大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・151『学校で流行ってる』

2020-06-06 13:34:46 | ノベル

せやさかい・151

『学校で流行ってる』さくら        

 

 

 学校で「きた?」が流行ってる。

 

 たまに「きた!」とか「きたあ!!」と、テンション高く言うこともある。

「きた!」はマスクで、「きたあ!」は十万円。

 ほら、アベノマスクと特別給付金の十万円ですわ。

 

「気持ち分かるんだけど、特別給付金では、あまり言わない方がいいと、先生思います」

 

 ペコちゃん先生がたしなめる。

 ペコちゃん先生というのは、わが二年三組の担任、月島さやか先生。

 笑顔がペコちゃんみたいなんで、自然と『ペコちゃん先生』が定着しかけてる。

「そういうところからイザコザになることもあるからね」

 イザコザ、なんで?

 伝わったのか、先生は言いにくそうに付け加えた。

「えと、中にはさ『金が入ったんなら奢ってくれよ』とか『貸してくれよ』なんてタカるやつもいるからね」

「けど、みんなに来るから、ええんちゃうん」

「早いか遅いかだけやし」

 この要らんこと言いは、瀬田と田中。二年になっても同じクラス。

 ま、ええけど、留美ちゃんも同じクラスやし。

「給付金もらってもさ、みんなが自由に使えるわけじゃないでしょ。保護者の方が管理するお家もあるでしょ。お店だったら、家族全員の給付金が回転資金になるお家もあるだろうし。うん、先生は、もし君らぐらいの子どもがいたとしたらよ『お前の金だ、好きに使え』とは言わないよ。他府県じゃ、たかられたって事件んも起こってるしね。ま、とりあえず、学校の外では、あんまりはしゃがないようにね。じゃ、十五日から平常授業になる件について説明しまーす」

 やっと十五日から平常授業。

 ソーシャルディスタンスのとり方と、部活は、まだしばらくは休止という話を丁寧に説明してくれはった。

 

 文芸部もしばらくは自粛だね。

 

 三時間目が終わって、校門を出たところで留美ちゃんが切り出す。

「せやね、うちの本堂やから問題は無いねんやろけど、他の部活は休んでるやもんね」

「一つ心配なんだけどね」

「うん?」

「頼子さん卒業してしまって、文芸部って、わたしとさくらちゃんだけでしょ」

「せやねえ」

「部活の成立要件て、三人だったよ……」

「あ…………」

 思い出した。

 去年の春、文芸部は頼子さん一人っきりで、わたしらが入って、頼子さんはむちゃくちゃ喜んでた。

 そうなんや、部員が二人いうのは、ちょっとヤバいんや。

「平常授業になったら、新入部員獲得せならね!」

「うん……」

「どないかした?」

「わたし、今までのがいい。頼子さんとさくらちゃんと三人の文芸部がいい」

「あ……うん、せやね」

 留美ちゃんは人間関係が苦手。

 留美ちゃんにとって、文芸部の一年間は奇跡的に楽しかった思い出なんや。

 それだけ、あたしや頼子さんに心を許して、たぶん自分でも我がままやと思いながらでも言うてるんや。

 給付金のこととちごて、学校を出たからこそ言えることやねんわ。

 ほんまは、一年の新入部員に入ってもらいたい気持ち満々やねんけど、ここは留美ちゃんに寄り添っておくことにする。

「実はね……」

「うん?」

「アベノマスクは来たんだよ」

 そう言うと留美ちゃんはポケットからアベノマスクを掛けて見せてくれる。

「ああ、ほんまや!」

「学校じゃ、着ける勇気出なくって」

「ねえ、写真撮らせてよ! マスクデビューや! 撮って頼子さんに送ったげよ!」

「や、やだよ。ちょっと見せただけなんだからあ!」

「よいではないか、よいではないか、しゃし~ん!」

 

 分かれ道まで、ハシャギまくった文芸部でした……(◍>◡<◍)。✧♡

 

