あのコルトを狙え

TOKYO2020 子供たちに負債を(笑)

虚脱

2006-09-20 13:39:28 | 60年代
18日22時、NHKラジオドラマの終わりと共にコルト1100は自宅に戻った。
イグニッションキーをOFFに戻し酷使したエンジンを止め車外に出ると
静まり返った住宅街は秋の夜を感じさせる湿った空気と虫の声に包まれていた。
 
下部がすっかり泥だらけになったコルトを見ながら私は虚脱感に襲われ立ち尽くしていた

カキン!

と、エンジンが冷やされ音を立てる。

なんだろうこの気持ち

  考えていた

私は今日、何をしにたてもの園に行ってきたのだろう?

普段は車で乗り入れが出来ない園内で建物の前に旧式の車を置いて雰囲気のある
写真を撮る
数は多くないが今では見掛けない車を見られる

そんな思いだった筈だ・・・


二日目は雨の為、殆ど来園者がおらず前日は盛況だった人力車も
客待ち状態になるほどだった

「たてものとのりもの」のメインでもあるボンネットバスの体験乗車も活況とはいえない様子

それが昼過ぎに雨があがり陽が出てくると来園者が増え始めた。
私の役目は本来「車を園内に展示(置いておく)」する事だ
人を乗せるのが好きな性分なので希望者がいれば乗ってもらいボンネットバスの前後を
走る事も担当者から承諾を得ていたが、それほど多くもないだろうと思っていた。

懐かしのボンネットバスの他にオート三輪やミゼット、k360、B360、といった面々の中にいればコルト1100は「未来からの新型車」に見えてしまう程だ。
それは言い過ぎとしてもコルトが普通の車に見える。(途中からヨタハチも登場)

14時になってまにまにカレチさんのマツダB360とコルトでバスの前を走ろう、という事になった。
初便は手の空いているボランティアの方を乗せての走行だったが、その走行風景を見た来園者から
『これも乗れるんですか?(驚!)』と声を掛けられ始めた。

本来はボンネットバスと一緒に走行する予定だったがコルトだけでも単独で走ったりしていろんな人を載せた。去年お会いした「ぶい」さんご一家、カップル数組、親子数組、共同通信の名カメラマン、騒がしい小学生女子4人組、栗原画伯とご親戚など

私には普通に足代わりに使っている車に載って頂いただけで皆さん喜んでくれた。

園内一週し帰ってくると「乗せてくだしゃい」と子供さんから頼まれる。
ちょっと疲れてきたので(何しろ『事故を起こしたら関係者に迷惑が掛かり大変』と普段以上に緊張してしまう)次こそ休憩と思っても更に・・・

やっと途切れたのでタバコを吸いに行くとノロさんがいた。
彩雲「疲れても小さい子供さんから頼まれたら断れないですよね(苦笑)」

ノロさん『日常生活で(人から)ここまで喜ばれる事ってないですよね』

この言葉を聞いてハッとした。
今、車で一緒になった方々は殆ど知らない人達
人同士の繋がりが希薄になった世の中で短い時間とはいえ楽しんでもらいながら過ごす。

そんな事、普通では有り得ない・・・

私は今まで正月になると開かれる旧車イベントに10年間参加してきた。
当初はインターネットも今ほど普及しておらず情報交換や部品探しの場として
それなりに楽しんできたが参加費¥13,000を支払う事に疑問を生じ今年から止めてしまった。参加しても何がある訳でもない。

それに対しこのイベントは無料で参加出来、多くの人に喜んでもらえる
台数が少ないので車種やメーカーが違えど各車オーナーさんと交流も出来る

決定的な違いは入場者。

旧車イベントの場合は「旧車が好きな人」
たてもの園の場合は「普通の人々」
当初は置いてあったコルトが走っているだけで驚く
旧車イベントなら当たり前な横浜から自走してきたり、足代わりに使っている事にも驚かれる

私は単純なのでそんな反応が楽しい

子供にとっては遊園地の乗り物と同じような感覚があるのだろうが
ある親子から降車の際に
子供『ありがとうございましたぁ~』
父親「子供がこの車が一番カッコイイと言うものですから・・・」
とそんな事を言ってくれる親子もいた。


穏やかな秋の日の夕暮れが迫り「たてものとのりもの」は終了し
三輪車を並べて記念写真となった。

ひとつのイベントに僅かだが手伝いが出来、無事に終わらせる事が出来た満足感を得ながらオート三輪の荷台に乗り写真機のシャッターが降りた。

あまりに楽しい出来事があると反動で終わった後に虚脱感にさいなまれる。
(まぁ、『タクシーごっこ』で走り廻って本人が一番喜び遊んでいただけだが…

明日の休日は天気が良ければ普段より丹念に洗車と清掃、点検をして『祭りの跡』を流す。
そしてまた次回の「たてもの園」から声が掛かるのを楽しみに仕事も趣味も大切にしていきたい。

(とりあえず)おしまい

コメント (5)
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