大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・303『メグリン』

2022-04-26 16:13:35 | ノベル

・303

『メグリン』さくら   

 

 

 集めてるというほどやないけど、テイ兄ちゃんは10個ほどのフィギュアを持ってる。

 ときどき「ええやろ~(^▽^)」言うて見せてくれるんやけど、ちょっとキショク悪い。

「この子だけ大きいなあ」と感心したのがある。

 スクールアイドルのんやけど、マイク持ってサビの決めポーズみたいな、その子だけが首一つ大きい。

「スケールが違うねん」

「スケール?」

 言われんでも、スケール=大きさが違うさかいに、言うてる意味が分かれへん。

「いや、縮尺や。他のは1/7とか1/8やけども、このメグリンは1/6やねん」

「……なんか、圧倒的な存在感やねえ」

「そら、値段もそれなりやったし、スケールが大きい分作り込みもちゃうしなあ(#´ε`# )」

「ああ……そう(^_^;)」

「ほら、これ見てみい」

 慣れた手つきでスマホを操作すると、メグリンのイラストがいっぱい。

 イラストは普通の背丈で他のメンバーと並んでも違和感はない。

 せやけど、テイ兄ちゃんの他のフィギュアと並ぶと、やっぱり圧倒的。

 

 そのメグリンの印象が、ググっと頭に浮かんだ!

 

 留美ちゃんは提出物があるので、今朝は、一人で教室に向かった。

「おはよ……」

 と、ドアを開けて声が停まってしもた。

 例の席にメグリンが座ってる!

 1/7の世界に紛れ込んできた1/6!

 窮屈そうに1/7の席に座って頬杖付いて外を見てる。たまたま朝一番やったんで、この瞬間、教室はうちとメグリンの二人。

 他の子が居ったらごまかしようもあるんやけど、二人だけやから、対応せんと気まずいやおまへんか!

「~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」

 メグリンが振り返って笑顔で挨拶してくれる。

「あ、ああ、~~~ヾ(^∇^)おはよー♪」

 おんなじテンションで返す。

 人間関係は最初が大事。

 なんか気の利いたことを言お思て、一拍遅れてしもた。

「いや、隣の席なんだね、よろしく、古閑(こげん)めぐり。よろしくね」

「はいぃ、うち酒井さくら。よろ~」

「ごめん、座ったままだたね、よいしょっと……」

「うお~~~!」

「アハハ、背丈だけはあるから、もうしわけない(^_^;)」

 立ち上がると、メグリンとは、まるまる首一個分違う。

「なんぼあるのん?」

「ひゃくななじゅう……ごせんち……かな?」

「153センチやし……」

「ああ……いいよね、それくらいが……」

「いやいや、そんなことあれへんよ! 背丈なんて、数ある個性の一つやし」

「あはは、そうだよね、酒井さん」

「あ、うちのことは『さくら』でええさかいに!」

「そうか、じゃ、わたしのこともメグリンでいいよ」

「メグリンて呼ばれてたん?」

「ううん、メグとかメグッチとか、進撃の巨人とか」

「ああ……」

「メグミって間違われることが多かったけど、正しくはめぐりだからね、メグリンはいいと思う」

「そうか、メグリやねんねえ、大阪におったわりには訛ないねんねえ、あ、うち安泰中学やったし」

「そうか、先生が言ってた隣の中学ってさくらのことだったんだ!」

「あ、もう一人おるよ。ほら、いま入ってきた子」

 ちょうど留美ちゃんが入ってきた。さすがに、うちみたいな無作法な反応はせえへん。

「おはよう」

「あ、おはよう……」

 ポーカーフェイスで座ろうとするから、フォローする。

「榊原留美、おんなじ安泰中学、留美ちゃんも標準語っぽいから馴染みやすいと思うわ」

「よろしくね、榊原さん。わたし、親の仕事で日本中渡り歩いてるから、どこの方言にもなじめなくって……まあ、そういうことでよろしくね」

「は、はい、こちらこそよろしく」

 メグリンは、わざとらしくかがんだりせんと話してくれる。

 背丈なんかは、生まれ持った個性やさかい、お互い変な気の遣い方はせん方がええと思う。

 内申書のこともあるしね。

 

 うちが気楽に喋れたこともあって、それから続々と入ってきた同級生とも普通にやれてた。

 まあ、一年生やし、真理愛学院は真面目っぽい子多いし。

 ペコちゃん先生は特になにも言わんと出席とってショートホームルームやって、おしまい。

 一時間目が終わったら、入学式からいっしょに居ったみたいになった。

 ただ、廊下とか歩いてたら、他のクラスの子ぉらは、ちょっとビックリしてたけどね。

 メグリンがスクールアイドルアニメのキャラやと言うたげると、喜んで検索。

 アニメのメグリンは『目黒凛』という名前やいうのが分かった。

「おお、ツンデレ! かわいいねえ!」

 本人も気に入って、めでたしめでたしの一日やった。

 

