雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

読書案内「海は見えるか」 真山 仁著 ④ 白球を追って

2018-09-16 07:03:32 | 読書案内

読書案内「海は見えるか」真山仁著
   ④ 白球を追って 

    
 本気で自分の夢を実現したいなら、時に非難されても前に進まなければならないんです。
                            (白球を追って より)

  津波が奪ったものは、家や職場だけではない。
 たいせつな人を喪い、途方にくれながらも 、

   時間が過ぎれば、人は時間の経過の中で日常を取り戻し、
 明日へ向かって新しい一歩を踏み出そうとする。
 新しい職場を求め、住み慣れた故郷を去って行く者、残る者 。
 被災者それぞれが抱えた問題を解決するために、
 時によっては辛い決断をしなければならない。

 小野寺が関わる地元少年野球チーム「遠間アローズ」は、
 優勝経験を持つほどの実力を持っている。 
 年子の兄弟栗田克也と栗田豊はどちらも体格に恵まれ、チームの最有力選手だ。
 兄はチームのキャプテンでホームランバッター。
 弟は小5ながら他校からも注目されるエースだ。
 
 夏休みまで残り一週間を切ったある日、小野寺は兄弟の母親から、
 父親の仕事
の関係で大阪に引っ越しすることになった旨を告げられる。

 優勝候補とは言え、メンバーは大会出場資格ギリギリの11人しかいない。
 同然、栗田兄弟が抜ければ、優勝どころか大会出場もで危うくなってしまう。 
 チームの存続も大切だが、小野寺は兄弟の気持ちを第一に考えたいと思う。

 親の気持ちはわかった。
 だが栗田兄弟の気持はどうなのか。
 チーム監督の気持ちは、校長の考えは。
 チーム仲間の考えは。

 それぞれの気持ちを聞きながら、
 小野寺は子供たちの気持ちを尊重する。
 この短編にも、小野寺の考え方や行動を通じて、
 作者の温かい目が注がれる。

   (2018.9.14記)       
(読書案内№129)

   

 

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