雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

田山花袋著「田舎教師」のモデル・現地を訪ねて(2)

2010-09-11 21:54:33 | 旅の途中(文学の散歩道)
 建福寺には小林秀三の墓もあります。弥勒高等小学校跡地近くには円照寺があり、
ここには小説の中で「小川屋のお種さん」として登場する小川ネンさんの墓と資料館もあるようです。

 「田舎教師」の冒頭は次のようにして始まります。

『四里の道は長かった。その間に青縞の市(あおしまのいち)のたつ羽生の町があった。
 田圃にはげんげが咲き、豪家の垣からは八重桜が散りこぼれた。
赤い蹴出し(けだし) を出した姐さんがおりおり通った。
羽生からは車に乗った。
母が徹夜して縫ってくれた木綿の三紋の羽織に新調のメリンスの兵児帯(へこおび)、
車夫は色あせた毛布(けっとう)を袴の上にかけて、梶棒を上げた。
なんとなく胸がおどった。
清三の前には、新しい生活がひろげられていた。
どんな生活でも新しい生活には意味があり希望があるように思われる』

 こうして、新しい生活に胸躍らせた清三の無垢で多感な青春が始まります。

 学校跡地の一画には花袋の文学碑が建っています。

 『絶望と悲哀と寂寞とに堪へ得られるやうな まことなる生活を送れ 運命に従ふを勇者といふ』

 清三の日記からの文章であるが、清三は日記にこのように書くことによって、
 自分自身への戒めと励ましとしたのでしょう。

  (写真は2006.3.2撮影)
旅の途中№1(田舎教師②)
                                    (つづく)

                 

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