大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

小説学校時代・07 出欠点呼

2020-06-07 06:27:10 | エッセー

学校時代 07 

出欠点呼   


 

 出欠点呼を覚えているでしょうか?

 学校の朝は出欠点呼から始まる……わりには憶えていない。

 小学校は、朝から担任がいるので担任の先生が取っていた……と思います。

 たぶん、クラスの座席が頭に入っているので、一瞬で確認して出席簿に付けていたのではないかと。
 クラスには50人近い児童がいたけれど、呼名確認はしていなかったように思います。先生の目に狂いはないと児童も保護者も思っていました。

 中学は、朝礼が無くって一時間目の先生がチェックしていたように記憶しています。

 まず自分の閻魔帳に付けて、出席簿に転記していたように思います。
 クラスの出席簿は日直が職員室から学級日誌といっしょに持ち出していた……記憶が蘇って来ました。

「おはようございます、1年5組の日直です。出席簿と学級日誌とりにきました」

 そう言って持って行った。持っていくについてのお作法は、上級生がやっているのを見て覚えたような気がします。
 今のように、職員室のドアに「失礼します~失礼しました」までのマニュアルは貼られてはいなかった。だから、生徒によってバラつきがあり、きちんと挨拶する者も何も言わない者も居ました。わたしは「1年5組です」くらいで済ませていたように思います。
 職員室の先生たちが生徒の声に応えることはほとんどありません。今の学校なら「はい」とか「ごくろうさん」ぐらいは返していると思うのですが、どうでしょう。

 出席簿に付け間違いがあると、生徒は自分で申し出ました。

「すみません、この時間居てたんですけど」
「あ、そうか、すまんすまん」

 これで済んでいました。相互に信頼関係があったというか、いい加減と言うか、出席簿というのはその程度のものでした。
 先生たちが真剣に点呼したのは、遠足や修学旅行の時ぐらいでじゃなかったかと思います。校外学習でミスをすると置き去りとか、洒落にならない事態になるからでしょう。

 高校でも朝の出席点呼はしませんでした。

 建前は、一時間目の教師が点けることになっているのですが、ろくに点けていない先生も多かったように思います。一時間目の自習(つまり先生が休んでいる)も多く、遅刻に関しては、正確な把握はされていなかったのかなあ。

 そうそう、程度の差はあるけれど、出席簿の管理は日直、または学級委員の書記の仕事でした。午前中に職員室前の黒板にクラスの出欠を書きに行ったことを覚えています。書き洩らしがあると『〇年〇組出欠が書かれていません、早く書きに来てください』と教務の先生が校内放送されました。それでも書きに来ないと「日直(または書記)しっかりせえ!」と担任に怒られます。

 自分が教師になったときは、完全に担任がつけていました。

 きちんとつけないとトラブルになります。
「〇〇、今朝は遅刻やったな」
 終礼で宣告すると。
 ジト目で「おった」あるいは「おったわ、ボケ!」と返されます。

 ちなみに、この返事のパターンに男女の区別はありません。時には、俯いたまま「殺すぞ……」という凄みのあるのもありました。

 試行錯誤の結果、以下のように定着しました。

 予鈴3分前に教室の前に行き、窓から「もう鐘鳴るぞ! 急げ!」と大音声で叫びます。1分前からカウントダウンし、予鈴が鳴ると共に教室に入る。

「座れ! 自分の席に着いてないやつは欠席やぞ!」

 そしてバインダーに挟んだ座席表を見ながら呼名点呼をやる。ここで大事なことは、必ず生徒の目を見ながら確認することであります。いなければ欠席記号の『/』を点けます。
 目を見ておかないと「おったわ、ボケ!」をかまされます。
 クラス35人余り、全員が居ると20秒ほどで終わります。たいてい20人もいないので10秒余りで終わります。
 ただ、この10秒の間にも入ってくる生徒がいるので、もう一度欠席者の名前を叫んでおきます。二回目の点呼で確認できればセーフというわけです。セーフの場合は『/』にコの字を二つ加えて『出』の字に変えます。

 これを続けていると「おったわ、ボケ!」をくらわなくなります。

 うちの担任は出欠に関してはシビアやと刷り込んでしまうのです。

 出欠点呼をきちんと取ること、掃除当番をサボらせないこと、この二つが生徒との信頼関係の基礎でありました。

 

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メタモルフォーゼ・16『美優、好きだ……!』

2020-06-07 05:54:25 | 小説6

メタモルフォーゼ

『16 美優、好きだ……!』        

 


 火事場のバカ力だと思った!

