大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女マヂカ・160『宇都宮 タワー激突!』

2020-06-17 13:41:24 | 小説

魔法少女マヂカ・160

『宇都宮 タワー激突!』語り手:マヂカ     

 

 

 宇都宮の釣り天井は徳川初期の謀反事件として有名だ。

 天一坊事件、由井正雪事件と並ぶ謀反で、戦前は講談や活動写真で取り上げられ、戦後も市川歌右衛門の旗本退屈男の天然色映画になっている。

 市川歌右衛門というのは北大路欣也の父親だ、ほらスマホのCMに出てる犬のお父さんの声をやってる。

 友里が?顔をしているので、思わず語ってしまったが、天井は刻一刻と降りてくる。

「天井が降りてくるとどうなるの?」

「普通の天井なら簡単に突き破れるだろうけど、たぶん製鉄所のプレス機ほどの圧力だろう」

「それって、どれくらい?」

「金の指輪をプレスしたら学校のグラウンドくらいの広さになる圧力」

 ヒエーー!

 友里とツンが悲鳴を上げる。

 魔法を使えば、わたし一人なら何とかなるだろうが、友里とツンを置いていくわけにはいかない。

 

 ズシーーーーーン!  ズシーーーーーン!!

 

 圧の違う二つの地響きが近づいてくる。

 わん!

「東京タワーと宇都宮タワーが近づいてくる!」

 ドボボーーーーン!

「堀に落ちたな」

 ガシーーーン! ガシャーーーン! グゥアッシャーーーン!!

「もつれ合っている」

「わたしにしがみ付け、少しは紛れる。ツンも来い」

 わん!

 返事はするがお座りの姿勢のまま天井を見上げている。さすがは西郷さんの猟犬だ、最後まで戦う姿勢なのだ。女子中学生の姿のままなので四つん這いで身構えてパンツ丸出しなのが可笑しくも健気、この危機を乗り越えられたら、ちょっと考えてやろう。

 ドガドガ! ドッガーーーン!! グゥアッシャーーーン!!!

 二つのタワーがもつれ合って倒れたのだろう、木造の建物が微塵になる音が震度マックスの地響きと共にした。

「マヂカ、壁に亀裂が!」

 わん!

 友里の発見にツンが気づいて駆けていく。

 わんわん!

 亀裂から抜けられるかもしれないと、ツンが吠える。

「今行く!」

 亀裂に近寄ると、ツンは器用に身をくねらせて亀裂を抜けて見せた。西郷さんと狩りに行って藪やら兎の穴に潜ったりするので、お手の物なんだろう。

「友里、ツンに続け!」

「う、うん」

 ツンほど体が柔らかいわけではないが、つかえながらも抜けていく。

「マヂカ、来て!」

「わん!」

 差し出される二人の手に助けられて抜け……ようとしたが、胸がつかえた。

「マヂカ、胸おっきすぎ……」

「わん!」

「Dカップになってきたか?」

「ちょっと、嫌味」

「そういうつもりはないんだが……よし、息を吐きだした瞬間に引っ張ってくれ!」

 セイ!

「おお!」

「わん!」

「胸は抜けた……がな」

 今度は尻がつかえてしまう。

「マヂカ、ちょっとダイエットを……」

「うるさい!」

 千年以上も魔法少女をやっている、いつのまにか少女という体型ではなくなってきたのだろうか……いや、考えている場合ではない。

 

 ズッゴーーーーーーーーーン!! ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーン!!

 

 聞き覚えのある衝撃音、同時に御殿が崩れ始め、亀裂が広がって、友里とツンを両脇に抱えて、本丸の端まで跳躍した。

 

 北斗だ!

 

 特務師団高機動車の北斗がパルスガ発射直後の残光を身にまとって南の空に浮かんでいる。

 ゴ ゴゴ ゴ ゴゴゴ ゴ ゴ ゴゴ…………ゴーーーーーー!!

