ブルートレイン富士号で最後の旅
今度の旅でそれにもっとも力を入れていた事。
客車列車の富士号には座席テーブル下に
『栓抜』が備わっている。
缶製品主流の前はビールは瓶(びん)でジュースも瓶だった時代の名残だ。
平成21年
どれだけの人があの栓抜きを使う事があるのだろう。
みんなには言ってなかったが今回の旅で一番の目的は
あの栓抜きを使いたい!
列車の中で瓶ビールを飲みたい!
昭和の列車には瓶でしょう!ねぇ奥さん!!
『それなら乗る前に瓶ビールを買って使えばいいじゃん』
ただ買っただけじゃ車内に入る頃ぬるくなってしまうのだよ・・
乗車3日前・・・会社帰りに当日と同じ職場からJR線のルートを使い帰る。
職場の駅前の酒屋でここで瓶ビールを買おうと思い尋ねるとバラ売りはしていない。
やはり自宅から持ってくるしかない。
しかしそれでは車内に持ち込むまでにぬるくなってしまう。
前回は缶ビールを半分凍らせたらうまくいった。
だが今度はガラスで出来た「ビン」だ!
時間を間違えたりしたら確実に割れてしまうだろう。
それに自宅以外のどこで凍らすというのだ。
やはり缶ビールしかないのか・・・
旅行が決まってから一ヶ月
私は常にその事を考えていた。
ホテルの玄関に立ちお客さんが途切れた時に頭の中は
『ビールどうやって冷やそうか・・・』
そればかり考えていた。
「元気ないですね」
同僚からそう聞かれる事もあった。
とても本当の事は言えない(汗
冷えてない生温いビールを持ち込んでよいのか。
そうだ、職場の「冷凍庫」がある
あの冷凍庫なら使える!
しかし、もしも自分のビールが破裂してお客様の荷物をぬらしてしまったら?
「こんな事もあろうかと」で、ビニールに入れておけばよいのだ!
そして富士に乗車中に冷たいビールが欲しくなった時の為に
缶ビール(350ml)も凍らせておこう。
2日前の休日に近所のスーパーで瓶のキリンクラッシックラガーを購入。
少し離れた場所まで瓶のオレンジジュースを買いに走る。
更に車内でのおつまみも買っておく。
何しろ仕事が終わってから乗車まで時間が無いのだから・・・
尚、缶ビールはスーパーで買おうと思ったが
ちょっと離れた「売れていない個人経営の酒屋さん」で購入
(6本買ったら店のおばさんは嬉しそうでした♪)
だが本当に破裂したらどうする?
完全に凍らせてはならないのだ!
前回は缶ビールを凍らせたのは6時間だ。
「缶」でその位だ。
しかし、あの時の家庭用冷凍庫と職場のでは違う。
自分が退社する時間は17時...
『人生でもっとも貴重な瞬間
それは決断の時である』
どこかのアニメで聞いたようなフレーズが浮かぶ。
♪泣くも笑うも決断ひとつ!
結論
「瓶ビールは出発4時間前に冷凍庫
缶ビールは6時間前!」
私はそのように決断を下した。
真剣に考えるその姿は傍から見れば仕事に悩むドアマンに
見えたかもしれない。
だがその正体は
「夜行列車で今時瓶ビールを持ち込む事」に全力を挙げている
ダメ人間。
しかも『誰も頼んでないのに』・・・だ
そして私の前に更なる壁が立ちはだかった。
ビールにはKFC!
ビールにはケンタッキーのフライドチキンがあう。
10年以上前に高校時代からの友達と二人で初のブルートレインに乗った際
持ち込んだのがフライドチキンだった。
当時「はやぶさ」にはロビーカーが連結されていた。
これまた東京駅で探して買い込んだらビールにあうんだこれが!
『あの時のケンタはうまかったね』
今でも逢って話すとあの時のケンタを思い出す。
あいつと乗ったブルートレイン。
楽しかったな
なのでケンタッキーフライドチキンは欠かせない。
しかし17時に退社し着替えたりビールを出したりしていると
KFCのお店がある会社近くの駅から経由すると横浜駅18:28発の
富士には間に合わない可能性がある。
(本来は16:30が退社時刻なのだがサービス残業でして・・・)
チキンを捨てれば余裕で到着出来るのだが・・・
その日の当直担当者に
「悪いけど16:45にあがらせて」
と頼んでおく。
大瓶二本と350ml×6本、オレンジジュース等が
入ったカバンの重さと来たら・・・
その為に2日前に車で出勤し前もって旅行カバンを会社の倉庫に寝かしておく
全ては
「客車の中で冷たい瓶ビールを飲む為に!」
ふと思う・・・
俺は何をやっているんだ・・・
なんとかに付ける薬無し、という奴だ
そんなこんなで迎えた2月5日
横浜駅から無事に富士に乗りました。
席は全席満席だそうで4人で一ブロック取れた事に感謝です。
発売一ヶ月前に予約したら当初は4人とも上段でバラバラでした(笑)
ドスン!
