あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ある記(後編)・香川その2

2006-12-20 21:10:04 | 初めての四国遍路
 3日間休みましたが、一昨年の四国遍路レポートを続けます。

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 第12日 2004年11月24日(水) 晴
 <70番本山寺~75番善通寺>
 =お大師様誕生の地へ=
 
 5時50分起床、6時35分朝食。7時13分に若松屋別館を出て、
新琴弾橋の手前から財田川左岸堤防を東に向かう。対岸の道は
朝の出勤時で車が多いが、こちらは少なくて歩きやすい。


 北側の七宝山には日が差し込んできたが川沿いはまだ。今朝も
冷えて寒い。4つの橋を通過し、JR予讃線の下をくぐり、次の橋を
渡った突き当たりが、70番本山寺(もとやまじ)。門前に托鉢僧が
立っていた。

 広い境内には、国宝の本堂、四国では珍しいという五重塔など
がバランスよく配置されている。

 大師堂へは靴を脱いで上がり読経、お堂の背後に弘法大師修行
の岩屋があり、納経所も大師堂内。透かし彫りの重厚な木彫が
すばらしい。托鉢僧に100円托鉢して寺を出た。

 本山甲の町並みを抜け、国道11号に出ると車が多い。1㎞ほど
先で右側に旧道があったので入った。1㎞ほどの間で車は1台も
通らず、「四国のみち」にもなっており、こちらを通るのが正解だ。

 国道に戻り、間もなく西側の池の横に下り、1.5㎞ほど加茂の
町並みを進む。京都の女性もすぐ後に見えた。

 JR高瀬駅前通りの先で国道に出て、コンビニ、ポプラで昼食を
調達する。

 西側の県道221号に戻ると、すぐ先に京都の女性がいたので
追いつく。今日もうららかな小春日和、田園や古い民家の間の
気持ちよいへんろ道である。大屋敷集落を過ぎると上り道となり、
大門を過ぎて傾斜が強まる。

 弥谷山の山腹にある71番弥谷寺(いやだにじ)は、山門を入っ
て桜や杉、モミジなどの間を縫って、530段の石段を上がって
行く。予想外の上りで汗が出る。

 山門から最上部の本堂まで13分かかった。本堂からは南方の
眺めがよい。途中まで下りて大師堂に参拝する。

 山門の下に俳句茶屋という古い茶店がある。ショウガ湯のお
接待を受けたので草餅も食べる。名前の通り、茶屋の障子には
たくさんの句が墨書されていた。

 茶屋の少し先から南東へのへんろ道に入る。広葉樹林から竹
林へトラバース、さらに混交林を下って小さい池のほとりに出た。
南側に回って木の下にシートを広げて昼食にする。

 後からの善通寺宿坊での夕食時、誰かに、『あそこには「まむし
注意」の表示があったよ』と聞いたが、その時は気づかなかった。

 高松自動車道をくぐり、側道を少しで大池ともう一つの池の間を
進む。国道11号に出て東へ。県道48号に入り、三井之江バス
停横のへんろ道を進んで、72番曼陀羅寺に着いた。

 山門を入ったところに、昔の本堂に上がっていたという大きな
鬼瓦がある。本堂の前には、西行大師が昼寝したと伝えられる
昼寝石があるが、気づく人は少なそう。境内の桜が色づいている。


 ミカン畑の横を南に上がれば73番出釈迦寺(しゅっしゃかじ)
は近い。そう広くない境内に本堂と大師堂が並ぶ。

 納経所にザックを預け、奥の院に上がることにした。民宿岡田
で同宿だった京都の若人も、上がってきたとのことで行き違う。

 新しい奉燈石が並び、アジサイや丁石の間の簡易舗装の急坂
を上がる。弘法大師お加持水・柳の水があったので飲み、さらに
急坂を進むと出釈迦寺禅桜と呼ぶ、ここだけの八重の山桜が
あった。

 次第に広がる讃岐平野の展望を振り返りつつ上がる。西行法師
腰掛石を過ぎ、本堂の横から30分あまりで奥の院、拾身ヶ嶽禅定
(しゃしんがたけぜんじょう)に着いた。

 我排師山(481m)の鞍部にあり、讃岐平野や南側の山並みの
展望が絶景。

 弘法大師はここで、虚空蔵菩薩のご真言を百万回唱える求聞
持法を修めたという。

 200m奥には、弘法大師が7歳の時に我が身の価値を問い
かけて身を投げたが、天女に抱き留められたという断崖の行場
があるようだが、上り口が分からず行けなかった。20分あまり
で納経所まで戻り出釈迦寺を出る。

 曼陀羅寺の横を通り東へ。弘階池の北を回る。風もなく穏や
かな一日が暮れようとしており、自分の影が長く前方に伸びて
きた。

 甲山(87m)の東に回り、川沿いの74番甲山寺(こうやまじ)
に入る。山門の両側に白壁土蔵が続いている。境内はあまり
広くなくそぼくな寺だ。


 納経を終えたら、60番横峰寺で一緒になった東京のTさんが
着き、ミカンを2つもらう。

 先に出て南方に進み、16時40分、弘法大師誕生の地、75番
善通寺に着いた。

 道を挟んだ東西に老松が目につく広い境内。参拝は明日にして、
ちょうど到着した京都の若人、Hさんと宿坊に入る。今日の宿は
善通寺宿坊である。

 建物は大きく、部屋も8畳ある。温泉の大浴場で汗を流し、4台
ずつある無料の洗濯機、乾燥機を使わせてもらう。廊下やトイレ
は、人が近づくと照明がつくという省エネ設備になっている。

 民宿岡田に同宿した7人中の6人がまた揃った。京都のHさん
のほか、愛知のUさん、広島のHさん、東京のKさん、京都のIさん、
それに私である。

 17時半からの夕食をおいしくいただいた後も、19時近くまで話
がはずみ、広島のHさん以外の5人が、もう1泊して金比羅さんと
満濃池に行こうということになり、明朝、連泊をお願いすることに
した。暖房もよく利き、ふとんもきれいでよい宿坊である。

〈コースタイム〉若松屋別館7:13ー70番本山寺8:12~39ー高津
神社9:46ーコンビニ・ポプラ10:20~26ー71番弥谷寺11:16~12:02
ー俳句茶屋12:02~15ー高松自動車道北の池(昼食)12:31~50ー
72番曼陀羅寺13:22~ー73番出釈迦寺13:53~14:08ー奥の院拾
身ヶ嶽禅定14:40~55ー出釈迦寺戻り15:17~22ー74番甲山寺
15:58~16:18ー75番善通寺16:40ー善通寺宿坊16:45

(距離 28㎞、歩行地 観音寺市、豊中町、三野町、善通寺市、
 地図(1/5万) 観音寺、仁尾、丸亀、歩数 47,900)
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