☆・・主な登場人物・・☆

  • 酒井 さくら    この物語の主人公  聖真理愛女学院高校一年生
  • 酒井 歌      さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
  • 酒井 諦観     さくらの祖父 如来寺の隠居
  • 酒井 諦念     さくらの伯父 諦一と詩の父
  • 酒井 諦一     さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
  • 酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
  • 酒井 美保     さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
  • 榊原 留美     さくらと同居 中一からの同級生 
  • 夕陽丘頼子     さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王位継承者 聖真理愛女学院高校三年生
  • ソフィー      頼子のガード
  • 古閑 めぐり    さくらと留美のクラスメート メグリン
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鳴かぬなら 信長転生記 70『卯盃の城門』

2022-04-26 10:41:13 | ノベル2

ら 信長転生記

70『卯盃の城門』市   

 

 

 サル(秀吉)に似ていると思った。

 

 見かけじゃないわよ、曹茶姫はわたしの次くらいの美人よ。

 もし、ミス転生コンテストとかがあったら、茶姫は間違いなくミス三国志。わたしはミス扶桑よ。

 そして、三国志・扶桑の決勝戦で、あの子は一票差ぐらいで準ミス転生。

「あなたもなかなかだったわ、もし、審査基準に権謀術数とかがあったら、わたしに勝ち目はなかったかも」

 と讃えてあげる。

 そうなのよ、豊盃で出会って以来、茶姫には意表を突かれてばかり。

 皆虎の街では南進すると見せかけて、まさかのUターン、閉ざされていた出征門を爆破すると同時に北進。

 一瞬騙されたと唇をかんだ。

 たった今まで、信長と、その妹のわたしを取り込んで……実は人質にして扶桑の国(転生の美称)を攻めるのかと思ったもの。

 悔しいけど、兄の信長はその反転を見抜いていて、出征門を出る時もニヤニヤして――オレと並ぶほどかも――とか思ってやがるのよ。

 このどんでん返しが、サルの中国大返しに似てると思う。

 ほら、兄貴の一生一代の大ポカ。本能寺で光秀にぶち殺されて、その知らせを受けたサルが、毛利と和睦して、たった三日で姫路に駆け戻って、山崎で光秀ぶちのめしたあれよ。あの決断力と敏捷さ。

 血の滲む唇をなだめながら、転生のみんなに見せびらかすように国境の森の前を西に進む茶姫軍。

 その中軍を近衛騎兵として疾駆するわたし。

 途中、丘の上に信信コンビと武蔵が望遠鏡でこっち見ているのに気付く。

 斥候なんだろうから、もっと身を隠しなさいよって思うんだけど、堂々と身を晒して、それがまたカッコいいからムカつく。

 痛っ!

 また唇を噛んでしまった。

 謙信なんか、馬の背中に立って双眼鏡構えて、あれって……大坂城落城の時の木村君のパクリじゃん。

 木村君、木村重成よ。大坂方随一のイケメン。

 最後の出撃じゃ、覚悟して兜に香を焚き締めて、討ち取られてからも家康に「天晴れなイケメン!」と惜しまれた木村君よ。

 

 わたしに尽くす男子は、みんな幸薄のイケメン。

 

 旦那の浅井長政、大野治長・治胤兄弟、無骨だけど柴田勝家、そして木村重成。

 木村君は、戦国時代のキムタクなのよ。そうよ、キムタクよ。

 平和が続いたら、朝廷に働きかけて内匠頭(たくみのかみ)に叙任させてあげるつもりだった。

 そしたら、名実ともにキムタクだもんね!

 馬の背中に乗って、燃える大坂城に手を合わせるって、とってもクールでしょ! 泣かせるでしょ!

 男って、ルックスだけじゃダメだと思う。

 悲劇的な局面でも、クールに振舞えてこその男子よ!

 一ノ谷の合戦で熊谷直実に首を盗られた平敦盛、最年少で赤穂浪士に加わった矢頭右衛門七、そして木村君。

 この三人は、日本史上の三大イケメンなのよ!

「オレなんか、馬の背に立って立小便してたぞ」

 兄貴が馬を寄せてきたかと思うと馬鹿を言う。

「うっさい!」

「サルは、馬の尻で逆立ちして笑わせてくれた」

「うっさいうっさい! あっち行け!」

「尖がってないで、あっちを見ろ。あれは卯盃(ぼうはい)の城門だ」

「ボウハイ?」

「卯の盃と書く。三国志、東の果てだ」

「あそこに入るの?」

「ああ、三国志と扶桑の境を一気に駆け抜けて、敵味方に存在感を誇示して……さて、茶姫は、この先をどうするつもりだぁ?」

「ちょっと、ニヤニヤしないでよね」

「見ろ、城門を」

「え……うさ耳!?」

 なんと、接近するにつれて、城門の屋根に大きなうさ耳が立ち上がってきた。

 