と客車列車特有の発車ショックを味わう。
最後尾(12号車)なのでショックも大きいそうな。
『さぁ乾杯だ!』
安全体操さんが買ってきた缶ビールを取り出す。
「ちょっと待って!乾杯用には是非これを・・・」
カバンの中から重たいキリンクラッシクラガーの瓶ビールを取り出す。
この姿を見たいが為に一ヶ月前から・・・
痛い人ですな(笑)
栓抜きはこんな感じで使います。
(私達のボックスには先に載せた説明板がありませんでした)
この栓抜きも久しぶりに使われる事を喜んでいる事でしょう。
(勝手な妄想)
プラスチックのコップに注ぎ飲んだら適度な
冷え方でした♪
通路やホームを通り掛かる人達の中には
「なんで瓶?」
というような目で見ていく方や微笑んで行く方もおられました。
(それが嬉しいんだけど)
(↑さまひさん撮影。琥珀色と夜のホームが夜汽車の雰囲気を醸し出す)
そして、もう一つ・・・
ブルートレインブームの頃に
お年玉で買った「特急図鑑」には
東京から西鹿児島駅までの富士の様子が書かれていた。
実際には乗れないけど何度もあのページを読んだものだ。
そして乗る事があったらあの図鑑を持って乗り込みたい。
あの頃にはそんな夢があった。
図鑑は押入れの上の天袋の更に奥にしまい込み
長年読んでいなかった。
あの時に夢を叶える最後のチャンス
取り出すのはかなりの労力を要したが脚立を使い探し出した。
久しぶりに対面した図鑑を少し開くと
小学生の級友の顔が浮かんだ
その場では全て読まずに富士の車内で開いた
いつか乗る機会があったら
この本を持って乗る!
そう思い描いてから何年が経ってしまったのだろう
夜汽車の窓ガラスには
純真だった子供ではなく
肝心な所が子供のままで大人になりきれない
自分が写っていた。
今度の旅でそれにもっとも力を入れていた事。
客車列車の富士号には座席テーブル下に
『栓抜』が備わっている。
缶製品主流の前はビールは瓶(びん)でジュースも瓶だった時代の名残だ。
平成21年
どれだけの人があの栓抜きを使う事があるのだろう。
みんなには言ってなかったが今回の旅で一番の目的は
あの栓抜きを使いたい!
列車の中で瓶ビールを飲みたい!
昭和の列車には瓶でしょう!ねぇ奥さん!!
『それなら乗る前に瓶ビールを買って使えばいいじゃん』
ただ買っただけじゃ車内に入る頃ぬるくなってしまうのだよ・・
乗車3日前・・・会社帰りに当日と同じ職場からJR線のルートを使い帰る。
職場の駅前の酒屋でここで瓶ビールを買おうと思い尋ねるとバラ売りはしていない。
やはり自宅から持ってくるしかない。
しかしそれでは車内に持ち込むまでにぬるくなってしまう。
前回は缶ビールを半分凍らせたらうまくいった。
だが今度はガラスで出来た「ビン」だ!
時間を間違えたりしたら確実に割れてしまうだろう。
それに自宅以外のどこで凍らすというのだ。
やはり缶ビールしかないのか・・・
旅行が決まってから一ヶ月
私は常にその事を考えていた。
ホテルの玄関に立ちお客さんが途切れた時に頭の中は
『ビールどうやって冷やそうか・・・』
そればかり考えていた。
「元気ないですね」
同僚からそう聞かれる事もあった。
とても本当の事は言えない(汗
冷えてない生温いビールを持ち込んでよいのか。
そうだ、職場の「冷凍庫」がある
あの冷凍庫なら使える!
しかし、もしも自分のビールが破裂してお客様の荷物をぬらしてしまったら?
「こんな事もあろうかと」で、ビニールに入れておけばよいのだ!
そして富士に乗車中に冷たいビールが欲しくなった時の為に
缶ビール(350ml)も凍らせておこう。
2日前の休日に近所のスーパーで瓶のキリンクラッシックラガーを購入。
少し離れた場所まで瓶のオレンジジュースを買いに走る。
更に車内でのおつまみも買っておく。
何しろ仕事が終わってから乗車まで時間が無いのだから・・・
尚、缶ビールはスーパーで買おうと思ったが
ちょっと離れた「売れていない個人経営の酒屋さん」で購入
(6本買ったら店のおばさんは嬉しそうでした♪)
だが本当に破裂したらどうする?