 

☆ 主な登場人物

 

酒井さくら       安泰中学二年生

榊原留美        安泰中学二年生

夕陽丘・スミス・頼子  真理愛女学院高校一年生 ヤマセンブルグ公国王位継承者

酒井詩(ことは)    真理愛女学院高校二年生 さくらの従姉

酒井諦一        さくらの従兄 安泰山如来寺の僧侶 檀家からは若ボンと呼ばれる

 

 

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小説学校時代・06 学校の食堂

2020-06-06 06:35:30 | エッセー

学校時代 06 
学校の食堂    



 中学より高校がカッコいい!

 大半の高校生が、そう思っているのではないでしょうか。

 カッコいい理由の一つは、学校に食堂があること。

 今の中学校はお弁当か給食、昔の中学はお弁当と決まっていました。20年ほど前から給食になる中学校が増えました。事の良し悪しはともかくとして、給食と言うと、なんだか小学校に戻ったみたいに感じた人も居るのではないでしょうか。

 給食はどんなに美味しくても、あてがいぶちであることに変わりはなく。自分で選ぶというカッコよさがありません。

 給食は、決まった時間に、決まったものを一斉に食べるということでカッコよくない。幼稚園や小学校と変わりがありません。そこへいくと食堂は、自分の都合で行けるし、メニューも、誰と食べるかも選べます。

 わたしたちの時代、食堂は、開店していればいつでも利用できました。

 クラブの朝練の後、食堂に寄ってパンとコーヒー牛乳を買って一時間目の授業に備えたり、業間の休み時間や自習時間でも食堂が使えました。
 自分の都合で好きな時に利用できるのだから、なんとも大人なんだなあと気分がよかったものです。

 食堂を利用すると、いろんなことが分かる。

 給食と違って、クラスメート以外の人間といっしょになる。先生も居るし先輩も後輩も居る、高校に入って別のクラスになった友だちと会うこともあります。
 食べているメニューで好き嫌いや癖、席の取り方で、人間関係が分かったりもしました。

 ガッツリ系のランチや定食は男子に人気で、女子は麺類やサンドイッチなどが多かったように記憶しています。セルフサービスもおおむね守られ、食堂のおばちゃんがマナー違反の食器を片付けている姿はあまり見かけませんでした。お行儀の良い女子たちは食器を片付けるだけでなく、雑巾を借りて使用後のテーブルまで拭いていました。

 A高校の食堂は独立した建物で、8メートルはあろう天井は吹き抜け、南北の壁面はガラス張りの開放感で府立高校とは思えないくらいオシャレでありました。文化祭などで他校の食堂を利用すると、なんだか暗くて狭い印象をうけたものです。食堂に限ったことではありませんが、他校と比較してモノが見られるということも高校の大人部分だったのではないでしょうか。

 ある時、生徒会に、こんな問題提起がなされました。

 食堂のお箸を割り箸にしてほしい。

 それまで食堂のお箸は竹製の丸箸で、使いまわしでありました。むろん回収された箸は煮沸消毒された上に天日干しされたものでしたが、使いまわしということで女子からは敬遠されていました。
「そんなことが気になるねんなあ」
 男子の大方は、やや潔癖すぎる要望であると感じました。割り箸にすることで値上がりに繋がったら……事実、割り箸化の明くる年に食堂は値上げに踏み切りました。
「ほんなら、スプーンとかフォークはどないやねん?」
 と思っていたが、そういうことを追及するほど野暮ではありません。
「ああ、女子っちゅうのは、こんなんやねんなあ」
 そう納得しました。
 むろん男子もバカではありません。当時、部活には社会問題研究部などというものがあったぐらいで、生徒たちの意識は、今時の大学生よりも高かったようです。

