大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・18「優姫」

2018-01-20 15:27:20 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・18

『優姫』

 

 

 やっと起きたあ!

 

 ソファーが口をきいたかと思うと優姫だ。

「もー、片付かないんだから、さっさと食べてよね!」

「食べてすぐ寝るとブタになる」

「それ、牛の間違いだし、牛にもならないし」

 そう言うと、再び優姫はソファーにひっくり返りボリボリ×2の音を立てる。

 ボリボリ・1は煎餅をかじる音。ボリボリ・2は股座を掻く音。つまり、ソファーに横になって煎餅齧りながら股座を掻いている残念美少女はオレの妹であったりする。

「ちゃんと加湿器つけとけよ、乾燥肌のくせに……」

 愛情からではなく、習慣で加湿器のスイッチを入れる……水が切れているので、これまた習慣で水を入れる。

「アラーム鳴ったら起きなきゃダメでしょ」

 かそけき起動音をさせて加湿器が稼働する。

「どうやってゲームにアラーム仕込んだんだ?」

「ってことは解除できてないんだ(笑)」

 優姫はゲームもしないのにコンピューターとかには強い。オレはゲームには強いがハード・ソフトの面でも弱い。

「あのさ、火にかけておいてくれるなら、ときどきかき回してくれないかなあ」

「ん、なんか言った?」

「いえ、なにも」

 お湯を足してカレーの鍋を撹拌する、二三分もやれば食べられないこともないだろう。

「あんたね、ネトゲのネってネットのネなんだから、寝るのネじゃないんだからね」

「優姫だって寝ながらテレビ観て煎餅齧って股座掻いてるじゃねーか」

「もう掻いてないわよ!」

「加湿器のおかげだろ」

「あんたね、寝トゲばっかやってたら、そのうちナメクジになっちゃうよ」

 ナメクジ……言い得て妙なので言い返さない。焦げ付きがレーズンに見えるようなカレーが温まった。

「ん……大河ドラマなんか見てんのか」

「寝トゲのやり過ぎで、頭腐ってんじゃない?」

「え、だって『せごどん』だろ?」

「あんたが下りてきた時から観てるわよ」

「……そうなんだ」

「脳みそ腐ってるよ……ね、質問。せごどんの諱(いみな)ってなんだ?」

「いみな? いやみな妹なら知ってるけど」

「まぜっかえさない、いわば本名よ、西郷さんの本名」

「そりゃ、西郷隆盛だろ」

 小学生レベルの問題に正解を食らわせて、最後に残した肉を頬張る。

「ブッブー」

「違うのかよ?」

「寝トゲのやり過ぎ~」

 肉を咀嚼しながら乏しい知識をプレイバック……歴史は苦手だけど、やっぱ西郷さんは隆盛だ。ん、なんかの引っかけ問題か? オモチャにされるのもやなんで、食器を流しに持って行ってリビングを後にする。

 ああーーー!?

 階段に足を掛けたところで優姫の叫び声。

「ちょっと! さっきのブタって、わざと間違えたわね!」

 ペシ!

 スリッパが飛んできて頭に当たる、我ながら軽い音がしたもんだ……。 

 

 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・30『モノ言えば……秋の風』

2018-01-20 06:13:35 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・30
『モノ言えば……秋の風』


☆ご無沙汰いたしておりました

 先月の21日から、16日ぶりの公式ブログです。ちょっと校内でもめ事があって、事実上演劇部は休部状態でした。本当は公式ブログを書くことも差しさわりがあるのですが。わたしは憲法で保障された「表現の自由」で書いてます。校内事情を書くわけですから、月曜日には、なにがおこるか分かりません。それでも、あたしは書きます。

☆自衛隊への体験入隊

 これが問題になりました。基本的にはクラブ合宿の手続きで行きました。演劇部と、その顧問で行くんやから、クラブ合宿のカテゴリーしかないと思たからです。

 そやけど、ここで足をすくわれました。

 合宿は、一学期の7月末日までに顧問が合宿計画を校長に提出し、職員会議にあげられ、そこの承認を得た上で決定になります。しかし、これは校内の内規、あるいは慣例であって、基本は学校長の許可で専決事項になります。内規は、あたしら生徒には見られませんですけど、淀先生の言葉では明文化されてはいないそうです。淀先生も、その点をついて職員会議で説明してもらいました。せやけど多勢に無勢やったようです。むろん職員会議の中身は淀先生も言うてくれはりません。演劇部の無期限休部の結論から導き出したあたしの推論です。

 たとえ内規に明文化されてなくても、長年慣習化してきてるんで、内規同然。いや、慣習内規やいう理屈やと思てます。

 法律には、実定法と慣習法があります。商法なんかで慣習法が一部あります……むつかしいですね。日の丸と君が代が長い間慣習法でした。法律のどこにも日の丸=国旗、君が代=国歌とは書いてありませんでした。多くの国民にとっては、ごく当たり前のことやったんで、あえて法律にしてなかったんです。せやけど、これを楯にとって「法律にもなってないこと守る必要はない」いう理屈で、多くの先生が長い年月国旗・国家をないがしろにするタネになってました。そやから学校では長いこと日の丸と君が代については不毛な論戦がありました。賛成派の先生は「反動」とか呼ばれたらしいです。
 そやけど、あれだけ(消極的とはいえ)日の丸、君が代に反対してた先生らが、今は、当たり前みたいに起立して歌うてはります。「信念やったら、貫けや!」いうのがあたしの感想です。大阪では3人ほど卒業式で歌えへんかった先生がいてはったそうですけど、見上げたもんやと思います。せやけど、ほんまに歌いたくないんやったら卒業式休んだらええと思うんですけど、なんや、授業の前に、言われても起立礼せえへん生徒といっしょやと思うんですけど……話が横っちょいってしまいました。

 話題を戻します。

 合宿が慣習内規や言うて、それを守らへんかったことで、演劇部を休部処分にするのは、先生ら自己矛盾してないかいうことです。国旗・国家では実定法やない言うてサボタージュして、うちらの体験入隊を内規違反いうのは矛盾してます。
 これも推測ですけど、ほんまは自衛隊への体験入隊を問題にされたんやと思います。うちの先生の中にも「憲法をまともに読んだら、自衛隊は違憲や」いう骨董品みたいな先生がいてはります。集団的自衛権が閣議決定されたころには授業で演説めいたことも言うていかはりました。
 うちらは、いま集団的自衛権の行使に向けて運動中です。文化部の賛同署名は集めました。いま部員が手分けして運動部に働きかけてます。来週には文化部長から生徒会にあげてもろて、臨時生徒総会にもっていこと思てます。
 手の内ばらして「アホか」と思う人がいてるかもしれませんけど、これも作戦です。まず外堀から埋めよです。この公式ブログはゲリラブログです。これをもって、うちらのこと処分しよいうんやったら受けて立ちます。

 ここまで決心して、ブログに書くのに二週間かかりました。正直ビビってます。せやけど表現の自由を守るためにがんばります。

☆休部期間中の稽古

 部活が禁止されたんで、淀先生に迷惑かけんために完全に自粛してます。せやけど、部活は禁止されてますけど、スマホの使用が禁止されたわけではありません。部員同士でラインで稽古してます。スマホに台詞打ち込んで、台詞の稽古だけはしてます。喋る速度で打たならあかんので、部員は、みんな親指姫になった気持ちです。
 不思議なもんで、スマホでやってると変な現実感があります。案外練習法としては新発見かもしれません。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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