ことの葉散歩道(4)
人の話に共感する
感動的な話。涙なくしては聞けない切ない話。勇気を与えてくれるような清らかな話。手の込んだ可笑しい話。 努力と我慢に満ちた話。つくづくダメな話。情けない話。 人の話はそれぞれです。 無口であろうと多弁であろうと、語り方が下手でも上手でも、ほんの些細な一言のなかに、 聞く者の心に響く言葉が必ず潜んでいるものです。 「聞く力」-心をひらく35のヒント- より 阿川佐和子著 文春新書 2012年1月刊 |
週刊文春の対談シリーズ「阿川佐和子のこの人に会いたい」は900回を突破している。
その阿川にして言える言葉である。
人の話を「聞く」ということは、人の話のなかに、
「その人らしさや人格が表れていて、そこに共感したくなるような、何か小さな魅力があれば、
それだけでじゅうぶんです」 と、著者は言います。
対談の中で、一瞬光を放ちキラリと輝く部分を的確にとらえ、さらにその部分にメスを入れ、
意識の底に淀んでいる思いを引き出す。
思ってもみなかった本音がポロリと出たり、本人さえ気付いていない心の葛藤が言葉になって表現される。
人は誰でも、自分の考えや意見を真剣に聞いてもらうと嬉しくなります。
これが「共感」ということなのでしょう。
この「共感の姿勢」は一方通行ではありません。
「共感」ということをもう少し具体的に言うと、聞き手と語り手の「波長」が「共鳴」するということなのでしょう。
人と人の[波長が合う]。
これを「感情の交流」と私は勝手に名付けています。
人の話をよく聞くことも、議論をすることも本来はお互いが理解しあうための手段なのですが、
実際には対決のための議論になってしまい、溝はますます深くなってしまう場合も珍しくありません。
「人の話をよく聞く」姿勢に欠け、自分を通そうとする「我」が働くからなのでしょう。
対決の感情のなかには、「共感」は生まれないのです。
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