 学校の食堂と言うのは薄利多売を絵にかいたようなもので、一品当たりの単価は驚くほど安い。

 かけうどん:30円 カレーライス:70円 定食:100円(90円だったかも) というぐあい。

 食堂で利益率が高いのは自販機の飲料です。

 そういうことを知っていました。自販機の料金設定も一般のそれよりも10円ほど安く設定されていて、むやみに生徒が校外に出ていくことを抑止していました。
 野放図に生徒が外に出ていくことを「良いことだ」とも思っていなかったので、既得権を守るためや無用ないさかいをしないためにも、意識無意識に妥協点を探っていたのかもしれません。

 今は食堂のことを「学食」とか「カフェテリア」とか言うらしいですね。設備も垢ぬけてきているようであります。生徒諸君の思いはどうなんでしょう?
 

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メタモルフォーゼ・15『レトロハイカラな一軒家』

2020-06-06 06:14:04 | 小説6

メタモルフォーゼ

15『レトロハイカラな一軒家』    

       


 そこを右に曲がって……

 ビックリした。いつのまに後ろにいたんだろう、ミキが声を掛けてきた。

 放課後、大事な話があると言うわりにミキは普通だった。放課後になっても相談持ちかける気配さえなかった。
 こりゃもう解決したんだな。そう思って一人で学校を出た。すると今みたく、あたしの後ろに忍び寄って声をかけてきたのだ。
 あたしたちは、少し距離を開けて角を曲がった。突き当たり近くにレトロハイカラな一軒家があった。ミキは、あたしを抜いて、その家に入っていく。

「おじゃましまーす」
「カオルさん、奥の部屋借ります」
「はい、どーぞ」
 年齢不詳の女の人の返事が返ってきた。家は遠目にはハイカラに見えたけど、廊下の腰板や窓枠に塗り重ねられたペンキから、相当な年代物であることが分かった。

 廊下を突き当たって奥の部屋に入ると驚いた。

 庭に面した所は三枚の大きなガラス張り。天井も三分の一が天窓になっていて、半分温室みたく、いろんな花が鉢植えになっている。

「すごいお花ね!」
「うん、カオルさんの趣味。あたしはゼラニウムぐらいしか分からないけど」

 そこにカオルさんが、ロングスカートにカラフルなケープを肩に掛けて紅茶のセットを持って現れた。
「あなたが美優さんね。美紀、やっぱり華があるわね」
「ほんと、たくさん花がありますね」
「ミユ、あんたのことよ。華のある子だって」
「え、華だなんて、そんな……」
「美紀の相談相手には、確かだわ。しっかりお話するのよ。じゃ、わたしは向こうに居るから」

 カオルさんは、そう言うと、きれいなメゾソプラノで鼻歌唄いながら行ってしまった。

「あの人は?」
「カオルさん。お母さんのお母さん……」
「え、お祖母ちゃん!?」
「シ、その言い方は、ここでは禁句だから」
 まだ鼻歌は続いている。
「歌、お上手ね……」
「元タカラジェンヌ……はい、どうぞ」
 ミキがハーブティーを入れてくれた。
「で、なによ、相談って?」
 ミキが顔を寄せてきた。
「実はね……」
「え……!」

 部屋中の花もいっしょに驚いたような気がした……。

 というわけで、あたしは神楽坂46のオーディション会場に居る……ただの付き添いだけど。

 ミキは、アイドルの夢絶ちがたく、このオーディションを受ける。

 でも前の失敗があるので、受けることそのものにためらいがあるんだ。

 お祖母ちゃん……カオルさんは、ミキが小さい頃から宝塚に入れたがっていた。で、ダンスや声楽なんか中学までやっていた。で、AKBぐらい軽いもんよ、と受けたら、見事に落ちてしまった。
 宝塚とAKBではコンセプトが違う。カオルさんは、それが分かって居なかった。オーディションの評は「狙いすぎている」だった。
 カオルさんは、孫を宝塚に入れることは諦めたが(なんせ兵庫県。経済的な問題と、肝心のミキが宝塚にあまり関心を示さなくなった)今のアイドルぐらいなら十分なれると、再度のアタックになったわけである。
 だが、最初の失敗がトラウマになり、なかなか次のオーディションが受けられなかった。
――あたしは(あたしの孫が)アイドルのオーディションごときに落ちるわけがない!――
 で、相談を持ち込まれたわけである。
「ねえマユ、あたし、いけるかなあ!?」
「いけるよ、もちろん!」

 それ以外に、答えようある!?

