大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・021『春高楼の花の宴』

2023-04-23 17:31:55 | 小説

(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

021『春高楼の花の宴』   

 

 

 身体測定の日は学食はお休み。

 

 お弁当ってほどじゃないけど、城山(宮之森城址公園)には売店も自販機も無いということなので、ちょっとお買い物。

 

 学校を出て道を渡ったところにお店がある。

 

 いちおう大手パンメーカーの看板は掛かってるんだけど、お店の中ではもんじゃやらお好み焼きとかも食べられて、子供向きの駄菓子とかも置いてる。

「あら、お花見? いいわねえ、オバチャンの時代は女子挺身隊だったからね、お花見どころじゃなかった」

 お店のオバチャンはリアル女子挺身隊(^_^;)

「五人分はかさばるから、紙袋あげるね」

 ひとり二個のパンと飲み物。一人分ずつを小袋に入れて、それをまとめて西武百貨店の袋に入れてくれる。

 この時代、レジ袋もコンビニも存在していない。

「なにシゲシゲ見てんの?」

 ジュースのパックを見ていると吉本さんに見咎められる。

わたし:「ああ、変わったパックだから」

吉本:「え、普通のテトラパックじゃないの?」

辻本:「給食の牛乳これだったね」

ロコ:「うちは、ビン牛乳だった」

吉本:「三年まで脱脂粉乳だった!」

横田:「あ、あれは飲めたもんじゃなかったよねぇ」

辻本:「アメリカじゃブタの餌だし」

ロコ:「ブーブー!」

吉本:「ブタはブヒブヒだぞ」

ロコ:「ブーブー!」

吉本:「ブヒブヒ!」

横田:「もう、食べ物屋さんでブタごっこはいけません」

みんな:「「「「「アハハハハハハハ」」」」」

 

 なんか、早くもみんなお友だちの雰囲気で城山を目指した。

 

吉本:「八重桜はゴージャスだねえ!」

 感嘆の声を上げたのは吉本さん。

 天守閣とか建物の無いお城って、どんなのかと思ったけど、苔むした石垣との対比がステキだ。

辻本:「来てよかった……」

横田:「そうね、荒城の月って、こんな感じよね」

ロコ:「あれって、夜の歌じゃないんですか?」

吉本:「ああ、月は夜だよね」

横田:「夜になるのは四番よ、一番は『春 高楼の花の宴~』よ。お城でやったお花見がテーマ」

辻本:「そうね、めぐる盃ぃ~かげさしてぇ~♪」

吉本:「よし、あたしらも盃にしよう!」

みんな:「「「「「おお!」」」」」

 高島屋の袋からパンと飲み物を出し、石垣の縁に立ってグビグビ、チビチビ。

ロコ:「メグさん、シミジミしてますねえ」

わたし:「え、あ、なんかモノノアワレ的なみたいな?」

横田:「あ、そうね。荒城の月って、昔を偲んでシミジミする歌なんだよね。時司さん、正しいわよ」

わたし:「いえいえ、そんなあ(^_^;)」

 

『荒城の月』知らないだけだしぃ(#^_^#)

 

吉本:「う~ん、写真撮りたいねえ」

辻本:「あ、そうね、青春の一コマ的かもね」

 うう……スマホあるから簡単に撮れるんだけど、出すわけにはいかない。

ロコ:「スケッチしましょうか?」

みんな:「「「「スケッチ?」」」」

ロコ:「あ、ほんのクロッキー的なもんです。期待されると困るんですけど(^o^;)」

みんな:「「「「やってやって!」」」」

 

 みんなで桜の木の下に立ち、つつましくポーズをとった。

 ロコは、自分の立ち位置とポーズを決めると一段高い石垣に上がり、器用に五分余りで書き上げた。

 今日は、一気に友だちが五人になった。

 めでたしめでたし。

 