 歌も、ダンスも、自己アピールもガンガンできた。
 なんたって、ほんの一分前までは、自分はただの付き添いだと思っていた。
 それが、だまし討ち。あたしも受けることになっていたとは、爪の先ほども思っていなかった。

―― 一人だと、とても受ける勇気がでなくって ――

 あとで、ミキが呟いた言い訳。言われなくても試験会場に入る前の、ミキのゴメンナサイで分かってしまった。
 で、受験生五人が並ぶと、やっぱ張り切ってしまう。美優が……って、自分自身のことだけど、こんなに張り切っちゃう子だとは思わなかった。
 コンクールは、学校の看板をしょっていた。直前にS高のAたちに道具を壊された悔しさがバネになっていた。
 でも、この神楽坂46のオーディションは、ミキにハメラレたということはあるけど、しょっている物も、悔しさもない。ただ自然に湧いてくる「負けられるか根性」だけ。
「25番の人。アピールするところは?」
「あ、負けられるかって根性です。競争には勝たなきゃ。根拠ないですけど」
 我ながら、正直な答え。でも、やっぱ火事場のバカ力のガンガンだから、ダメだとは思った。

「ごめんね、美優、言わなくって……!」

 会場を出たとたんに、ミキが抱きついてきた。
「いいよ、いいよ、でもよく決心したね……」
 なんだか前田敦子の卒業宣言のあとの大島優子との感動シーンのようになってしまった。
「美優道連れにしてでも、受かりたかったの。美優すごかったよ! うかったら、いっしょにやろうね!」

「うん!」

 元気に返事したのが良くなかった……オーディションに受かってしまった!

 そして、ネットや、マスコミで流れたので、学校では大騒ぎになった。なんちゅうーか……演劇部のときよりもすごいお祭り騒ぎになってしまった。
 地元の新聞社、ローカルテレビ、受売商店街のミニコミ誌も、受売神社とコラボして、町おこしの種として神社の宮司さんを連れてやってきた。

「日本各地に、受売命(ウズメノミコト)を祀った神社がありますが、うちは年回りもあるんでしょうか、ことのほか霊験あらたかなようです」
 

 宮司さんは鷹揚にに答えた。

 ま、確かに、あたしを進二から美優にしたのにも、ここの神さまがいっちょう噛んでるよーな気もするし、コンクールも次々に最優秀を取らせてくれた。

 テレビ局の演出で、出演者のタレントさんといっしょに神社にお参りに行った。

――ねえ、神さま。これって、いったいなんなんですか?――

 あたしはダメモトで、柏手打ちながら、神さまに聞いた。

――美優 そなたは人の倍の運……を持って生まれてきた。心して生きよ――

 思わぬ声が頭に響いた。三度目なので、声に出して驚くことは無かったけど、表情に出た。

「あ、美優ちゃん、なにかビビッと来たのかな!?」
 MCのお笑いさんが、すかさず聞いてきた。
「あ、なんだか、その頑張りなさいって……聞こえたような」
 で、ごまかしておいた。
 運のあとに間が空いたのが気になった。でも、言わなかった。だって、思わせぶりすぎるもん!