 でも、現場まで付いていくことになるとはね……。

「次ぎ、21番から25番の人……あれ、25番、25番は、渡辺美優さん!」
 係のオニイサンが叫んでる。なんであたしが!?

 スタジオの入り口でミキが25番のプレートを持ってゴメンナサイをしていた……。

 

 つづく

 

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あたしのあした14『御見舞……感じのいいオジサンね』

2020-06-06 06:01:43 | ノベル2


14『御見舞……感じのいいオジサンね』
      


 

 ――すみません、間違えました  田中恵子――

 いちおう、お詫びのメールだけは返しておいた。
 だけど、なんで早乙女女学院の理事長にメールなんかしたのか分からない。それも「寛一」という名前で打ったのかも分からない。

 死に損なってからのあたしは、どうにも変だ。

 でも、変なことをウジウジ考えても仕方が無い。
 そのことは保留にして、今日は風間さんのお見舞いに行く。
 お見舞いの帰りを無駄にしたくないので――よかったら、いっしょに遊ぼ!――と、ネッチにメールを打つ。
 ネッチは、ついこないだまでは智満子グル-プのナンバー2だった。あたしへのイジメもハンパなかった。
 でも、智満子を凹ませてからは、プールの覗き魔と補講の件で親しくなった。

 鉄と友情は熱いうちに打て! 

「お見舞いまで付き合わせてごめんね」
 駅で待ち合わせて、最初に詫びる。
「いいよいいよ、今日は一日ヒマしてるし、気にしないで」
「ども、ありがとう」
「ひょっとして、お見舞い買うつもり?」
 ショッピングモールに向かうあたしを引き止めた。
「あ、うん。何にするかは決めてないんだけどね」
「だったら、これ使ってくれないかな?」
 ネッチは、バッグから箱を取り出した。
「いい香り……お茶?」
 ネッチの家は商店街のお茶屋さんだ。
「ううん、お茶を使った消臭剤。空気をきれいにするし、お茶の香りが体にいいの。香りの強さは調整できるし病室にはぴったりよ」
「ありがとう、助かる! おいくら?」
「いいわよ、試供品だし」
「そうなんだ、ありがとう!」
 ネッチは優しい気の付く子なんだ。数日前まで、あたしをイジメていたことが嘘みたい。
「今日はどなたのお見舞い?」
 電話では説明したんだけど、こういうボケ方は嬉しく思う。

 風間さんは一般病棟に移っていたけど、あいあかわらず意識不明だ。

「立派な個室ねえ」
 ネッチもあたしも驚いたけど、付き添いの人が誰も居ないのがチグハグだ。
「必要なことはしていかれるんだけどね……」
 巡回の看護婦さんの視線の先には『御見舞 春風さやか』と大きく書かれた果物の盛り合わせのバスケットが、数あるお見舞いの中で君臨していた。
 風間さんは、衆議院議員春風さやかの私設秘書なんだ。

「秘書さんかあ、どういうお知り合いなの?」

「実はね……」
 

 事の顛末をネッチに説明するかたちで、もの言わぬ風間さんにお礼が言えた。

 帰りに病室のドアを閉めて気が付いた。

 ドア横のネームプレートは『風間寛一』になっている。
 それまでは『風間さん』としか承知していなかった。
 あたしが打ったメール……署名は無意識に『寛一』にしていた。