☆彡 主な登場人物

  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 宮田 博子             1年5組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            1年5組 副委員長
  • 高峰 秀夫             1年5組 委員長
  • 吉本 佳奈子            1年5組 保健委員
  • 横田 真知子            1年5組 リベラル系女子
  • 加藤 高明             留年してる同級生
  • 藤田 勲              1年5組の担任
  • 先生たち              花園先生:4組担任 妹尾先生:グラマー
  • 須之内写真館            証明写真を撮ってもらった、優しいおねえさんのいる写真館

 

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RE・かの世界この世界:076『町長はあとまわし!』

2023-04-23 06:52:35 | 時かける少女

RE・

76『町長はあとまわし!』テル 

 

 

 

 戦隊物の女戦士のようになっていたタングリスだけがまともだった。

 
 ヒルデはドレスのスカートがズタボロで、なんだか腰蓑のようにバランバランになっている。

 ケイトは肩紐とブラのストラップが切れたので、弓を持った手で押さえている。

 ロキは何もしなかったはずなのに、シャツのボタンが三つもとれて、右袖が肩の所で千切れかけている。頭の上でポチがせわしなく回っているところをみると、興奮したポチを押さえ込もうとして、逃げ惑う人たちにもみくちゃにされたようだ。

 わたしは、ドレスの右袖がとれただけで比較的マシ……と思ったら、タングリスが後ろを指さす。

 え?

 後ろに手を回す……なんと、ドレスの後ろがきれいさっぱり無くなっていた(#^_^#)。

「これをどうぞ」「すみません(#^_^#)」

 無事だった女性がケープを掛けてくれたので、なんとか体裁を整えることができた。

 

「せ、石化した人たちをもどさなければ……」

 

 町長婦人は呟くのだけど、ショックで行動に移すことができずに石段に腰を下ろして俯いている。

 ゼイオン司祭……目で追ってみると、断末魔のメデューサに睨まれたのだろう、鬼の形相のまま石化している。

「手持ちの金の針で直そう」

「足りるかな……」

「足りなかったら、そのとき考えよう」

 タングリスの一言で、我々もやっと動き出す。

「……申し訳ありません、クリーチャーなど町の中では見たこともないもので……みなさんには、お世話になります」

 俯いたままの町長夫人が深々と頭を下げ、彼女の額はほとんど石段に接している。

「出来る限りの事はいたします」

「ありがとうございます……町のみなさんも手を貸して、石化した人たちを横たえて。倒れて壊れたら大変だから」

 ようやく顔を上げた夫人は人に支えられ、やっと指示を出した。

「わかりました」

 間近の町長さんに手を伸ばすと、夫人が遮った。

「町長は最後でかまいません。石化は若い人ほど進行が早いのです、長引くと金の針でも元に戻りませんから」

「わかりました、治療は若い人からだ!」

 タングリスが指示を出して作業が始まる。

 そして、117人目の石化を解いたところで金の針が無くなってしまった。

「どうしよう、まだ町長さんと司祭さんが……」

 

 わたしなら……大丈夫だ……

 

 絞り出すような声に振り返ると、ゼイオン司祭が、そこだけ解けた口で喋っている。

「これでも一級白魔導士だからね、ゆっくりだがオートリペアで回復する……町長は……この三日以内に解いてやらないと戻らなくなる」

「どうしよう……」

「ペギーに連絡してみよう……」

 スマホを出してペギーを呼び出す。

「あ……圏外だ」

「ここは、バラの力で魔よけをしている、スマホの電波は、ちょっと入りにくいんだ」

「あんまり喋ると、口の周りにヒビが入るわよ」

「すまんが、連れて行って治してやって……あ、ヒビが……」

 パリンと音がして司祭の口にひびが入った。

 
 我々は着替えを澄ますと、四号の砲塔に町長を括りつけて町を出発した……。

 

☆ ステータス

 HP:6000 MP:3000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・50 マップ:5 金の針:0 所持金:800ギル(リポ払い残高35000ギル)
 装備:剣士の装備レベル20(トールソード) 弓兵の装備レベル20(トールボウ)
 憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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