 その日の帰りは夕方になった。テレビのロケ隊も来てるし、あたしのことを知ってる人も居そうだったので、久方ぶりに家まで歩くことにした。

「あ、美優」

 旧集落のあたりを歩いていたら、後ろから声を掛けられた。この声の主は剣持健介だ。

「こないだのDVDありがとうございました」
「そんな改まるなよ、ただでも、今日の美優は声掛けづらかったんだから」
「え、そんな……」
「取り巻きいっぱいいるしさ、なんだか、美優のオーラが、すごくなっていくんだもんな……声かけようと思って、こんなとこまで……おれも気が小さい」
「え、神社から、ず……」
「あ、聞こえにくいんだけど」
 あたしは、顔隠しのマスクをしているのに気がついた。急いで、マスク取ると、溜まっていた息が口からホンワカ出てきて健介の顔にもろに被ってしまった。
 健介の顔が真剣になった……なによ、このマジさは……。

「美優、好きだ……!」

 のしかかるようにハグされ、唇が重なってしまった。数秒そのままで、健介は離れた。

「ごめん……」
「謝るぐらいなら、こんなことしないで……」
「帰り道危ないから……送っていくよ」
「もう、危ない目に遭っちゃったけど」
「いや、もっと危ない奴もいるかもな」

 お尻タッチのオッサンのことを思い出して、おかしくなった。

 あたしは、唇が重なっても、それほどにはときめかなかった。

 心のどこかが、まだ女子に成りきっていないのか、神さまの「運……」が、ひっかかっているのか。

 満月と、宵の明星が、そんなあたしの何かを暗示するように輝いていた……。

 

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あたしのあした15『血相変えたネッチが飛び込んできた』

2020-06-07 05:42:36 | ノベル2

15
『血相変えたネッチが飛び込んできた』
      


 

 横田智満子が登校してきた。

 えと……一週間ぶりだよね?
 ネッチに聞いたら「え……半月ぶり?」と答えがかえってきた。

 ほんとうは一週間なんだけど、あえて訂正はしない。

「あたし萌恵先生に用事があるから、お昼はいっしょできないの。じゃあね」

 渡り廊下でネッチたちと別れる。これだけ言っておけば、以前のように智満子を囲んで昼ご飯になるだろう。
 あたしがいたんじゃ、智満子のこと誘いにくいだろうしね。

「なに、あたしに用事って?」

 約束の生物準備室にいくと、萌恵ちゃん先生が椅子ごとくるりと回して言った。机の上にはお約束のお弁当が載っている。
「お世話かけます、ここいいですか?」
 萌絵ちゃんに断って、横に座る。お弁当はあらかじめ先生に渡しておいたものだ。
「あ、そだ、お茶沸かしていいですか?」
 お茶の用意くらいはしてくれているかなあと思ったけど、萌恵ちゃんは、そこまで気はまわらないようだ。

「どうして、あたしにお弁当預けたりしたの?」

「お弁当ぶら下げて教室出たら、いかにも意図的ってわかっちゃうでしょ。自然な形で智満子が溶け込めるようにって気を回したんです……はい、お茶」
「ありがと。でも、話ならお昼食べてからでも良かったんじゃないの?」
「食べてからじゃ時間が足りません。それに、あたしが居たんじゃ、智満子はハミゴになります」
 悪い人じゃないんだけど、萌恵ちゃん先生は、担任としての想像力に欠ける。
「智満子が来るんなら、あらかじめ根回しがいるような気がします」
「根回し?」
「知ってると思いますけど、あたしは、かなり衝撃的なやり方で智満子をボスの位置から引きずり下ろしました。そうしなきゃ、あたしへのイジメは終わっても、こんぐらがっちゃってクラスめちゃめちゃになりましたから」

「え、あ、そなの?」

 悪いけど、教師としての資質を疑うくらいに鈍い。

「そーですよ。それとなくあたしや智満子や取り巻きには話しておくべきでしたよ」
「え、どんなことを?」
 そんなあどけない顔で聞かないで下さいよセンセ。
「智満子には気負わずに学校に来ること。変に意識したら構えてしまってトラブルになるになるってなこと」
「え、むつかしい」
「ボス風吹かせたら、みんなから嫌われるでしょ。かと言って、ひとりイジイジしていたら『うっとい女!』ってことになって、クラスで暴力事件が起こります。で、智満子はクラスに居場所が無くなって、ヘタすりゃ、クラスは大波乱になっちゃいます」
「とりまきとかには?」
「その逆のことを言えばいいんです。以前みたいにお喋りしたり、いっしょにお昼したりすることです。ボスとしてじゃなく、お友だちとして。そしたらソフトランディングできます」
「そーなのか……」
「それに、そういう根回しやっとくと『さすがは萌絵ちゃん! なかなかの担任!』ということになって、今後のクラス経営がやりやすくなります」

 どーして、あたしが担任のポテンシャルまで心配してやらなきゃならんのだ!?