 フリーズ寸前のゲーム画面のように、コマ落ちしながら近づいてくると、急にバグが直ったように高速で北の空に消えてしまった。二つのタワーは姿が見えない。城の北側が破壊されているので、そこから日光街道沿いに進んでいったのだろう。

 とりあえず、釣り天井に圧殺される恐れが無くなって、一息つける。

「みんなが手を振ってたよ!」

 北斗はC58の姿をしているので、キャブ以外に人の姿は見えるはずも無いのだが、わたしもハッキリ見た。安倍隊長が、ノンコが、清美が、ブリンダとサムがわたしたちに手を振ってくれていたのを。

 

 

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小説学校時代 16『昇降口・2』

2020-06-17 06:41:08 | エッセー

 16

『昇降口・2』   

 

 

 昇降口と称するには条件が居る。

 

 下足室と言い慣わしてきた大阪人としては思うのです。

 昇降口と称するなら、昇ったり降りたりということがあるはずで、下足スペースが階段に直結していなければ理屈に合いません。

 めったにないでしょうが、平屋建てだけの校舎なら昇降ということばそのものが使えません。

 初めて昇降口ということ名に接した時は、その音から焼香口を連想しました。

 ほら、お葬式の時、一般参列者が三人ほどまとめてお焼香をするところ。

 あるいは、将校口。軍隊の営舎の入り口で、下士官や兵とは別に設えられたエライサン専用の出入り口。

 

 そろそろ『昇降口』が普及している地方の方々から叱られそうなので、切り口を変えます。

 

 ラノベなどの設定で、昇降口で彼や彼女の出会いがあったりしますよね。ロッカー式下駄箱の角を曲がると、たいていあわただしい朝の時間。ドーンとぶつかったところから恋が始まるとか。下駄箱を開けたら手紙が入っていて、差出人の名前は書かれていないけれど、あきらかに女の子の筆跡。そこからドラマが始まります。

 放課後の屋上で待ってますとか、前からずっと好きでしたとか書かれていたり。時には、それがイタズラであったりするのですが。スクールラノベが展開していくシュチエーションとしては、屋上と並んで欠くべからざるロケーションです。

 下駄箱に手紙を入れるのは女の子ですね。それもたいてい男の下駄箱に入れます。女子高の設定だと女の子が先輩女子の下駄箱に入れるのもありですね。

 ラノベのたぐいはいろいろ読みましたが。男子が女子の下駄箱に入れるというのは読んだことがありません。

 昇降口と言うのは、ことスクールラブにおいては、女子がアクティブになれる空間なんかもしれません。

 

 下足室……では、モッサリしすぎでしょうか。トイレを便所と表現したのと同じくらいの違和感があるかもしれません。

 全国的に見ても、昇降口が主流で、下足室と称するのは大阪を中心とする西日本の一部なので、過去の作品を見直して昇降口と書き換えております。

 下足室・昇降口の現実に次回は触れたいと思います。

 

 

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あたしのあした・25『マイクロバス』

2020-06-17 06:35:10 | ノベル2

・25
『マイクロバス』
      


 

 あたしたちもタヒチアンダンスをやろう!!

 という具合にはならない放課後の食堂。
 
 智満子は感動のあまり、プールの真ん中で泣きだすくらいだったけど、その智満子でも「あたしもやる!」ということにはならない。
 高校一年生にもなると、手が届くことの限界が分かっている。
 感動したことを無条件に「やりたい!!」と思えるのは中学までだろう。

「でもさ、智満子が、あんなにピュアな涙流すとは思わなかった」

 ネッチの感想に取り巻き達が「うんうん!」と激しく同意する。
 熱烈歓迎というのは知っているけど熱烈同意ってのもあるんだと感心する。
「今度の連休にタヒチアンダンスのコンクールがあるんだって」
 智満子がスマホの画面を見せた。
「「「「「「「どれどれ」」」」」」」
 みんなが小さなスマホの画面に集中する。なんだか餌に集った鳩みたいだ。
「プルルップー」
「アハハ、ほんと鳩みたいだ!」
 智満子が鳩の真似をして、みんなが笑う。どうやら、智満子は以前とは違う形でリーダーになれそうだ。
「それで早乙女女学院の子たち力が入っていたのね」
「観にいきたいなーーーー!」
「「「「「「「「そーだねー」」」」」」」
「でも会場、滋賀県なんだね……」
「ちょっち遠いなあ」

