あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(後編)・愛媛その14

2006-12-14 21:27:58 | 初めての四国遍路
 第9日 2004年11月21日(日) 快晴後晴
 =古くからの街道をたどる=
 
 5時50分起床、6時10分部屋で朝食。宿帳の記入もなく、「早朝
は不在なので通用口から出て下さい」と昨日言われていたので、
キイをカウンターに置いて7時4分に西条グランドホテルを出る。

 国道11号を1㎞足らずでY字路を右へ、長屋敷集落に入る。
電源開発の変電所の先で室川を渡った。新しい大師堂のところに
六地蔵が並び、「六地蔵の接待跡」の標識が立っていたが、その
由緒は書いてなかった。

 国道11号に戻ると、上下各2車線で歩道も広くなっていたが、
それも伊予西条IC付近だけ、渦井川の橋の手前で上下1車線に
なった。間もなく新居浜市入り、喜来のY字路の「旧街道」の表示
に従い国道の南側に平行する旧道へ。

 岸の下集落で、前方から車で来た奥様からミカンを2つお接待
いただいた。萩生に入ると、街道の南側にあるお寺の塔の壁面に
目が描かれた変わった建物が見える。


 東川の手前に、「お遍路さん御休み所萩生庵」があった。民家
のガレージを接待所にしたもの。休ませてもらい用意してあった
ポットのお茶をいただき、置いたあったノートに記帳する。

 ノートによればこの庵は、高橋さんご夫妻が最近始められたもの。
写真を撮って出ようとしたら、奥様が出てこられた。

 気品あるお顔だちの方、お話ししたかったが、お出かけのため
呼んだタクシーが来ていたので、写真を撮らせてもらい失礼した。

 少し先の中萩小で、地区文化祭が始まろうとしており、周辺の
人たちが続々と集まってくる。さらに進んだ上部乳児保育園の
一角には、「旧国鉄第4代総裁十河信二出生地」の碑が立って
いた。


 宮原町のスーパーバリューで、トイレを借り昼食を買う。いつもの
コンビニ弁当と違う品があった。その先の喜光地商店街は、この
程度の町並みとしては珍しいアーケードになっており、中間の広場
で野菜などの青空市を開いていた。

 山下さんに寄るよう勧められた遍路用品の泰峰堂を探したら、
国領大橋の手前を南に入ったところにあった。しかし日曜日なの
で休業のため入れなかった。

 国領の町中で奥様から、「ジュースでも買って」と200円のお接待
をいただいた。客谷大橋北交差点の先からは、車の交通量が減っ
てひと安心。雲が次第に増え、風がちょっと冷たくなった。


 池田で声をかけてきた奥様は、息子さんが、わが所沢市の南、
東村山市に住み、大卒後、自転車で四国遍路をしたら良い会社
に就職できたと喜んでいた。

 この辺りは、きれいに仕立てた松が何本かある立派な家が多い。

 少しずつ上りとなり、新居浜ゴルフ場の横から松山自動車道の
側道に上がった。振り返ると新居浜市街の展望がよい。


 この先も、過日の台風被害による土石流の爪跡が何か所か見
られた。

 側道を1.5㎞ほどで下りとなる。捨て犬らしい3匹の子犬がつい
てきた。困ったな思ったが、300mほどであきらめてくれた。

 泉集落には、コンクリート製の水おけが何か所か見られ、きれ
いな水があふれ出ている。地名どおり、どこからかわき出る泉の
水を配水しているのだろうか。


 関川小の校門が開いていて、そばに石のベンチといすがあった
ので、無断で入り昼食をさせてもらう。横の桜は90年を越えている
と記され、見事な枝振りだ。

 歩き出して間もなく、自販機で飲物を買っていた男性の横を通
ったら、「何か飲物を買ったら」と、120円のお接待。今日は3人
もの方からお接待をいただいた。



 木の川集落にも土石流の跡が残っており、新居浜市周辺の災害
が大きかったことがうかがえる。

 国道11号とJR予讃線の北に回る。浦山川の常盤橋からは、
南側に重畳たる山並みが望まれ、一番奥が石鎚山かと思われた。


 再びJR線路と国道との間に入る。間もなく別格12番霊場延命
寺があったので参拝、読経する。新しい大師堂の堂内を反対側に
回ると、売店と納経所になっていた。

 延命寺はイザリ松千枚通本坊と呼ばれ、弘法大師ご巡錫の際、
1人の病難者が松のほとりにいたのをあわれみ、千枚通し霊符
を創設され一枚を授けたところ霊験により全快したという。


 道路の東にあったイザリ松と呼ぶ巨木は枯れ、太い根と幹の
一部が屋根をかけて保存されていた。

 近くの山内病院には、「俳人小林一茶宿泊 島屋跡」の石標が
立っていた。小林集落の民家の間から濃紺の瀬戸内海が見え、
小林東まで進むと、さらに展望が広がる。

 国道11号の南に出て、村山神社に寄る。延喜式内社で祭神は
斉明天皇と天智天皇とのこと。

 桜の葉の色づく境内に、旧土居町記念物の「村山神社のホルト」と
いう常緑樹の古木があるが、台風被害で幹の途中から折れていた。


 今日から四国中央市の市議選が始まったようで、選挙カーのスピ
ーカーがあちこちで聞こえる。この旧道にも山本○○候補の車が
入り、南側の通りとの間を行き来して4、5回抜かれる。あまりにも
音量が高いので3回目に抜かれたとき耳を押さえたら、次の時は
私の前後だけ声を止めて通過した。

 大地川の先の長田辺りも、きれいに仕立てた松を庭に植えた
平屋の民家が多い。天王集落に入ると、伊予三島の中心街や大王
製紙の煙突が見えてきた。かなり疲労がつのり足取りが遅くなる。

 正之森には、「森之翠」という銘酒の造り酒屋があった。伊予
三島駅前通りの旅館つるやに17時3分に着く。洗濯をして入浴する。

 日曜日のため板前さんが休みで食事はない。近くの中華料理店
で、ささやかな夕食をした。

〈コースタイム〉西条グランドホテル7:04ー西条IC入口7:52ー新居浜
市入り8:00ー萩生庵8:44~57ースーパー・バリュー9:28~35ー国領
大橋10:09ー新居浜ゴルフ場横11:02~17ー関川小(昼食)12:21~49
ー木ノ川の火の見13:11ー別格霊場12番延命寺13:37~14:00ー村山
神社14:46~58ー豊岡橋15:31ー大町集会所上15:42ー西浜16:00~05
ー寒川小16:19ー下具定の火の見16:39ー旅館つるや17:03

(距離 33㎞、歩行地 西条市、新居浜市、四国中央市、地図 
 西条、新居浜、伊予三島、歩数 58,000)
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