 ――ひょっとして!?――

 もう一度ドアを開けて風間さんの顔を見た……心なし、風間さんが微笑んでいるような気がした。

 一階まで下りると、お花を抱えた上品なオジサンがやってくる。病室を探しているんだろう、オジサンは斜め前の案内図を見ながら歩いてくる。

 ぶつかりそうになった。

「あ、これは失礼」
 オジサンは品よく帽子をつまんで会釈する。
「え、いえ」
「ども……」
「……感じのいいオジサンね」
「うん、そうだね」
 ネッチと呟きながら、エレベーターに乗っていくオジサンを見送る。風間さんへの御見舞だったらいいのに……。

 その人が早乙女女学院の理事長であることが分かるのは、もうちょっと後のことだった。

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新・ここは世田谷豪徳寺・33《💀 髑髏ものがたり・2》

2020-06-06 05:44:34 | 小説3

ここ世田谷豪徳寺33(さつき編)
≪💀 髑髏ものがたり・2≫
         


 大学とは言え、キャフェテリアには全然似つかわしくない物だった。なんたって本物の頭蓋骨💀なんだから!

 トムの話は、こうだった。
 
 アレクのひい祖父ちゃんが、ニューギニアで戦っていたとき、オーストラリアの兵隊とポーカーをやって巻き上げたのが、この髑髏。ここまで聞いたところで、あたしはニューギニアなんかで昔行われていた首狩りの戦利品、それを土産代わりにオーストラリアの兵隊が現地の人からつかまされたガセだと思った。

 ところが、話は想像を超えていた。

 ニューギニアのラム河谷というところで、日本軍とオーストラリア軍の大激戦が行われ、数日間の戦いで日本軍は全滅した。オーストラリア兵は、戦場の異常心理なんだろう……日本兵の死体から首を切り落とし、ドラム缶の鍋で煮詰めて髑髏の標本のようにしたらしい。戦争も末期になって、連合軍に余裕が出てくると、こういう残虐な行為は禁止されるようになったけど、激戦ばかりの中期には、よくあったことらしい。
 ひい祖父ちゃんは、アメリカに持ち帰ったが、戦争が終わって復員すると、日々の忙しさにかまけて忘れてしまった。アメリカでも、戦後の復員兵の再就職は難しい時期があったようだ。

 それが、80歳を超えて、自分の持ち物を整理していると、これが出てきた。むごいことをしたと思ったそうだ。たとえ自分はポーカーの戦利品としてオーストラリア兵から巻き上げたものだとはいえ、良心が痛んだ。そこで日本に留学する曾孫のアレクにこれを預けた。
「できたら遺族の方に返してあげて欲しい」
 アレクは留学費用の半分をひい祖父ちゃんの世話になっているので、断ることもできず持ってきてしまったが「いつかやろう」が一日延ばしになってしまい、とうとうアメリカに帰る前日になり。スコットランドの独立騒ぎで半分酔っぱらっていたトムに押し付けていったそうだ。
「高坂先生に相談してみたら?」とトムは言ったらしいが、アレクは首を横に振った。そのわけは、実際に相談に行って分かった。

「こんなものガセにきまってるじゃないか。クジラ獲るのにも目くじらたてる国だぜ。オーストラリアが、こんな非人道的なことするわけないじゃないか。それに本物の骨というのも怪しい。最近のレプリカはよくできてるからね。まあジャンク屋にでも持っていけば、ちょっとした値段で買い取ってくれるかもしれないぞ。あ、今のクジラと目くじらのギャグ気が付いた?」
 高坂先生はけして悪い人じゃないけど、根っからの市民派。日本人の非道はたとえ朝日新聞が撤回しても信じてやまないけど、外国人が日本に非道なことをするわけがないと信じ込んでいる。アレクもオチャラケたアメリカ人だったけど、なかなか人を見る目はあったようだ。

「分かった、あたしが預かる!」

 江戸っ子の心意気で引き受けてしまった。でも、さすがに家の中に入れるのは気が引け、愛車のマンボウ(ホンダN360Z)の座席の後ろに置きっぱにしてある。

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