 いつもなら、このあたりで話が萎んでしまう。

 滋賀県は新幹線と在来線を使って四時間ほど。そして行って帰るだけでも二万円以上のお金がかかるのだ。
 ダメなのは分かっているけど、想いが勝ってしまって、みんなスマホの画面から目が離せない。
「行けたとしても、今からじゃ新幹線の予約なんかとれないよね……」
 気弱なベッキーがため息をついてみんなの食器をトレーごと回収に回った。
「ベッキー、食器は各自で片づけるからいいよ」
 智満子が言うと、みんな各自のトレーを持ち始めた。トレーを片付けてしまったらお終いになると思った。

「ね、補講で使ってるマイクロバス使えないかな」

 思い切って提案してみた。
「あ、それいい!」
 ネッチが叫んで、みんなが振り返った。
「あれなら乗り慣れてる!」
「先生に頼みに行こう!」
 あたしの提案に乗っかって、萎みかけた気持ちが再び膨らんだ。

「だめだ、そんな思い付きには付き合えない」

 水野先生はニベもなかった。みんなも思い付きと言われたことにカチンときているようだ。
「あたしたち真剣なんです」
 智満子が静かに言った。
「そんな思い付きは真剣とは言わん」
「「「「「「「「思い付きじゃありません」」」」」」」
「高校生だから、そう思うんだ。中間テストも近い、そんなの観に行ってる場合じゃないだろ」
「それはおかしいと思います」
「なに?」
「たしかに、あたしたちは高校生です。比較できることは十六年の人生に中にしかありません。でも、そんなこと言ってたらオバサンになるまで、なにも決心して決めることができません」
 智満子も食い下がる。
「あのな、この十三人を連れて運転することになったら、これは学校の許可がいる。今から計画書作って職員会議にかけていたら間に合わん。そうだろうが」
「そんな大そうな……」
「教師や学校には責任というものがあるんだ。あきらめろ」
 先生は、そう言うと鞄を持って出て行こうとした。
「じゃ先生、マイクロバスだけ貸してください。運転手は捜します」
「あれはホテルからの借りものだ」
「じゃ、連休の間借りられるようにホテルと交渉します」
「横田……おまえ」
「ホテルのものだから構わないでしょ」
「……勝手にしろ!」

 智満子が再びリーダーシップを発揮し始めた。

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プレリュード・2《ウダウダと……前篇》

2020-06-17 06:27:23 | 小説3

・2
《ウダウダと……前篇》   



 

 直美と話したことを思いだしたので……。

 一年の頃は演劇部に入ってました。中三のとき、あるお菓子メーカーのCMのオーディションに合格して、ほんのワンカットの、そのまたその他大勢のひとりだったけど、三か月ほどテレビに出ていた。

 CMの主役はアイドルの黛朱里(まゆずみあかり) 普段はちょっと小悪魔系のアイドルだけど、スタジオの彼女は礼儀正しくて、あたしたちその他大勢にもきちんと挨拶。プロデューサーやらスタッフと話すときは、必ず相手の正面をむいて、きちんと返事。正直目からうろこだった。

 三分バージョンから三十秒バージョンまで、撮るのに丸一日。間に休憩は入るけど、オーディション組は、ちょっとバテ気味。だけど黛朱里は平然としてる……だけじゃなくって、わたしたちをリラックスさせようと、いろいろ話して冗談を飛ばしたり。

 大変やだなあ……と思いながら、憧れてしまった。
 
 高校に入ってすぐに演劇部に入った。映画でえらい賞とった女優さんがO学院の演劇部の出身と聞いて、役者になるんだったら演劇部……今から思うと単純な発想。

 演劇部は期待外れだった。発声練習と肉体訓練は型になってて、それなりに気合い入ってるけど、肝心の芝居の稽古がもうひとつ。

 わたしも、役者になりたいと意識してから、亮介(アニキ)の勧めで、簡単な戯曲やら、演技の教則本を読んではいた。亮介は心理学部だけど、学部の選択で演劇のコマをとってる。実力はともかく、講師の先生がいいようで、勧めてくれるものに間違いは無かった。
 