☆ 主な登場人物

 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生
 熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
 織田 市        信長の妹
 平手 美姫       信長のクラス担任
 武田 信玄       同級生
 上杉 謙信       同級生
 古田 織部       茶華道部の眼鏡っこ
 宮本 武蔵       孤高の剣聖
 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
 今川 義元       学院生徒会長 
 坂本 乙女       学園生徒会長 
 曹茶姫         魏の女将軍 部下(劉備忘録 検品長)弟(曹素)

 

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乙女先生とゆかいな人たち女神たち・29『デベソが丘の御宅皇子』

2022-04-26 06:20:59 | 青春高校

乙女先生とたち女神たち

29『デベソが丘の御宅皇子』

          

 

 技師の立川さんは驚いた。

 たったいま登ってきた階段の下、そこにあるベンチに、桜色のワンピースを着た長い髪の女性が座っていたからである。

 中庭の「デベソが丘」は、前身の府立高校を作るにあたって方墳を調査の後取り壊したのであるが、地元からも惜しむ声が強く、記念に1/4サイズのものを作り、記念碑のようにしたものである。

 文化財保護と第二次ベビーブームの新設高校建設の両方を迫られる大阪府としては、なんとかギリギリの妥協の産物であった。むろんお祀りや、神道の行事めいたことはいっさいやっていない。

 青春高校の前身のころは、生徒のいい遊び場であったが、怪我人がちょくちょく出るので、学校としては立ち入り禁止にしようとまで考えたが、生徒の方が自然と寄りつかなくなった。怪我だけではなく、ここに登ったカップルは別れてしまうというジンクスがたったからである。

 一応、中庭の掃除にあたった生徒が、ここも掃除することになっていたが、立川さんは、方墳の真ん中、ほんの一坪分に校内にあった石を貼り付けてフキイシとし、中央に大きなまな板ほどの石を置いて、見る者が見れば塚らしく見えるようにして、この一坪余りの掃除は自分で朝夕二回するようになった。

 朝は、ほんのひとつまみの塩を置き、白いおちょこに水を供え、軽く手を合わす。水は、そのあとすぐに塩にかけて、宗教じみた痕跡は残らないように気を付けている。
 
 今日も、その日課を果たすため、このデベソが丘に登って、儀式を終えたところである。

 それが振り返ってみると、今の今まで気づかなかった桃色のワンピースと目が合って、まるで悪戯を見つけられた子供のようにうろたえた。

「どうぞ、そのままで……」

 女性は、ほとんど声も出さず、口のかたちと仕草で、気持ちを伝えた。

「卒業生の方ですか?」
「いえ、こう見えましても保護者です」
「え……あ、お姉さんですか?」
「はい。近所なもので、ついでに寄らせていただきました。御宅皇子(おたくのみこ)のお墓守をしていただいてありがとうございます」
「さすが、ご近所。お若いのに、この塚の主をご存じなんですねえ」
「継体天皇の、六番目の皇子……ってことぐらいしか分かりませんが、昔から、この在所の鎮守さま同然でしたから。ひい婆ちゃんなんかは、毎朝、ここと鎮守様には手を合わせていました」

 そういうと、女性は、ささやかに三回手を打って、軽く頭を下げた。

「ご用はお済みですか。なんなら担任の先生に……」
「ええ、もう用事はすみました。あの子の元気な姿も見られましたし」
「妹さんには……」
「フフ、ほんの一睨みだけ。それでは、ごめんなさいませ」
「はい、あ、どうも……」

 立川技師は、年甲斐もなくときめいている自分を持て余し。腰にぶら下げたタオルで顔を一拭きした。

「……でも、どうして妹って分かったんだろう?」

 立川は、その子の顔まで分かったような気がした。顔も、性格もまるで違うのに……。

「ということで、来週月曜は、臨時の全校集会とし、駅までの清掃をいたしますので、ご協力お願いいたします。役割分担等は、レジメに記してありますのでよろしく。ま、細かいところは保健部出水先生に、よろしく」

 定例の職員会議で、生指部長を兼ねる首席の筋肉アスパラガス桑田が発言した。

 前回の生指部会は、官制研修で抜けていたので、乙女先生は知らなかった。近所で評判が悪いことを知っているのは自分ばかりではなかった。そういう安心感はあったが、せめて一言言えよなあ、と乙女先生は思った。

 職会で報告されるということは、運営委員会でも発議されているはずで、それ以前に部会にかけて……。

 そこまで思って、乙女先生は、自分の官僚主義的な考えに苦笑した。この半月は栞にまつわる事件……と言っても栞に落ち度はないんだけど、落ち着いた学校運営など出来ていなかった。これぐらいのフライングは良しとすべきであろう……と、乙女先生は思い直した。

 

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