叩き込む!」

 結局1分遅れで営庭へ。

「遅い! A班全員腕立て伏せ20回!」先任指導教官に怒られる。で20回腕立て伏せ。その間も「体を真っ直ぐに! 頭を下げない! 腕はキチンと曲げて!」と責め立てられ、終わったら、もう、それだけで汗みずく。先生と先輩は涼しい顔。
 そのあと、訓示があって、気を付け、右向け右、左向け左、回れ右、列の整頓、敬礼の練習。一発で合格したんは先生だけ。

 それから、ひたすら行進の練習。

 掛け声は「一、二、一、二」やけど、発音すると「エッチネ! エッチネ!」と聞こえるけど笑えません。笑うたら、恐怖の腕立て伏せが待ってます。
 駆け足のときは「エッチネ、ソーレ! エッチネ、ソーレ!」になります。列の先頭はあたし。最後尾が先生。その横を指導教官が付いて「声が小さい!」「間隔を広げるな!」と怒鳴られます。
 信じられへんことに角を曲がる時も直角。間違うと、その都度やり直し。

 もう、これだけで午前中が潰れ、顎の先からポタポタと汗。パンツもお漏らししたみたいにグチョグチョ。生まれて、ここまで汗かいたんは初めて。
 昼食前に事業服の上脱いで頭から水被って汗流して、タオル一枚だけで体拭いて、昼食。

 お昼ご飯はカツ丼。もう丼からはみ出しそうなトンカツが載ってて、チョー山盛り。それにお味噌汁とサラダ。食べきれるか思たけど、完食。

 で、昼からは、もっとえげつないことが待ってた……。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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