「恵ってすごいのね……正直いじめられっ子で、この先みこみないって思ってたんだよ」
 思っていても、そういうことは言わない方がいいと思う。
「えと……そろそろ食べません? お茶とかも冷めちゃうし」
「え、あ、そだね」
 やっと、おべんと箱の蓋に手を掛けると、準備室のドアがガラリと開いて、血相変えたネッチが飛び込んできた。

「ちょっと大変! 智満子が食堂で大暴れしてる!!」

 しまった!!

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新・ここは世田谷豪徳寺・34《💀 髑髏ものがたり・3》

2020-06-07 05:31:19 | 小説3

新 ここは世田谷豪徳寺34(さつき編)
≪💀 髑髏ものがたり・3≫     



 さつき……さつき……

 わたしを呼ぶ声で目が覚めた。

 もう夜が明けかけているようで、外はほんのりと明るく、その光をバックライトにして帝都の制服を着た女の子が正座している。一瞬さくらかと思った。だが、さくらがこんなに早く起きて身支度しているわけがない。という常識が頭をよぎった。

「あたしよ、あたし、桜子よ」
「桜子……ひいお祖母ちゃん!?」
「大きな声出さないで、さくらが起きてしまう」
「大丈夫、さくらは爆弾でも落ちてこない限り目が覚めないから。ねえ、さくら」
「う~ん……」

 さくらは寝返りを打ったかと思うと、オナラで返事した。桜子ひい祖母ちゃんが口を押さえて笑うのを我慢している。

「でも、ひい祖母ちゃん。ひい祖母ちゃんは、さくら専門じゃなかったの?」
「ヒヒヒ……そのひい祖母ちゃんてのは止してくれる。せっかく、こんな女学生の時のナリで出てきてるんだから」
「じゃ、なんて?」
「さくらって呼ばれてたけど」
「それじゃ、さくらと区別つかないよ」
「じゃ、桜子。ちょっと呼びにくいけど」
「桜子……さん。御用はなーに? 言っとくけど、あたしに憑りついても、さくらみたいに上手く歌えないからね」
「そうじゃないわ。さつきが車の中に入れてる兵隊さん」
「あ……ああ!」

 もしやと思って、サッシからポーチのホンダN360Zを見た。

 すると、車の傍に、鉄兜の兵隊さんが立っていた。

 目が合ったような気がしたので、目礼すると折り目正しい敬礼が返ってきた。でも……鉄兜の下の顔が無かった。

 でも、不思議に怖さは湧いてはこない。

「恥だっておっしゃって、お顔も見せてくださらないし、名前もおっしゃってくださらないの。あたしが分かるのは、階級章で歩兵の中尉さんだってことぐらい。ご本人は日本に帰れただけで嬉しい。身元なんか探さずに、川の土手にでも埋めてもらえば結構だって……でも、それじゃ、あまりにお可哀想。今は科学が進歩してるんだろ。なんとか元のお顔を復元して身元を確認してご遺族のもとにお返ししてあげられないかしら」
「う~ん……そうだ、そうニイに相談してみる。自衛隊だから、なんとか面倒みてくれると思う!」
「ああ、それいいかもよ! あ、夜が明けるわ。名残惜しい、さつきとももっとお話ししたかったんだけど、あたし、あたしね……」
 サッシから差し込んできた光を浴びて、ひい……桜子さんは消えてしまった。

 そこで目が覚めた。横を向くと、さくらがお尻向けて寝ていた。カマされてはかなわないので、早々に起きる。

「あら、早いのね」

 ダイニングに下りるとお母さんに言われた。お父さんが朝ごはんを食べていたので、久々に三人で朝食。あの話をしようかと思ったけど。車の中に髑髏があるなんて言ったら、お母さん卒倒しちゃう。まあ、あとでそうニイに電話で話そう。

「あ、そうそう、惣一休暇で帰ってくるって」

「ほんと!?」

 渡りに船と思ったさつきでありました。

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