完全に凍らせてはならないのだ!
前回は缶ビールを凍らせたのは6時間だ。
「缶」でその位だ。
しかし、あの時の家庭用冷凍庫と職場のでは違う。
自分が退社する時間は17時...
『人生でもっとも貴重な瞬間
それは決断の時である』
どこかのアニメで聞いたようなフレーズが浮かぶ。
♪泣くも笑うも決断ひとつ!
結論
「瓶ビールは出発4時間前に冷凍庫
缶ビールは6時間前!」
私はそのように決断を下した。
真剣に考えるその姿は傍から見れば仕事に悩むドアマンに
見えたかもしれない。
だがその正体は
「夜行列車で今時瓶ビールを持ち込む事」に全力を挙げている
ダメ人間。
しかも『誰も頼んでないのに』・・・だ
そして私の前に更なる壁が立ちはだかった。
ビールにはKFC!
ビールにはケンタッキーのフライドチキンがあう。
10年以上前に高校時代からの友達と二人で初のブルートレインに乗った際
持ち込んだのがフライドチキンだった。
当時「はやぶさ」にはロビーカーが連結されていた。
これまた東京駅で探して買い込んだらビールにあうんだこれが!
『あの時のケンタはうまかったね』
今でも逢って話すとあの時のケンタを思い出す。
あいつと乗ったブルートレイン。
楽しかったな
なのでケンタッキーフライドチキンは欠かせない。
しかし17時に退社し着替えたりビールを出したりしていると
KFCのお店がある会社近くの駅から経由すると横浜駅18:28発の
富士には間に合わない可能性がある。
(本来は16:30が退社時刻なのだがサービス残業でして・・・)
チキンを捨てれば余裕で到着出来るのだが・・・
その日の当直担当者に
「悪いけど16:45にあがらせて」
と頼んでおく。
大瓶二本と350ml×6本、オレンジジュース等が
入ったカバンの重さと来たら・・・
その為に2日前に車で出勤し前もって旅行カバンを会社の倉庫に寝かしておく
全ては
「客車の中で冷たい瓶ビールを飲む為に!」
ふと思う・・・
俺は何をやっているんだ・・・
なんとかに付ける薬無し、という奴だ
そんなこんなで迎えた2月5日
横浜駅から無事に富士に乗りました。
席は全席満席だそうで4人で一ブロック取れた事に感謝です。
発売一ヶ月前に予約したら当初は4人とも上段でバラバラでした(笑)
ドスン!
と客車列車特有の発車ショックを味わう。
最後尾(12号車)なのでショックも大きいそうな。
『さぁ乾杯だ!』
安全体操さんが買ってきた缶ビールを取り出す。
「ちょっと待って!乾杯用には是非これを・・・」
カバンの中から重たいキリンクラッシクラガーの瓶ビールを取り出す。
この姿を見たいが為に一ヶ月前から・・・
痛い人ですな(笑)
栓抜きはこんな感じで使います。
(私達のボックスには先に載せた説明板がありませんでした)
この栓抜きも久しぶりに使われる事を喜んでいる事でしょう。
(勝手な妄想)
プラスチックのコップに注ぎ飲んだら適度な
冷え方でした♪
通路やホームを通り掛かる人達の中には
「なんで瓶?」
というような目で見ていく方や微笑んで行く方もおられました。
(それが嬉しいんだけど)
(↑さまひさん撮影。琥珀色と夜のホームが夜汽車の雰囲気を醸し出す)
そして、もう一つ・・・
ブルートレインブームの頃に
お年玉で買った「特急図鑑」には
東京から西鹿児島駅までの富士の様子が書かれていた。
実際には乗れないけど何度もあのページを読んだものだ。
そして乗る事があったらあの図鑑を持って乗り込みたい。
あの頃にはそんな夢があった。
図鑑は押入れの上の天袋の更に奥にしまい込み
長年読んでいなかった。
あの時に夢を叶える最後のチャンス
取り出すのはかなりの労力を要したが脚立を使い探し出した。
久しぶりに対面した図鑑を少し開くと
小学生の級友の顔が浮かんだ
その場では全て読まずに富士の車内で開いた
いつか乗る機会があったら
この本を持って乗る!
そう思い描いてから何年が経ってしまったのだろう
夜汽車の窓ガラスには
純真だった子供ではなく
肝心な所が子供のままで大人になりきれない
自分が写っていた。