 演劇部で、驚いたことは、役者が人の台詞を聞いてないこと。大げさに台詞吐くけど、状況に対する反応になってない……つまり、相手の演技への反応になってないから、ただ声と動きが大きいだけ。簡単に言うと大根です。

 もっとびっくりしたのが、創作劇しかやらないこと。

 クラブのロッカーを見ても既成の本は一冊も無い。休憩時間に新感線やら三谷幸喜なんかの芝居の話しても、まるで通じない。シェークスピアやらチェーホフの名前すら知らない先輩が居るのには、ビックリ通り越して寒むくなってきた。

 連休明けに連盟の講習会があった。

 劇団○×△□(これでコントローラーと読む。なるほどプレステのコントローラー)の南野隆いうオッチャンが講師で、呼吸から、エチュードまで教えてくれて、なんだかそんな気になった。
「通年の講習会とかはないんですか?」
 司会の先生に聞いてみた。
「夏休みに、もう一回。そんで地区でも講習会があります。そこでまたがんばろう!」
 トンチンカンな答えが返ってくる。芝居は通年で訓練しなくちゃ身に着かないくらいは、素人でも分かる。

 で、文化祭。

 演劇部の前のダンス部は満員御礼だったけど、演劇部になったとたん潮が引くように観客が居なくなった。

 うちの演劇部は勘違いしている。戯曲も読むことをせずに自己満足の創作劇。一年生のわたしが読んでも戯曲の形になってない。演技は、ただの形だけだし、なんと言っても舞台監督が名前だけ。稽古場の管理も稽古日程の管理もできてない。たった十人の演劇部なのに、演技班と工作班に分かれていて、どうかすると、何日も顔見ない部員もいる。
 あたしは、一応演技班だけど、稽古中人の稽古見てないもんが多いのに違和感。
 そのくせ『U学院演劇部ブログ』の更新には熱心。交代で毎日更新している。中身は、よその演劇部とうちの誉め言葉と「ガンバロー!」のスローガンだけ。あたしに番が回ってきたときに、さっき書いた講習会の感想書いたら、すぐに部長に削除されて、別のプロパガンダに替えられた。

 もう、辞めます。

 夏休み前に宣言。

 だけど、人が足らんとか部員の責任とか言われて足止めされた。たしかに十人だけでコンクールの表と裏を切り盛りするのは難しいだろう。
 わたしは「責任」とか「人情」いう言葉には弱い。結局演技班から降りて工作班に。でも実質辞めたのも同じで、本番前と本番のスタッフの手伝いすることで手を打つ。

 コンクール……バカかと思た。

 五百人入るK高校の観客席に五十人ほどしか観客が入ってない。参加校は十二校やから、一校四人ちょっと。十二校中十一校が創作劇。公式パンフ見たら、93%が創作劇。うちの学校だけが特別じゃないことを実感。府全体がおかしい。

 もう、終わったらほんまに辞めようと思ったよ。

 審査にもびっくりした。

 最初で最後のコンクールでもあるので、最後まで観た。
 ありえない審査結果だった。
 声は聞こえない、話しはよく分からない、幕が下りても「え、これでおわり?」てな感じで、拍手がなかなかおこらなかったH高校が最優秀。うちの学校は二等賞にあたる優秀賞と創作脚本賞。

 審査員どこに目えつけとんねん!?

 ま、こんな話を直美としてたわけ。観客動員だと言われたので、わたしは直美にだけ頼んだ。直美は律儀な子で、わたしに付き合って全部見てくれた。
 直美はブロガーで、その日のうちに観た学校の感想をブログでアップロード。中身は、わたし同様に手厳しい。
「あのブログは、奈菜、おまえの入れ知恵やろ」
 部長から、そう言われた。あたしは直美から、こう言われた。
「観客動員や言うから行ったけど、連盟のサイト見ても会場も時間も書いてない。ちょっとどないかと思うよ」

 ごめんなさい、ウダウダと長くなりました、反省(;^_^。    奈菜……♡

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