雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

防災の日 忘れてはならない

2021-09-03 06:30:00 | 昨日の風 今日の風

防災の日 忘れてはならない
       流言飛語と関東大震災の悲劇

 1923(大正13)年9月1日、
 午前11時58分相模湾北西沖80㌔を震源とする海溝型の大地震が発生した。
 これが関東大震災でした。
 190万人が被災、
死者・行方不明者は推定10万5,000人といわれ、
 犠牲者のほとんどは東京府と神奈川県が占めていたと言われてます。
 建物被害は全壊10万9,
000棟
      
全焼約21万2,000棟

 唯一残った東京日々新聞の9月2日付の見出しは「東京全市日の海に化す」
   「電信、電話、電車、瓦斯、山手線全部途絶」被害の甚大さが眼に浮かぶようです。
 つづいて3日付、「横浜市は全滅死傷数万」「避難民餓死に迫る」
 さらに4日付では「江東方面死体累々」「火責ぜめの深川生存者は餓死」等々。
 津波状況は鎌倉由比ガ浜で9mに達したところもあるが、
 津波と地震動の被害を分離することができないので、津波による明確な情報は判明しない。

 建物倒壊による圧死と、強風をともなった火災による死傷者が多くを占めていたようです。
 
  (東京・日本橋付近の震災状況)

 大災害や大きな社会的不安のもとでは、流言飛語が飛び交い、
 被害の状況を増々深刻なものにしてしまいます。
 この時も、「朝鮮人が襲ってくる」「井戸に毒を入れようとしている」などの流言飛語がまことし
 
やかに流れ、多くの朝鮮人や中国人が虐殺され、
 今でも「朝鮮人虐殺事件」として大きな社会問題になっています。

二百十日を「防災の日」とする
 今では耳慣れない言葉の一つになってしまいましたが、「二百十日」という言葉があります。
 立春から数えて二百十日目が9月1日にあたります。
 この時期は台風かよく来るので、台風が襲来し、
 稲作などが大被害を受けやすい厄日とされていました。
 9月1日の関東大震災と二百十日という社会的習慣を合わせて、
 「震災への備えを怠らないように」との戒めをこめ「防災の日」とし、
 1960(昭和35)年に「防災の日」が制定されました。

 全国各地ではこの日に地震や津波、火災などに備えた防災訓練が実施されるようになった。
 しかし、「防災の日」制定には、国家として政府が、災害に対して責任を持って国民の生活を
 護るという法的根拠がありませんでした。

災害対策基本法の成立
  1923(大正13)年9月1日   関東大震災 (37年後の「防災の日」の根拠となる)
    1959(昭和34)年9月26日 伊勢湾台風、紀伊半島先端に上陸。甚大な被害をもたらす。
                「災害対策基本法」制定の契機となるなど今日の我が国の防災対策
                                                     の原点となった。
         1960(昭和35)年     「防災の日」定まる
    1961(昭和36)年11月15日 
災害対策基本法」制定。
               総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、
               もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを
               目的とする。
            具体的には、国土や国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため
            国家が防災に関し、その基本理念を制定する。
            つまり、国家が防災から国民の生命や財産を守る責任があることを、
            明確にした法律ということが言えます。

    途中、戦争をはさみ関東大震災から実に38年を掛けてやっと、
    災害からこくみんの生命や財産を守る国家の責任が明記されたことになります。

    天災は忘れたころにやってくる……寺田虎彦
       1952年発行(文化人シリーズ) 10円
     寺田は物理学者として数々の業績をあげたが、防災学者として地震・台風・火山などの
     被災地を調査し、そこから得た教訓を一般向けの随筆に著した。
      次のような警句も残しています。
            正しく怖がることは難しい
            文明が進むほど自然災害が激烈になる
            災害は注意しだいでどんなにでも軽減できる
            用心しておけばその効果が表れる日がいつかは来る

      
      どんなに良い法律を作っても、
      防災に対する心構えや対策は国民一人一人の義務であり、
      責務であることを私たちは忘れてはならない。
      防災訓練や対策をおろそかにしてはいけない。

(昨日の風 今日の風№121)                  (2021.9.2記)

               

 

 


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