大橋むつおのブログ

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やくもあやかし物語・112『背中についてる』

2021-11-27 15:16:44 | ライトノベルセレクト

やく物語・112

『背中についてる』   

 

 

「何かついてるわよ……」

「背中に……」

 

 ゼーゼー言いながら家に帰ると、コタツで寛ぎまくりのチカコと御息所が揃って指をさす。

「え、なによ、背中って……?」

「これ……よっ!」

 ペリ

 二人でジャンプして取ってくれたのは半分破れた紙切れだ。

「ううん……字がむつかしい」

 草書って言うんだろうか、ずっと昔の崩した字なので、ちょっと読めない。

「ちょっと、これは……」

「ヤバきものね……」

「エンガチョよ!」

「こころえた!」

「エンガチョ!」

「切った!」

 チカコが両手で作った輪っかを、御息所が手刀で切った……て、穢れを払うお呪いしてんじゃないわよ!

「こんなもの、どこで張り付けられたの!?」

 迫力のあるジト目でチカコが詰問。

「え…………あ、あのとき!?」

 坂を下って来るダンプを物の怪と間違って、いや、わざと間違えて……八房のやつ!

 親切に後ろを支えてくれたと思ったら!

「里見一族のやりそうなことね、正義の味方って、そーゆーことやるのよ(*≧0≦*)」

「え、あ、で……なんて書いてあるの?」

「「第一の怨敵は○○○……」」

「え、なに、その○○○は?」

「口にしたらエンガチョぐらいじゃ済まなくなる」

「口にしただけで祟られるわよ」

「でも、言ってくれなきゃ分からないじゃない!」

「それもそう……どうするチカコ?」

「やくもに字を思い出してもらおう」

「あ、そうね」

「やくも、うちみたいに二階の無い家ってなんていう?」

「一階建て?」

「別の言い方」

「平屋?」

「あ、その上の字」

「『平』?」

「「うんうん」」

「藤井聡太くんが、三冠をとったのは?」

「ふじいそうた?」

「これよこれ」

 チカコと御息所が向き合って座って、ペシペシ……あ!

「将棋!」

「ええ、それも上の字を憶えてね」

「次、いくよ」

「笑う門には福来る……」

「……の、門」

「さあ、三つ揃えて書いてみて」

「平……将……門……あ!?」

 平将門(たいらのまさかど)だ!

 正解を思いついて口にすると、二人ともコタツに頭を突っ込んでいた。

 

 え……ちょ、平将門をやっつけろって言うの!?

 

☆ 主な登場人物

  • やくも       一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
  • お母さん      やくもとは血の繋がりは無い 陽子
  • お爺ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
  • お婆ちゃん     やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
  • 教頭先生
  • 小出先生      図書部の先生
  • 杉野君        図書委員仲間 やくものことが好き
  • 小桜さん       図書委員仲間
  • あやかしたち    交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所 里見八犬伝

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